昨日と今日は、名古屋で遅れてきたひとのための市民型選挙直前セミナー。
講師は、わたしとつれあいです。
この選挙直前講座、4年ごとの統一自治体選挙前に開催していて、
今回で3廻り目。1月と2月の2回で、
基本的な市民型選挙の手法を伝えようというものです。
参加者は、九州や四国、関西、関東から13人。
市民型選挙を実践して無党派・市民派議員になろうとする
意欲のある候補者を対象にしています。
内容はもりだくさんで、参加者を見てから内容を決めるという、
カスタムメイドのぜいたくなメニュー。
2時間×3セッションの構成は、参加者にはもちろんハードですが、
わたしもへとへとに疲れました。
午後8時に終わって準備された弁当を食べ、
宿泊棟で夜遅くまで話していました。
今日は朝9時から2時まで「オプション講座」です。
昨夜、参加者から提出された「選挙で抱えている問題」を受け取り、
どう解決したらよいのか、考えながら眠りにつきました。
では、これから「オプション講座」の会場にでかけます。
『市民派議員になるための本』
(寺町みどり著/上野千鶴子プロデュース/学陽書房)
3-2 従来型選挙とどう違うか?
選挙の常識とルールをくつがえし、これまでの選挙の地図をぬりかえているのが市民型選挙です。
従来型選挙は、「ジバン・カンバン・カバン」を必要条件とする組織選挙です。その3要素が、大きくて強固なほど当選の可能性が高いというのが、これまでの「選挙の常識」でした。
なにも持たない市民が、おなじ武器でたたかったら勝つ見こみはないでしょう。それに選挙は、他の候補者とたたかうものではなく、候補者の「わたし」の政策を、有権者の「あなた」に信任し、投票してもらうものです。だから、他の候補者のやりかたを気にすることはありません。
市民型選挙では、市民と平場(タテ型ではなくヨコにつながる)の関係であることを大切にします。候補者も有権者もおなじ目線の高さにいる、ということです。他の候補者は、政党や組織のなかにいたり、地域のボスだったり。市民とちがう高いところにいる人が、おカネや組織を使って「一票ください」と言ってきます。
市民型選挙は、おなじ場にいない人たちにはなかなか見えません。肩書がない候補者なんかと言われます。「肩書がない」ということは、いままでの選挙ではいちばん不利な条件のはずでした。でも肩書がないことに市民は共感します。「組織がなかったら当選しない」というのは、選挙の重要な常識のひとつでした。でも「トップダウンではないネットワーク型」なら、組織がなくても当選できます。
従来の候補者は、だれかからの指示や日当がないと市民は動かないと思っているようです。選挙で名前を大声で叫べば有権者は投票すると思っています。ほんとうにヒトをバカにした発想です。人間関係のしがらみを使って動員をかけ、政策をあきらかにせず、演説もしないで「票を取る」という発想。こんな貧困な発想や従来型の選挙に、市民はあきあきしています。
もうオヤジ議員にはまかせておけない! 感性の鈍いオヤジ候補は、議会でイネムリするよりも、縁側でイネムリしててほしいものです。
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ところで、選挙といえば、わたしの住んでいる山県市で、
「直接請求」がはじまりました。
「直接請求」とは、「地方自治法第74条」に規定された
有権者の1/50の署名をもって、
条例の改廃を求める、市民が使える直接民主主義の手法です。
「所定の期間で、受任者が所定の有権者の署名を集める」など、
請願や陳情より法的な手続きは厳格ですが、
議員でなくても、条例の改廃を求められるのです。
選挙の候補者の公費負担の廃止を求める直接請求(てらまち・ねっと)
● 趣旨
自治体議会などに関して、現在、議員の政務調査費の是非で住民監査請求や住民訴訟が全国で相次いでいます。監視機関である議会の「監視」が強まっています。
また、首長や議員の選挙費用に関して「選挙公営」といって、選挙のときのポスター代、選挙カーの賃貸料やガソリン代、運転手の日当などを負担する制度があります。候補者から請求があったら税金で負担する制度です。特に、多くの自治体で財政が厳しいことから見直す意見もあります。
1999年、栃木県栃木市では選挙ポスター代の水増し請求が見つかり、市で印刷代の相場などを調査し、あいまいな企画費をゼロとして、印刷代のみの12万円としました。愛知県内では、昨年から今年、額を引き下げたり、方法を改善した自治体もあります。
山県市では2003年の自治体合併の際に、選挙公営の制度を導入しました。
2年半前の市議選では、22人の定員に27人が立候補し、25人が公費負担を請求、その公費負担の総額は1000万円を越えました。
山県市では2009年(H21年)に財政が赤字(基金を崩しても財源が不足)の予測がでています。水道料は一律に5割も引き上げ、保育料も大幅に引き上げるなど、市民に対して各種の負担の増加めていますが、このように市民の生活全般の負担を大幅に引き上げざるを得ない山県市にとって、「選挙に金がかかるから公費負担を」というのは、不合理です。
多様性は自治や分権の基本。ポスターなど基準額を引き下げるなどの自治体もありますが、財政に余裕のある自治体はともかく、財政の著しく困窮した山県市においては、極めて不適切な制度です。選挙公営を廃止することが、市民に対する答えであり、責任です。
そこで、本年4月の市長選挙の前に廃止すべく、地方自治法第74条に基づいて直接請求の手続きで条例の廃止を請求することになりました。
インターネットのデータによれば、昨年夏に「千葉県いすみ市」で、直接請求によって廃止請求がされましたが、否決されています。その他は、見当たりません。
総務省も把握していないそうです。
全国で初めてのことのようですから、やる気倍増。
● 手続き
1月15日(月) 午後1時半 山県市役所2階 市長に代表者証明書交付の申請書を提出し、直接請求手続きを開始。
16日に証明書が交付されました。
通常、市町村の場合の署名集めは1ヶ月間。
ところが、今回は4月に統一地方選挙があることで、特別な制限が加えられて、「4月8日の県議選等の投票日の60日前」で署名収集は休止、4月22日の市議選等の投票のあとに再開することになります。
つまり、1月17日に始まった私たちの署名集めは「2月6日」までのたった20日間。今回は、3月の議会で審査して欲しいわけですから、ここで署名収集を打ち切り、速やかに提出します。みなん、ぜひ、よろしく。
● 条例制定/廃止の直接請求(地方自治法第74条)の手続きの流れ
※ 地方自治法 第74条 普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下本編において「選挙権を有する者」という。)は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。
2 前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
3 普通地方公共団体の長は、第1項の請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。
4 議会は、前項の規定により付議された事件の審議を行うに当たつては、政令の定めるところにより、第1項の代表者に意見を述べる機会を与えなければならない。
5 第1項の選挙権を有する者とは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第22条の規定による選挙人名簿の登録が行なわれた日において選挙人名簿に登録されている者とし、その総数の50分の1の数は、当該普通地方公共団体の選挙管理委員会において、その登録が行なわれた日後直ちにこれを告示しなければならない。
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山県市議ら 「選挙公営制、見直しを」
2007年01月16日
市長、市議の選挙のポスター代などを公費で負担する選挙公営制度は市の財政を圧迫するとして、山県市の寺町知正市議らが、見直しを市に直接請求する準備を進めている。寺町氏らは同市の平野元市長に対し15日、制度の廃止を求めて有権者から署名を集めるため、代表者証明書の交付を申請した。交付され次第、直ちに署名集めを始める。
同市は03年4月に高富町、美山町、伊自良村が合併した際に、選挙公営制度を導入。候補者は選挙ポスターの作製代や、選挙カーの賃貸料、運転手の日当などを市に請求できる。
同市によると、04年に行われた市議選では、定数22に対して27人が立候補し、25人が公費負担を請求。公費から総額1千万円以上が支出された。
寺町氏は「市の財政が苦しく、水道料や保育料が引き上げられる中で、この制度を残すのはずるい」と指摘。22人の市議のうち、21人が同制度を利用したこともあり、市民の署名を集めてから議会の審議を受ける直接請求を行うことにしたという。
証明書は16日に発行される見込み。寺町氏らは規定になっている有権者の50分の1(504人)を大幅に上回る人数を集めたい考えだ。
(朝日新聞)____________________________________
いつもやってる住民監査請求やこの直接請求など、
現行制度のなかでも、市民であっても、使える手法はあります。
こういう直接民主主義の手法をつかって、
まちを変えていく市民が増えれば、議員にならなくても、
まちは確実にかわっていきます。
山県市民のかたがお読みになっていたら、
直接請求にぜひご協力ください。
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