上橋菜穂子さんの'99年作品「闇の守り人」を読みました。
カンバル王国の王の主治医の娘として産まれたバルサは、王様の息子ログサムの陰謀に父が巻き込まれたことにより、父の親友で国一番の武術の達人ジグロに連れられ、6才で国を出ます。その後、父は殺され、ログサムが王となり、ジグロが大事な国の宝物を盗んだという口実で、国の優れた武者であり、ジグロの親友でもある8人を次々にジグロのもとへ派遣しますが、皆ジグロに惨殺されます。そうした修羅場を見て育ったバルサは、ジグロから1人でも生きていけるように武術を習い、優秀な武術家になりますが、身分を隠すため用心棒になります。そしてジグロもログサムも死に、バルサは自分の中にあるわだかまりを消すために故郷のカンバル王国を訪ね、そこでジグロの名誉を回復させるとともに、ジグロの弟のユグロが企んでいた陰謀を多くの人の協力を得て潰し、晴れ晴れとしたバルサがまた今まで住んでいた国に戻るところで物語は終わります。
物語はバルサがカンバル王国を訪れるところから始まり、貧しいカンバル国が地下に住む〈山の王〉から20年に一度青光石という闇の中でも光る貴重な石をくれることで民が飢えずに済んでいる、ということを背景に、ユグロの非情な企みに、バルサに関わりのある人々が一団となって戦いを挑むという図式で物語が進んでいきます。
これは、'96年の「精霊の守り人」から始まった「守り人」シリーズの一編ですが、この作品が一番完成度が高いと思いました。今回は主人公がバルサ1人に絞られ、彼女が自分の中に未解決で残っている様々な感情にけじめをつけるため、故郷のカンバル王国に戻り、そこでまた新たな陰謀に巻き込まれ、解決に力を貸すという内容です。
成功の理由の第一はストーリーのすべてがバルサを中心に回っている事。これによって非情にストーリーも分かりやすくなり、感情移入するのも容易くなりました。
成功の理由の第点は、これは他の作品でもそうですが、多彩な登場人物です。若者から老人まで、男から女まで、人間以外の生き物もたくさん出て来ます。それらが皆バルサとの関係を明らかにして登場し、活躍することによって、よりキャラクターが輝きを増しています。
成功の理由の第三は、徹底的に悪い人物を敵として設定したこと。しかも、そんな悪党でも殺されたりしないこと。このシリーズで殺しがないのはこの本が初めてではないでしょうか?(過去に行われた殺人は数しれず出て来ますが)
とにかく、今まで読んだ「守り人」シリーズの中では一番面白く、また一番感動しました。まだ読んでない方には、ぜひともオススメです。
カンバル王国の王の主治医の娘として産まれたバルサは、王様の息子ログサムの陰謀に父が巻き込まれたことにより、父の親友で国一番の武術の達人ジグロに連れられ、6才で国を出ます。その後、父は殺され、ログサムが王となり、ジグロが大事な国の宝物を盗んだという口実で、国の優れた武者であり、ジグロの親友でもある8人を次々にジグロのもとへ派遣しますが、皆ジグロに惨殺されます。そうした修羅場を見て育ったバルサは、ジグロから1人でも生きていけるように武術を習い、優秀な武術家になりますが、身分を隠すため用心棒になります。そしてジグロもログサムも死に、バルサは自分の中にあるわだかまりを消すために故郷のカンバル王国を訪ね、そこでジグロの名誉を回復させるとともに、ジグロの弟のユグロが企んでいた陰謀を多くの人の協力を得て潰し、晴れ晴れとしたバルサがまた今まで住んでいた国に戻るところで物語は終わります。
物語はバルサがカンバル王国を訪れるところから始まり、貧しいカンバル国が地下に住む〈山の王〉から20年に一度青光石という闇の中でも光る貴重な石をくれることで民が飢えずに済んでいる、ということを背景に、ユグロの非情な企みに、バルサに関わりのある人々が一団となって戦いを挑むという図式で物語が進んでいきます。
これは、'96年の「精霊の守り人」から始まった「守り人」シリーズの一編ですが、この作品が一番完成度が高いと思いました。今回は主人公がバルサ1人に絞られ、彼女が自分の中に未解決で残っている様々な感情にけじめをつけるため、故郷のカンバル王国に戻り、そこでまた新たな陰謀に巻き込まれ、解決に力を貸すという内容です。
成功の理由の第一はストーリーのすべてがバルサを中心に回っている事。これによって非情にストーリーも分かりやすくなり、感情移入するのも容易くなりました。
成功の理由の第点は、これは他の作品でもそうですが、多彩な登場人物です。若者から老人まで、男から女まで、人間以外の生き物もたくさん出て来ます。それらが皆バルサとの関係を明らかにして登場し、活躍することによって、よりキャラクターが輝きを増しています。
成功の理由の第三は、徹底的に悪い人物を敵として設定したこと。しかも、そんな悪党でも殺されたりしないこと。このシリーズで殺しがないのはこの本が初めてではないでしょうか?(過去に行われた殺人は数しれず出て来ますが)
とにかく、今まで読んだ「守り人」シリーズの中では一番面白く、また一番感動しました。まだ読んでない方には、ぜひともオススメです。