北尾トロ『危ない仕事！』

　'06年に出版された北尾トロさんの「危ないお仕事！」を読みました。
　目次を書き写すと「万引きバスター、驚きの実態」「『浮気調査承ります』私立探偵たちの素顔と現実」「まさにプロ!?　警察マニア」「信じる者は救われない!?　超能力開発セミナー講師」「海外移住時代へ警告！　タイの日本人カモリ屋」「夢のノウハウ大公開、月収100万円のメルマガ・ライター」「フーゾク専門不動産というお仕事」「イケナイ、スレスレ主婦モデル」「人呼んで、裏人形師--ダッチワイフ製造業者」「我が青春の汁男優」「番外編１　小心者の潜入記　新聞拡張団に入ってみた。」「番外編２　法廷好きの傍聴記　目撃者は語る、ヘンは容疑者列伝」、以上です。
　このうち、仕事でないのは「警察マニア」で、これは警察に憧れる余り、警察無線を傍受し、現場に先回りして見学するのが趣味の人たちの話で、これ以外は実在する仕事を著者が取材したものです。
　分かりにくいものに「タイの日本人カモリ屋」というのがありますが、これは晩年をタイで過ごそうとやってくる男性を若い女性に誘惑させて結婚させ、店を開かせ（この際、店や土地の登記はタイ人にしかできないので、すべて女性名義になってしまう）、しばらくして女性の本当の彼氏がやってきて日本人の男性を追い出し、彼の財産を乗っ取るという仕事です。こんな日本人がそんなにいるはずがないと思いがちですが、実際は相当数いるとのことでした。それから「汁男優」というのは、AVで精液を女優にかけることだけを仕事としている人で、最高一ヶ月に60回射精したこともあるとのこと。こんな仕事も世の中にはあるのです。
　また、読んでいて感心したのは「メルマガ・ライター」で、彼は100ほどのメルマガを有料で発行し、ネタを全部自分で書いているということでした。一つのメルマガで３行ほどの新情報とのことですが、それにしてもどこからそのネタを仕入れてくるのかは謎でした。インターネットを使って検索もしているようですが、それにしてもとてもじゃないけど見つからないと思うのですが‥‥。また、「すれすれ主婦モデル」は主婦をしながらエロ雑誌のグラビアやサイトに水着までで顔出しでモデルをして稼いでいる主婦の話で、周囲にバレないのが不思議でした。最後にはAVで上半身裸までになるのですが、夫の会社などにバレたらまずいのではないか、と心配しました。
　最後の番外編で法廷でのヘンな容疑者の話が出て来ますが、これがとても面白く、その後の北尾トロさんの２册の本で詳しく読めると思うので、今から楽しみです。
　ということで、「危ない仕事」というよりは「怪しい仕事２」といった感じの本でした。十分楽しめる本だと思います。