みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

堺市「特定図書排除に関する住民監査請求書」の監査結果が届きました。

2008-12-30 12:00:00 | 「ジェンダー図書排除」事件
昨日堺市監査委員に出していた
「特定図書排除に関する住民監査請求書」の監査結果が届きました。



この監査請求については、12月9日に、堺市役所に陳述に行きました。
堺市監査委員(堺市HP)は、代表監査委員の木戸唯博氏、小杉茂雄氏、
議員選出委員は、西村昭三議員と松本光治議員の4人です。

監査結果の結論は、
「請求人が住民監査請求の対象とした事実は存在しなくなったと
判断される以上、本件の住民監査請求は主張の前提を欠くこととなり、
請求人の主張を検討するまでもなく理由がないものと判断される。」

監査はしたけれど「訴えの事実がなくなったと判断」。

つまり、住民監査請求としては「棄却」で負けたけれど、
監査請求をしたから「対象の事実がなくなった」、
「現状がわたしたちの訴えどおりに見直された」ともいえます。

人気ブログランキング(社会・経済)に参加中 
応援クリックしてね
 






●監査結果は、19ページまでがこちらの住民監査請求書の転記です。

監査結果の本文は、以下のとおりです。


監査請求に係る監査結果について(通知)

(P1からP19まで省略)
「監査結果」ワード版 80KB
「監査結果」印刷用 PDF版 170KB

 第2 監査の実施 
1 要件審査及び請求の受理
 
  本件請求は、地方自治法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成20年11月13日にこれを受理した。 
 
2 請求人の証拠の提出及び陳述
  地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成20年12月9日、堺市役所高層館19階・監査室において請求人及び堺市住民監査請求代理人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けた。
  この陳述においては、請求人等から新たな説明資料の提出があり、本市図書館が一部の市民の不当な要求を受けてBL図書という特定分野の図書を選別し、廃棄しようとしたことは不適切であり、またBL図書の選別基準も不明確・不統一であるなど、請求人の主張についての補充説明が行われた。

3 監査対象部局
 教育委員会事務局(中央図書館)
               
4 監査対象部局からの事情聴取等
  本件について、教育長に対して請求に係る意見書の提出を求めるとともに、平成20年12月9日、監査対象部局の職員から、本件請求に関する事実及び意見について事情を聴取した。その概要は以下のとおりである。
(1)事情を聴取した者
  教育次長(管理担当)、中央図書館館長、中央図書館副館長兼総務課長、中央図書館総務課参事 ほか

(2)本件請求に関する意見等
 ア 堺市立図書館の役割について
本市図書館については、図書館法に定められている「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする・施設」であると認識している。
  本市図書館は、市民が利用しやすい図書館として基本杓な図書館サービスを確実・柔軟に提供し、社会経済情勢の変化に的確に対応した運営を心がけ、市民及び利用者の読書や情報に対するニーズ、意見、要望等を適切に受け止め、常に業務やサービスを見直し、閑係法令等に照らし、図書館行政を推進している。

イ 図書(資料)の取り扱いについて
 ① 収集
本市図書館における図書(資料)は、図書館法に定められている「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーショシ等に資すること」を目的とし、「堺市立図書館資料収集方針」に基づき収集している。 
本市図書館の図書(資料)は、「多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する。」、「著者の思想的・宗教的・党派的立場にとらわれて、その著作を排除しない。」、「図書館員の個人的な関心や、好みによって選択しない。」、「個人・組織・団体からの圧力や干渉によって、資料収集の自由を放棄したり、紛糾を恐れて自己規制したりしない。思想・信条の自由は最大限に生かすことを確認する。」とする収集方針にある基本的な観点に立ち選択し収集している。
 ② 保存・管理
   本市図書館の所蔵の図書(資料)は、「堺市立図書館資料保存基準」に基づき保存している。また、図書の管理についても、市民のニーズや図書の新鮮度、蔵書構成など総合的な観点から判断して開架(閲覧室)及び閉架(書庫)で保存・管理している。
   収集図書のうち、表紙、挿し絵、イラスト等で特に過激な性的描写等のある図書については、青少年に配慮する観点から、開架せず書庫に収蔵し、請求があった場合に、閲覧及び貸出しに対応している。
 ③ 廃棄
 本市図書館所蔵の図書(資料)は、適切な維持・管理を図るために「堺市立図書館資料除籍基準」に基づき、常に全図書館の所蔵状況、出版事情を十分検討し、一冊一冊よく吟味して、将来の利用にも支障のないよう配慮しながら廃棄を行っている。
除籍基準における廃棄する主な事由は、「著しい汚損、破損または書きこみ等があり補修が不可能なもの」、「科学技術の進歩等により、記述内容が時代に合わなくなったもの」、「同一内容で更新(買い替え)されたもの」や「出版事情、蔵書構成、利用者の需要及び資料の保存価値を総合的に判断して保存する必要がない」ことなどとしている。

