いつものように、朝PCのスイッチを入れて、
ブログの編集画面を見ておどろいた。
なんと、昨日一日で、
閲覧数3952pv/アクセス数888IP!
最近アクセスが増えてはいたのですが、
教育基本法改正反対の「イエロー連帯」効果か、
はたまた、上野さんの記事を成城トラカレさんが
リンクしてくださったからか、いずれにしてもうれしいです。
chikiさん、ありがとうございます。
気をよくして、今日も黄色いお花で「イエロー連帯」。
球根ベゴニア
黄色のバラ
畑の野の花たち
イエロー連帯
してもらえるとうれしいな。
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ところで、
今日は「岐阜県裏金問題」の裏金全額返還を求めての
住民訴訟を、岐阜地裁に提訴する日です。
約5000人で提出した住民監査請求人のうち、
原告は325人。で、昨夜は遅くまで委任状の整理でした。
それやこれやで、
11月25日発行の『む・しの音通信』58号をHPにアップしないと
いけないんだけど、なかなか余裕がありません。
とりあえず、
今月は、福井「焚書坑儒」事件の<特集>号なので、
ブログに順次アップしているのですが、12月4日の
女たちの未来 明日へのメッセージ~
上野千鶴子さん発「闘って得たものは闘って守り抜く」
に続いて、今日は、恥ずかしながら(笑)、
『インパクション』154号の特集《反撃するフェミニズム》に
から転載したわたしの記事です。
公的な手続きと手法を駆使して
「福井発・焚書坑儒事件」でたたかう
寺町みどり
5月1日「ジェンダー関連の図書約150冊が『福井県生活学習館』の書架から排除された」という情報が飛びこんできた。「ひとごとではない」と強いいきどおりを感じた。
著書10数冊が排除本に入っているとされた上野千鶴子さんからもメールが届き、福井県敦賀市議の今大地はるみさんと、行政手続きに詳しいつれあいの知正さんと対応を相談した。療養中の今大地さんは「問題をみすごすことはできない」と抗議行動を起こす決意をしていた。わたしは、彼女と行動をともにすると心に決めた。
5月2日、まずは事実関係をおさえようと、「図書排除に関連するすべての文書」を情報公開請求した。同時に、当面の目標を「図書を書架に戻させる」と定めた。そうとなれば話しは早い。「住民監査請求と抗議文」提出のダブルアクションを起こすため賛同者を呼びかけた。
5月11日、今大地さんが福井県に対して「住民監査請求」と「抗議文」(2団体44名)を提出した。「図書代金の全額返還もしくは書架への復帰」を求めた監査請求は職員にはかなりのショックのはず。これで図書は戻るだろうと思っていたら「本は元に戻す方針」と翌日の新聞に載った。わたしたちが行動を起こさなければ、図書はひそかに処分されていただろう。5月16日、図書はぶじ書架に戻った。
5月18日、わたしたちの抗議文に対し、福井県知事から「個人に対する誹謗中傷や他人の人権の侵害等公益を著しく阻害するような内容がないかなど再確認を行いましたが、著者の思想的、宗教的、政治的活動について確認したわけではありません。・・・現在は、当該図書の確認作業を終了し、全ての書籍を元の書架に戻しております。・・・」と図書の排除を正当化する回答が文書で届いた。一連の「公権力の検査=本の内容を確認する行為」自体が、憲法で禁止されている「検閲」にあたる。図書の排除は、思想・表現の自由の侵害である。
公文書の公開決定は1カ月延期され、6月16日、404枚の公文書が届いた。内訳は「書籍リスト」は「非公開」。意思決定文書や検討文書などはすべて「不存在」。「不存在は納得できない」と抗議すると、「文書はある」という。書籍リストの「非公開」も取り消され、「一部公開決定通知書」と経過が分かる公文書10枚、「黒塗りリスト」5枚が届いた。当事者の上野さんにも150冊の図書リストの非公開を伝え、訴訟を前提に4人の連名で呼びかけて、6月26日、著者や編集者、議員など21人で「約150冊の書籍リスト」を情報公開請求した。
7月7日、「書籍リスト」は「黒塗り」で公開された。(公開しない理由)は、「公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるため」「公にすることにより、事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため」。非公開は著者の権利を侵害する。決定を不服とするわたしたちは訴訟の準備をはじめた。
7月27日、図書リストの公開を求めて「情報非公開処分取消訴訟」を、1カ月後の8月26日に提起することを公表した。原告は上野千鶴子さんを代表とする20人。
