みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「5月革命」40年・弱者へのまなざしどこに(読売)&「NHK勝訴」の陰で(中日)

2008-06-25 19:23:08 | ジェンダー/上野千鶴子
毎日あさ起きると、パソコンを立ち上げて、
メールをチェックしてから、新聞5紙に目を通す。
寝ぼけ眼なんだけど、そのとき読んでピンときた記事には
すぐに付箋をつけないと、あとで、いつのどの新聞だったか思い出せなくて、
新聞の山と格闘することになる。

たびたびそういう憂き目にあって学習して、
やっと付箋を手元に置いて貼るようになったんだけど、
貼った記事は結局いつかまとめて切り抜かなきゃいけないので、
最近は、おもしろい記事はその場で切り抜くことにしている。

とはいえ、切り抜き記事の多くは
いつかアップしようと思って賞味期限切れになるんだけど(笑)、
タイムリーな記事は忘れないうちにコピーかスキャナをとるようにしている。

昨日も、おもしろい記事がけっこう多かった。

朝日新聞の「わたしの視点」は、名古屋でお会いしたことのある、
北海道・栗山町議会事務局長・中尾修さんの
「地方議会改革 住民の後押しが不可欠」。
この記事は他の議会改革の記事と一緒にあらためて紹介したい。

昨日の朝刊から、一つ選ぶなら、
読売新聞の文化部・尾崎真理子さんの署名記事【緩話急題】、
「5月革命」40年 弱者へのまなざしどこに」がよかった。

読売新聞は全国でも首都圏でもトップの販売部数だけど、
なぜかわたしの周辺では購読してる人が少ない(当然か・笑)。
読売には知り合いの女性記者もいて、文化欄や生活家庭欄、
ガン特集など、よい記事も多い。

そういう記事は、残念なことに、webになかなかアップされないので、
読みながらタイプすることもある(そういえば昔は書いて覚えたっけ)。

昨日の尾崎真理子さんの記事もタイプしたので、以下に紹介します。

【緩話急題】「5月革命」40年
弱者へのまなざしどこに
 
文化部・尾崎真理子
(2008.6.24読売新聞)

 「今日の自由の大半は68年に始まった」。M・カーランスキー著『1968世界が揺れた年』で、フランス女性が語っている。
 パリ大学の分校に端を発した5月革命は、米国のベトナム反戦運動をはじめ、東欧や中国へも飛び火し、日本では東大安田講堂の占領や新宿騒乱事件が起きる。後押ししたのはテレビの衛星通信で、アポロ8号が月面越しに浮かぶ地球の映像を全世界に届けたのも68年。グローバル時代の始まりを実感させたと同書は伝える。
 平和や平等を理想に掲げた若者たちの反体制運動は、しかし社会主義からの決別を促し、大衆消費時代の扉を開いた--40年を経た現在、そんな説が有力だ。フランスでは今も学生運動のデモが起き、一方で「May68」と銘打った高級紅茶が発売され、回顧も盛んだという。が、日本ではどうか。
 弁護士・大谷恭子さん(58)は翌69年、早大法学部に入学し、当然のように学生運動に参加した。
 「暴力もやむなしとヘルメットをかぶって。逮捕者が相次ぎ、組織は小さく割れていきましたが」
 活動へ疑問が膨らむ中、仲間に総括された12人が死亡した連合赤軍事件、「世界革命」をめざした日本赤軍による中東・テルアビブ空港乱射事件が72年に起きる。
 「弁護する人などいるだろうか」。最初の衝撃は、やがて「私たちが後始末しなければ」との思いに変わる。連合赤軍の永田洋子(ひろこ)死刑囚(63)の弁護に加わったのは、82年に一審判決が出た直後だった。
 『判決文には<女性特有の執拗さ、底意地の悪さ>とあり、ちょっとそれはないだろう、と」。男性社会からの果たし状と受け止め、93年の死刑確定まで主任弁護士を務めた。励まされたのは道浦母都子(もとこ)歌集『無援の叙情』。
<死ぬなかれ撲つことなかれただ叫ぶ今かの群れに遠く生きつつ>
 中東から帰国し2000年に逮捕された本日本赤軍最高幹部・重信房子(62)の弁護も引き受けている。高裁判決は懲役20年。年内にも最高裁判決が出される。
   *   *
 社会の流れは個人や組織の思惑を超え、歴史の評価は遅れてやってくる。今となれば、日本の学生運動の挫折は、女性解放の視点が他国に比べ欠落していた点に、理由を求めることもできるだろう。
 「永田さんは私だったかもしれない」と、裁判を引き受けた大谷さんは、故永山則夫連続射殺犯や地下鉄サリン事件にもかかわり、3人の子供を育てつつ「周囲の男性の意識を変えていくしかなかった」と語る。
 そうやってあの時代から受け取った痛みを抱えながら、日常の中で健闘した一人ひとりが、旧弊な社会に静かな革命をもたらし、現在、日本の女性は欧米と大差ない自由を享受している。
 だが、デモも立て看板もない日本の街頭で、なぜ、無差別の殺傷が絶えないのか。ネット上にのみ無数の書き込みが集中するこの国で、弱者へのまなざしの欠落が新たなゆがみを招いてはいないか。
 大谷さんの40年の歩みを聞きながら、思ったのはそのことだ。
(2008.6.24 読売新聞)


