伊吹山3合目のユウスゲ群生地は有名なので、
晴れていれば昨日午後に見に来るつもりだった。
ユウスゲは午後3時頃から咲き始め、5時頃に咲きそろい、
翌朝にはしぼんでしまう一日花である。
高山植物のニッコウキスゲに似ているが、
ニッコウキスゲは朝、花が開き夜にしぼむ。
ということで、今年の花はそろそろ終りだし、
見るのをあきらめていたら、3合目の草原に
黄色い花がまだちらほら残っていた。
つれあいと別行動で、ユウスゲ群生地の草原で花を写した。
ユウスゲが咲き誇る伊吹山3合
ユウスゲの花を撮っていたら、草刈をしていた男性に、
「何をしているの?」と聞かれた。
「お花を撮りにきているの」と答えると、
「オオナンバンギセルを見せてあげようか。ついといで」
と言って、ロープの中に入り、カリヤスを刈り始めた。
なんと、この方が
『伊吹山中腹(3合目)の草花ミニガイド』を書いた森さん本人。
長年、お花畑を守ってきた、という。
3合目はほっておくと、ススキやカリヤスがはえてきて、
草刈をしてやらないと、山野草の花は消えていくそうだ。
季節ごとの花を守りながら管理してきたけれど、
体調がいまいちで、いつまで続くかわからないとのこと。
伊吹山のオオナンバンギセルは、カリヤスに寄生するということで、
日が当たるとすぐに花が黒くなってしまうので、
周りを少し刈り残して、「ここに一杯さいているよ」と見せてくれた。
オオナンバンギセル(大南蛮煙管・ハマウツボ科)
「ナンバンギセルが咲いてるよ~」と
大きな声でつれあいを呼んだ。
思っていたよりおおきな花で、
アップで撮ると、妖艶なうつくしさ。
思いがけなくオオナンバンギセルに出会えて、感激。
こんな草のなかに咲いているのでは、素人ではとうてい見つけられない。
ほかにも、珍しいお花が咲いている場所を丁寧に教えてくださった。
森さん、ありがとうございました。
マルバハギ(丸葉萩・別名深山萩・マメ科)
ツリガネニンジン(キキョウ科/別名 ツリガネソウ)
釣鐘形の花と、根がチョウセンニンジンに似ていることから、
ふたつの特徴を合わせて名付けられた。
色もいろいろ、よりどり「うすむらさき」。
コバギボウシ(小葉擬宝珠:ユリ科)
橋の欄干についていた飾りの「擬宝珠」に
花の形が似ているため名づけられた。
ガガイモ(ガガイモ科)
キセワタ(シソ科・メハジキ属)
シラヤマギク(白山菊・キク科)
染色の材料になるという特産のイブキカリヤス
(カリヤスでの染め)
古くからの有名な染料植物の一つであり、天平時代には庶民の衣服染料として一般的であったと思われ、「延喜式」(927年) にカリヤスを用いて染め方が記されています。当時は黄色染めにキハダ(黄柏)、クチナシ(山梔子)、オウレン(黄連)等が用いられましたが、カリヤスは山地に普通に自生の草本であり、安価で容易に採ることができるので染料として人気があったと思われます。江戸時代には各地で栽培もされた記録があります。その後化学染料が誕生すると、植物による染色は押されカリヤスの栽培地は皆無となったようです。
カリヤスでの染めは、穂の出る前に好天を選んで全草を刈り取り、乾燥して、随時染めに応じ、熱湯で煮出してたものを染液とします。
(カリヤスについて)
カリヤス(刈安)は刈りやすい草の意味であり、古い名前をカイナ(加伊奈)と言いました。ススキに大変よく似た少し小型の多年生、イネ科の草本です。近江国(滋賀県) 伊吹山に多く産するのでオオミカリヤス(近江刈安)、イブキカリヤス(伊吹刈安) とも呼ばれ、山地に多い所からヤマカリヤス(山刈安)、白川地方ではコガヤと呼ばれています。日本の本州山地の特産種であり、よく自生し群生するのが見られます。茎は株立ちとなって、高さは約1メートル、葉は茎の節につき、質は薄く、やや巾広い線形で、表面にはまばらに粗い毛があるのでざらつきます。秋になるとススキのように数条の穂状花序を掌状に茎の頂きに付けます。それぞれの花序には芒(ノギ) のない多数の小穂が付きます。
薬用には秋期に地上部(茎と葉)を刈り取り乾燥させておき、用事煎じて、煎汁で悪瘡を洗い、又蕎麦を食べ過ぎたときにはこの煎液を飲めば消化を助けると言われています。カリヤスの根の浸液は家兎小腸の自動中枢マヒ作用があることが知られています。
山頂にかかっていたガスもきれて、お花の撮影日和です。
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