横丁の向かい側の家には、西田の桶や(現在常夜灯がある)、
ここは桶と名がつくものは何でも作っていた。
道路と家の間に溝があったが、石のふたがありちょっと高くなったところに木戸が6枚はまっていてその2枚ほどが開いているときには、
中でおっさんが仕事をしていた。
向かいの笹江さんより大きいものを作っていた。風呂・下肥を入れる桶・風呂に持っていく小さい桶・何に使うのか知らないが大小いろいろあった。
桶を作るのは、正目のきれいな板を10枚ほどつないで丸くする。下から数センチのところに底をはめるために5ミリほど彫っておく。
底は板を合わせて円形にする。丸く削る特殊なかんながある。
板と板をつなぐのは、竹で爪楊枝の太いようなものをつくり、板の横にきりで穴を開けてその爪楊枝のようなものを打ち込んでつないでいく。
竹は大きなものを、笹江さんと同じように用途に合わせて手際よく割っていく。竹でわっかをつくり底のほうからはめてゆっくり上に移動させる。
下のわっかは、少し小さめのもので、2つしめるときっちり出来上がる。
天秤棒で前と後ろのぶら下げられるように、下肥用は桶の左右の板を長くして引っ掛ける穴を開けておく。
小さいながらも何度も見ていたので、途中から見ても何が出来上がるか大体わかった。おっさんは質問すれば何でも教えてくれた。