朝刊よりもとっている人が少ないのが夕刊。

よほどのスクープや速報じゃないとwebにもまずアップされてないけど、
きらりと光る記事もある。
昨日の中日新聞夕刊の、中村信也さんの記事がそのひとつ。

「女性国際戦犯法廷」を取材した番組で、政治家(安倍晋三)が
NHK幹部介入し番組が改変(削除)させたことに対する訴訟の判決を受けて、
12日の最高裁判決と、NHKの姿勢をしている。

こちらも、忘れないうちにタイプしました。

  【メディア観望】中村信也
「NHK勝訴」の陰で


 これでよかったのか。「慰安婦」問題は昭和天皇らに責任がある、と断じた「女性国際戦犯法廷」を取材したNHKの番組に関し、最高裁が12日に下した判決である。
 
 ■期待権と編集権
 訴訟は、この番組で取材された当初の期待を裏切られ、それについて説明もなかったとして、法廷を共催した団体などがNHKなどを訴えていた。メディアは、NHK側の「編集権」と団体側の「期待権」の対立と報じた。最高裁は「取材対象者の番組内容への期待や信頼は原則として法的保護の対象にならない」としてNHKなどに損害賠償を命じた2審判決を破棄した。
 だが、この編集権の勝利の陰で制作現場の表現の自由、視聴者の知る権利が敗北していたとはいえないだろうか。
 訴訟に上ったのは教育テレビ「問われるのは戦時性暴力」。最高裁の事実認定などによれば、放送前日にNHK幹部と面会した安倍晋三官房長官(当時)は、慰安婦問題などの持論を展開し、公正中立に報道すべきだとNHKに指摘した。NHK幹部らは同日、番組プロデューサーら現場の反対を押し切って内容を削除し、通常より4分短くした。
 日本のほとんどのメディアでは、編集権は現場ではなく経営幹部がもっている。読売新聞争議で労組が編集現場を握ったことに対し、新聞協会が1948年に出した「編集権声明」以来だ。だが、放送前に政治家に特定の番組を説明する幹部をいただく組織はジャーナリズムだろうか。

 ■知らせない権利
 直前に削除されたのは、昭和天皇有罪の「判決」、法廷を評価するコメンテーターの発言、日本政府の責任に言及した部分、慰安婦や日本兵だった人々の証言などだった。
 こうした編集は視聴者の知る権利を侵害する隠蔽ではなかったか。最高裁が尊重した編集の自由はNHKの「知らせない権利」も許容する結果となっている。だが、削除された情報は、視聴者との共有財産である。NHKは視聴者の代理人という役割がある。
 安倍氏に面会した松尾武NHK放送総局長(当時)の2審での証人尋問を思い出
す。安倍氏が慰安婦問題に関する持論を展開したことに裁判官が注目。持論がNHKの公正中立を害すると思わなかったのかと聴いたが、松尾氏は首をかしげるばかり。「NHKの公正中立と安倍氏の公正中立が一緒ならいいですけれども」という裁判官の言葉に、傍聴席から失笑が漏れた。
 
 ■再放送で説明を
 この訴訟は、NHKが取材協力者や視聴者より政府与党を向いてしまう本性を暴露した。司法は法的責任なしと判断したが、ジャーナリズムとしての倫理的責任は残る。削除前後の番組を再放送するなど、視聴者に説明すべきではないか。
(首都圏編集部)
(中日新聞夕刊 2008.6.24)



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話は変わりますが、
花木が好きなので、わがやの庭や畑には花の咲く木が植えてあり、
四季折々の花をさかせて楽しませてくれます。

実のなる木も好きなのですが、果樹は無農薬では難しいので、
花をたのしんだおまけに、実を結んでくれればよし、という程度。

春は、桜や梅のように、ピンクの花が多いのですが、
初夏の花にはウツギやアジサイなど白や紫のさわやかな花が目をひきます。


薄緑の花が徐々に白くなるヤマボウシ。
  
外はピンク中は白のサラサウツギ(更紗空木)
  

大好きな純白のバイカウツギ(梅花空木)。
  

  



「夏は来ぬ」
佐々木信綱作詞・小山作之助作曲

1 卯(う)の花の、匂う垣根に
時鳥(ほととぎす)、早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす、夏は来ぬ

2 さみだれの、そそぐ山田に
早乙女(さおとめ)が、裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる、夏は来ぬ

3 橘(たちばな)の、薫るのきばの
窓近く、蛍飛びかい
おこたり諌(いさ)むる、夏は来ぬ

4 楝(おうち)ちる、川べの宿の
門(かど)遠く、水鶏(くいな)声して
夕月すずしき、夏は来ぬ

5 五月(さつき)やみ、蛍飛びかい
水鶏(くいな)鳴き、卯の花咲きて
早苗(さなえ)植えわたす、夏は来ぬ


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