ウ 請求人の主張に対する意見
  請求人の「特定の図書を開架から排除し廃棄処分しようとしている」 という主張については、本市図書館は他の図書の取扱いと同様に「堺市立図書館資料保存基準」及び「堺市立図書館資料除籍基準」に基づき取り扱うため、廃棄していない。よって、請求人の・「廃棄処分しようとしている」という主張には当たらない。
 また、今年7月に「市民の声」における問題提起を受け、青少年に配慮するため、表紙、挿し絵、イラスト等で特に過激な性的描写のある図書について、従来通り書庫に入れ、9月3日以降、18歳末満の青少年への貸出しも、いったん停止し、調査・検討を行ってきたが、未成年の利用実態がほとんどなく、年齢制限にも法的根拠がないため、11月14日から青少年への貸出制限を解除した。
  現在のところ、表紙、挿し給、イラスト等で特に過激な性的描写のある図書の取り扱いについては、自由な読書活動を尊重しつつ青少年に配慮するため、関架せずに閲覧室の延長線上にある書庫に収蔵し、請求があった場合には、閲覧、貸出に対応している。よって、請求人の「貸し出し不可能な閉鎖状態で保管することは著しく恣意的」という主張にも当たらない。
  なお、今年7月に寄せられた「市民の声」で、一部の特定分野の図書の購入冊数や購入金額を明らかにするように求められ8月に冊数等を公表したことについて、この特定分野の図書の分類・定義や判断基準が曖昧で明確でないにもかかわらず、調査・検討のために、それに該当するものと思われるものを抜き出したもので、すべてが過激な性的描写があるものではない。この補足説明を加えずに、選定集計を公表したことは適切ではなかった。


第3 監査の結果
1 本件の監査対象事項

  請求人が本件において主張する事実は、堺市の図書館が所蔵する特定分  野の図書の廃棄処分を行い又は行おうとし、あるいは貸し出し不可能な閉 鎖状態で保管しているとの事実であり、請求人はこれらの事実を住民覧査請求の対象である当該行為又は怠る事実としていると解される。
  よって、①請求人の主張する事実が存在するかどうか、及び②事実があるとすれば、その事実が違法若しくは不当な当該行為又は怠る事実といえるかどうかを、本件の監査対象事項とした。

2 請求人の主張する事実について
(1)請求人が主張する事実を確認するため、主張に関連する事実経過を整理すると、次のとおりであった。
 ① 平成20年7月24日 北図書館に対し、市民から電話でBL図書の所蔵等についての問題提起があった。
 ② 平成20年7月25日 南図書館に対し、市民から北図書館と同様の問題提起があった。
 ③ 平成20年7月25日 平成20年度第2回図書館事業調整会議において、昨日からの経過報告とともに、BL図書と称される図書の取り扱いについて各図書館の状況と見解を聴取し、今後の取り扱い方針等を検討した。
 ④ 平成20年7月30日 本市ホームページの「市民の声」Q&Aにおいて、一般にBL図書と称される図書を公費で購入した趣旨、目的、購入冊数、購入費用に関する市民からの質問を受け付けた。
 ⑤ 平成20年7月31日 中央図書館はBL図書と称される図書の冊数を集計等する必要から、各図書館に対し、BL図書に該当すると思われるものを特定し、開架されているものを書庫等に集めることを指示した。(BL図書かどうかの判断基準は明確ではなかったが、書店などで分類されている著者、シリーズ名、出版社などを参考に、BL図書に該当すると思われるものを各図書館の複数の司書が判断することとしていたとのことである。)
 ⑥ 平成20年8月8日 館長会議において、BL図書に該当すると思われるものについて、 すべて閉架(書庫入れ)とすること  今後は収集しないこと、 18歳未満の者には貸出ししないこと、を決定した。
 ⑦ 平成20年8月13日 中央図書館は、各図書館に対し、BL図書に該当すると思われるものについて、表紙及び本文のイラスト・文章表現で性描写の表現が激しいものがないかどうかの内容確認を指示した。
 ⑧ 平成20年8月20日 平成20年度第3回図書館事業調整会議において、8月8日の館長会議で決定された事項について確認し、書庫入れの作業手順等を検討した。
 ⑨ 平成20年8月22日 中央図書館総務課は7月30日に受け付けた「市民の声」Q&Aについて回答を行った。この回答は9月2日、本市ホームページに掲載された。
 ⑩ 平成20年8月29日 館長会議において、BL図書に該当すると思われるものについて、18歳末満の者へ閲覧・貸出しをしないことや書庫内の一定の書棚にまとめて保管すること等を内容とする「BL資料の取扱いについて」を決定した。
 ⑪ 平成20年9月3日 8月29日の館長会議の決定内容について、「BL(ボーイズラブ)資料の取扱いについて」と題する文書を中央図書館総務課長から各図書館長あてに通知した。
 ⑫ 平成20年11月4日 本件住民監査請求が提出された。
 ⑬ 平成20年11月14日 館長会議において、9月3日付けの「BL資料の取扱いについて」を変更し,18歳末満の者への閲覧・貸出しは制限しないことを決定した。同日、中央図書館総務課長から各図書館長あてに、変更内容について、11月14日から実施することを通知した。
 ⑭ 平成20年11月28日 館長会議において、これまで書庫内の一定の書棚にまとめていた図書は、一般図書として取り扱うことを確認した。

