みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

どこが問題なの?45冊?のジェンダー関連本たち/福井県・焚書坑儒事件

2006-07-20 10:36:17 | 「ジェンダー図書排除」事件
まずは
一期一会のクリックを

カサブランカの花が7個に増えていた。
つぼみを数えたら、全部で28個もある。
植えっぱなしだと年々花が小さくなるそうだけど、
みんな咲いたら壮観だろうな。


今日も一日、雨のようだから、
昨日に続いて、情報公開ででてきた公文書を分析。

生活学習館の備品の分厚い「図書台帳」から、
排除されたと報道されている書籍などを特定した。

報道された新聞を全部読んだんだけど、
書名が特定されてるのは「世界日報」だけ。

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サンデー世界日報4月30日号より抜粋
県側は過激図書を排除 県センターの150冊対象に
過激な内容の書籍を含む約150冊が排除された福井県生活学習館(男女共同参画センターに相当)=福井市

 県の方では、第二次男女共同参画基本計画を受け、福井県生活学習館(男女共同参画センターに相当)にある図書の見直しが起きている。
 同館には、県の男女共同参画推進課がおかれ、年間を通じてさまざまな研修や講演会などが実施される。一階の書籍コーナーには二千冊余りの書籍がある。
 近藤推進員は、そこに置いてあった『ジェンダーを科学する―男女共同参画社会を実現するために』(松本伊瑳子・金子篤子編)を手にしたところ、その過激な内容に驚きを覚えたという。・・・・・・・・・・  (略)  ・・・・・・・・・・近藤推進員は、この宇野課長の回答にショックを受ける一方、同学習館にどのような図書が置かれているのか一日がかりで調査。
 その結果、ジェンダーフリーを掲げるものが九冊、「男でもなく女でもなく」「専業主婦が消える日」「優しい去勢のために」「完全離婚マニュアル」など、およそ男女共同参画とは無縁の書物が多数あることに気付き、その必要性が非常に疑問視される書籍リストを作成。県議会議員や地元紙などに問題提起してきた。
 こうした中で今年三月、この種の書物、約百五十冊が同センターの書棚から排除されたのである(別表参照)。過激なフェミニスト、上野千鶴子・東大教授の本では、『スカートの下の劇場』など十冊が排除本とされた。
 宇野前課長(現在、総務部企画幹)は、本紙の取材に対して「政府の基本計画改定で、男女共同参画が目指す方向がより明確になった。それを受けての措置」と述べ、「今後も県民の声に耳を傾けながら柔軟に対応したい」と語った。
 本家明美・男女共同参画推進課長は「宇野課長(当時)から排除するように指示があった。排除した本は、一般の人の目に留まらない倉庫のようなところにある」としている。
・・・・・・・・・・・・・ (以下略) ・・・・・・・・・・・・・・・・

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(サンデー世界日報2006.5.15より抜粋)
福井男女参画センター 過激な図書150冊排除
揺れる県生活学習館
 ・・・・・・・・・・・・・ (略) ・・・・・・・・・・・・・・
 県の男女共同参画になじまない過激な内容として150冊の書籍が排除された福井県生活学習館=福井市 男女共同参画センターに相当する福井県の生活学習館(ユー・アイふくい)の情報コーナーには二千数百冊の書籍がある。そのうち、ジェンダーフリーを掲げるもの九冊、「男でもなく女でもなく」「専業主婦が消える日」「優しい去勢のために」「完全離婚マニュアル」など、およそ男女共同参画とは無縁の書物、約百五十冊が開架から撤去され、現在、内容が検討されている。
 その判断材料となる書籍リストを提出した近藤實・福井県男女共同参画推進員は、きっかけを次のように語る。
 まず、同館にある図書『ジェンダーを科学する-男女共同参画社会を実現するために』(松本伊瑳子・金子篤子編)を手にしたところ、その過激な内容に驚きを覚えた。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (略) ・・・・・・・・・・・・・・・
  過激なフェミニスト、上野千鶴子東大教授の本は『スカートの下の劇場』など十数冊が排除されている。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (略) ・・・・・・・・・・・・・ これに対して、今大地敦賀市議が十一日、抗議の記者会見を開くなど、フェミニストは巻き返しに懸命。これらの図書購入代金を三十万円と計算し、西川知事ほか県職員に連帯して金三十万円を返還するか、図書を直ちに本来の管理状態に復帰させるよう、監査請求している。・・・・・・・・・・・・・・・・・ (以下略) ・・・・・・・・・・・・・・
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以上の記事の内容から、
名指しされている本を図書台帳から探した。
この作業、メチャ疲れました。



結果は、150冊のうち、以下の45冊。

えーっ、とわたしの愛読書ばかりだ。
半分以上は本棚に並んでる。
ということは、いい本ばっかり(笑)。
いったいこの本たちのどこが問題なの?

上野さん関連の16冊は、所蔵のすべてみたいだから、
まさに現代版「焚書坑儒」(ふんしょこうじゅ)だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
▼『世界日報』掲載リスト-21冊(生活学習館・図書台帳より)

『男でもなく女でもなく』蔦森樹/勁草書房
『「主人」ということば』福田真弓/明石書店
『優しい去勢のために』松浦理英子/筑摩書房
『私の「女性学」講座 ジェンダーと制度』小松満貴子/ミネルヴァ書房
『私の目を見て』バーバラ・マクドナルト/原柳舎
『ちょっと変じゃない?』青木やよい/小峰書店
『結婚はバクチである』福島瑞穂/大和書房
『スカートの下の劇場』上野千鶴子/河出書房新社
『装置としての性支配』江原由美子/勁草書房
『男性解体新書』村瀬幸治/大修館書店
『なにが女性の主要な敵なのか』クリスティーフ・デルフィ
『フェミニズムはどこへ行ったのか』山下悦子/大和書房
『母性ファシズム』上野千鶴子他/学陽書房
『少し立ち止まって、男たち』東京女性財団
『売買春解体新書』上野千鶴子×宮台真司/つげ書房新書
『学校をジェンダー・フリーに』亀田温子/明石書店
『性の絵本』5冊 山本直英/大月書店

▼他で指摘されている書籍(『世界日報』本文記事他)-4冊

『結婚帝国 女の岐れ道』
  上野千鶴子・信田さよ子/講談社/2004(福井県議会議事録より)
『ジェンダーを科学する―男女共同参画社会を実現するために―』
  松本伊瑳子・金子篤子編/ナカニシヤ出版/2004
『完全離婚マニュアル』岡野厚子/ビジネス社/1994
『専業主婦が消える日』山田昌弘

▼ジェンダーフリーをかかげる本-9冊(生活学習館・図書台帳より)

『ジェンダーフリーの絵本1~こんなのへんかな? 』 村瀬幸浩/大月書店
『ジェンダーフリーの絵本2~生きるってすてき』橋本紀子 /大月書店
『ジェンダーフリーの絵本3~働くってたのしい』 朴木佳緒留/大月書店
『ジェンダーフリーの絵本4~女と男、これまで、これから』/中嶋みさき 大月書店
『シングル単位の社会論~ジェンダーフリーな社会へ』伊田広行/世界思想社
『シングル単位の恋愛・家族論~ジェンダーフリーな社会へ』伊田広行/世界思想社
『男女平等の本~ノルウェー・ジェンダーフリー教育用テキスト』
  インゲル・ヨハンネ・アルネセン/男女平等の本を出版する会
『ジェンダーフリー教育~フェミニズムを学校に』
  小川真知子・森陽子・女性学研究会/明石書店
『ジェンダーフリーは止まらない』上野千鶴子/松香堂

▼上野千鶴子さん関連の本?-16冊(生活学習館・図書台帳より)

『結婚帝国 女の岐れ道』上野千鶴子・信田さよ子/講談社/2004
『女遊び』上野千鶴子/学陽書房/1988
『女という快楽』上野千鶴子/勁草書房/1986
『主婦論争を読む1』上野千鶴子編/勁草書房/1982
『主婦論争を読む2』上野千鶴子編/勁草書房/1982
『接近遭遇』上野千鶴子対談集/勁草書房/1988
『あ・な・た・た・ち』上野千鶴子・高畑早苗/NHK出版/1995
『近代家族の成立と終焉』上野千鶴子/岩波書店/1994
『スカートの下の劇場』上野千鶴子/河出書房新社/1989
『セクシュアリティの社会学(現代社会学10)』
  井上俊・上野千鶴子・大澤真幸・見田宗介・吉見 俊哉編集委員/岩波書店/1996
『〈私〉探しゲーム』上野千鶴子/筑摩書房/1987
『資本制と家事労働』上野千鶴子/海鳴社/1986
『ジェンダーフリーは止まらない』上野千鶴子・辛淑玉/松香堂書店/2002
『爆談トーク』上野千鶴子・樋口恵子/松香堂書店/1990
『売買春解体新書』上野千鶴子×宮台真司/つげ書房新書/1999
『母性ファシズム』加納実紀代編/学陽書房/1995

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
追伸:(7/23記事より)
福井県生活学習館の図書の備品台帳から、
さらに上野さんの本を6冊見つけた。
ということは、合計22冊になって、
世界日報記事の10数冊より多くなってしまうんだけど・・・・・
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『きっと変えられる性差別語』三省堂
『女は世界を救えるか』勁草書房
『90年代のアダムとイブ』日本放送協会出版
『恋愛テクロジー ニューフェミニストレビュー1』学陽書房
『色と欲』小学館
『リプロダクツヘルスと環境』工作社
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タイトルにフェミニズムやジェンダーがついたものを入れると
100冊以上になる。ゴチャゴチャ考えてるより、
福井県に墨塗り書籍リストをすっきりと全部公開してもらうのが
やっぱりイチバンの近道みたいですね。



「世界日報(日本)」とは・・・・

世界日報で「排除した」と名指しされてる本が
ほんとに「蔵書リスト」にあるかどうかの検証をしたんだけど、
1冊見つからなかっただけで、記事の信憑性は高い。
(「ニューフェミニズムレビュー6」の『母性ファシズム』は、
加納実紀代編なんだけどね。)

ということは、つまり、
「墨塗りされた150冊の一部公開文書」と同じものを、
世界日報が入手している、ということ。
それもこんな真っ黒じゃなくて、クリアな状態で、ね。



これってフェアじゃないよね。
福井県は、わたしたちや他のマスコミには非公開にして、
「世界日報」だけに「150冊の書籍リスト」見せたのか、
そうじゃなきゃ、
近藤推進員本人が「世界日報」に持ち込んだ、ってことでしょ。
ひょっとしたら、近藤さんと「世界日報」はお仲間だったりして・・・・・

いずれにしても、
男女共同参画をすすめるはずの福井県生活学習館は
非公開理由に「公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるため」
「公にすることにより、事業を営む個人の権利、
競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため」
としてるけど、
「個人(著者)の権利利益を守る」どころか、
ジェンダーバッシングしてる人たちの権利利益をまもってるとしか思えない。

福井県は、
なぜ「世界日報」だけが非公開情報を持ってるのか、
なぜリストに従って150冊の本を排除したのか、
なぜ150冊の書籍リストを公開できないのか、
市民と、著者・編集者と、全国の読者に対して、
説明責任を果たすべきだと思う。

  

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