8月11日、福井県からとつぜん電話があり「153冊の図書リストを公開する」という。リストは、当事者の請求人に公開する前に公表する予定というので強く抗議。福井県の唐突でイレギュラーな処分変更に対し、即日「抗議文」と「公開質問状」を送付した。「153冊の図書リスト」が公開された時点で、勝てると確信していた提訴は「まぼろしの訴訟」となった。処分の違法性を、司法の場で争えなかったのは残念だが「所期の目的は達成できた」。変更理由は、本来なら「県の条例解釈に間違いがあったから非公開処分を取り消す」となるはずだが、理由はうやむや。訴訟を回避したいというのが本音だったのだろう。
集会前日の8月25日午後、福井県から、公開質問状の回答と、37冊のあらたな排除リストと「図書選定基準」がFAXで届いた。リストは4月に推進員が排除せよと持ち込んだもので、要求したら任意提供された。このリストが任意公開できるなら、そもそも153冊の「非公開」もなかったはずだ。
8月26日、「提訴集会」を変更して、福井市内で「ジェンダー図書排除問題を問う」と題して抗議集会を開催した。今大地はるみさん、知正さん、わたしの3人が事件の経過と問題点を報告し、原告団代表の上野千鶴子さんが「わたしたちの勝利」と宣言。福井県内外から参加した180人のあつい思いが結集した3時間。ほんとうにやってよかった。
8月29日、福井県知事に対し、集会で提案した「福井県男女共同推進条例」20条2項に基づく「苦情申出書」を「『ジェンダー図書排除』究明原告団および有志」80名(42人は福井県民)で提出した。
公開された公文書を精査すると、以下の事実が浮かぶ。
「昨年11月1日、男女共同参画推進員からの『生活学習館のすべての図書について内容を確認し、不適切なものは排除するように』との苦情申出に、県は28日『情報の提供は学習する上で必要である』と文書回答し、申出を却下。その後、推進員は190冊の書籍リストを作成。今年1月に153冊分のリストを持参し、その後何度も排除の申し入れをくり返した。県は3月下旬になって、153冊の図書を書架から撤去した。4月にはさらに37冊の排除も求められたが拒否。5月に図書排除への抗議を受けると、153冊の内容を『個人への誹謗や中傷や人権侵害、暴力的表現などの公益を著しく阻害するものがないか』検閲し、5月15日、問題がないとしてすべての本を書架に戻した」。
* * *
法律は、どのような理由であれ、蔵書を公的施設から撤去することを認めていない。この事件が起きて以来、わたしは情報公開請求の当事者として、県職員と話し合いを続けてきたが、場あたり的な対応と無責任さにあきれている。図書排除は、一推進員の圧力に屈したというよりは、むしろその場のがれの行政の事なかれ主義と隠蔽体質が引き起こしたというべきだろう。国と自治体は、法的には対等な関係で、福井県の政策は「条例」が根拠であり、図書の選定に国の権限は及ばない。「国の方針変更に従った」というのは、福井県の失態である。そもそも、現場の職員が、法令を遵守して、勇気を持って毅然とした対応をしていれば事件は起きなかった。
わたしたちは今回の事件に「福井発・焚書坑儒事件」となづけ、迷走する福井県に対して、有効な手法を選択しながらたたかってきた。勝因は、メンバーの役割分担とチームワークのよさ、合意形成がはやかったこと、制度を熟知してタイムリーに動けたことだと思う。MLやブロクを駆使しての情報発信も役だった。現行制度は、表現の自由や基本的人権を守り、「男女共同参画」政策を推進するものだ。数はあるに越したことはないけど、バックラッシュ派のやり口は法に抵触している場合が多いので、制度を味方につければ、少数の市民でもできることは多い。
国や地方の権力に抵抗するには、まず「わたしがノーということ」。情報公開制度を使って、なにが起きたか事実関係を精査し、問題を特定することによって、有効な解決方法を選択することが可能になる。
図書排除事件は福井県だけの問題ではない。図書や講師の選定に対する圧力は、全国どこでも起こりうることだ。事件はいつも、わたしたちの足元で起きる。バックラッシュに対抗するには、わたしたち市民が「行政監視の手法」を身につけて、公的な手続きを駆使して、自治体(行政や議会)にはたらきかけることが不可欠だと思う。
わたしは行政のカベにぶつかり続け、いま「政治を変える」運動にかかわっている。市民運動は、あらゆる政策において、権力に対峙し「バックラッシュ」や声高に叫ぶものに対し、着実に「正攻法」の異議申し立ての運動と経験を積み重ねてきた。現行の法や制度には限界もある。けれど、力を持たない市民として、制度を熟知し有効な手法を選択しながら一つひとつの出来事にていねいに対応していきたいと思っている。
「わたしの(まちの)ことはわたしが決める」。直接民主主義の法や制度をつかった個人のネットワークが、上意下達の中央集権的な動きに対抗できることを女たちに伝えたい。
わたしは未来に対して楽観も悲観もしていない。仲間とともに「いまここで」わたしにできることを実践していくだけだ。いままでも、そして、これからも。
(『インパクション』154号・特集《反撃するフェミニズム》より転載)
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