(2)ア 請求人の主張する事実のうち、図書の廃棄処分を行い又は行おうとした事実について、監査対象部局からの意見書及び事情聴取等によると、堺市立図書館における図書は、図書の保存・整理等に関する事務(以下「図書整理事務」という。)を担当する複数の司書が、図書館資料の適切な維持・管理を図るために制定された「堺市立図  書館資料保存基準」及び「堺市立図書館資料除籍基準」(以下「本市除籍基準」という。)に該当するかどうかを、図書の保存・整理等に関する司書の専門的見地及び経験をふまえて判断し、本市除籍基準等に該当する図書について除籍を行った後に廃棄している。

イ 本市除籍基準における除籍事由は、a-1著しい汚損、破損または書きこみ等があり補修が不可能なもの、a-2科学技術の進歩等により、記述内容が時代に合わなくなったもの、a-3同一内容で更新(買い替え)されたもの、a-4複本で保存の必要のないもの、a-5類書で保存の必要のないもの、a-6その他、出版事情、蔵書構成、利用者の需要及び資料の保存価値を総合的に判断して保存する必要がないと認められるものについて行う廃棄による除籍のほか、b亡失等の資料について行う事故等による除籍、C合本・製本による除籍、d他の図書館への移管による除籍となっており、特定分野の図書であることを理由とした除籍及び廃棄は含まれていない。
ウ 以上のことから、特定分野の図書であることを理由とした除籍及び廃棄は、堺市立図書館における図書整理事務として行われていないと判断される。
 また、(1)に前述した事実経過において、本件住民監査請求の対象 とされている図書が廃棄されていないことについても、監査対象部 局の意見書及び事情聴取等において明言しており、監査委員におい てもこの事実を確認している。
エ 次に、貸し出し不可能な閉鎖状態で保管しているとの事実についてみると、本件図書の保管については、本件図書は平成20年9月3日以降、これまで閲覧室に開架されていたものが書庫内の一定の書棚にまとめられ、18歳末満の者への閲覧及び貸し出しが制限されていたが、平成20年11月14日にはこれらの制限が解除され、閲覧及び貸し出しの請求があった場合にはこれに応ずることとされたことが、(1)に前述した事実経過から確認されている。
オ 以上のことから、請求人が住民監査請求の対象とした事実は、存在しなくなったものと認められる。

3 結 論
 以上のとおり、請求人が住民監査請求の対象とした事実は存在しなくなったと判断される以上、本件の住民監査請求は主張の前提を欠くこととなり、請求人の主張を検討するまでもなく理由がないものと判断される。

                                   以 上


堺市の問題に関しては、以下に経過などを書きました。
堺市立図書館で「特定図書排除」事件はなぜ起きたのか?(寺町みどり)


監査請求の陳述に関しては、図書リストの補充書(意見書)についても、
公開する予定です。


12/31追伸・
特定図書リストを分析した補充書(意見書)です。
特定図書リストについての分析-1

特定図書リストについての分析-2

特定図書リストについての分析-3



最後まで読んでくださってありがとう
「一期一会」にクリックを 
 明日もまた見に来てね
  

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする