みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「悩みのるつぼ」上野千鶴子さん/《「WAN上野ゼミ」出前編~上野千鶴子さんと語る「女ぎらい」》

2011-11-06 07:26:25 | ジェンダー/上野千鶴子
庭のドウダンツツジが色づいてきました。
菊の仲間や、秋の花たちも咲いています。

     

  

昨日は「議員と市民の勉強会」一日目でした。
朝から急いで新聞を読んでて、「あっ土曜日だった、be見なくちゃ」
と気がついて、「朝日新聞be」を開けたら、
「悩みのるつぼ」の回答者が上野千鶴子さんでした。
毎回、上野さんならではの回答で、おもしろいです。

明日から、WAN上野ゼミ出前編の申し込み受け付けなので、
合わせて紹介します。



 「感じが悪い」と指摘され
相談者:女子学生 22歳

2011.11.5 朝日新聞

 22歳の大学生女子です。
 最近、母に「あなた、性格が変わったわね。感じ悪いわよ」と言われてしまいました。
 自分ではそんなに変わったつもりはありませんでした。むしろ、性格面で人から注意されたことは出来るだけ直そうと努力してきたつもりでしたので、余計にショックを受けました。
 来春、私はある大学院の社会学部に進学する予定です。昔からよく物事を深く考えたり、分析したりするのが癖なのですが、それが日常生活に悪影響を及ぼしたようです。
 母が言うには、もともとは細かいことは気にせず、さっぱりした性格だったようなのですが、最近は何かにつけて理屈っぽく面倒くさい性格になってしまったのだそうです。
 たしかに、母と言い争うことも多くなり、以前なら黙って謝っていた状況でも、反論してしまうようになったと思います。
 この先、進学した大学院で、より論理的に物事を考えたり、激しい討論などを重ねたりするうち、理屈っぽさがエスカレートしてしまうのではないか……と不安でたまりません。
 尊敬する人物は松下幸之助さんのような方で、人生の目標は「感じが良い」「利他愛に富んだ」精神を持つ人になることです。どうしたらこの「感じの悪い」理屈っぽさから抜け出し、目標へ少し近づくことができるでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「感じが良い」は利他愛とは違います
回答者:社会学者・上野千鶴子
 

 職業や専門は、性格をつくります。はい、社会学を専門にすると、確実に性格が悪くなります。わたしを見てください(笑)。世間があたりまえと思っていることを疑い、他人が信じていることを相対化し、タテマエのウラをかくのが、社会学者の習い性だからです。信じやすく素直なひとは、性格がよくて好かれるかもしれませんが、社会学者には向きません。
 「物事を深く考え」「分析する癖」があり、「理屈っぽく面倒くさい」性格で、異議があれば「反論してしまう」あなたは社会学向きです。「細かいことは気に」したほうが緻密(ち・みつ)な議論ができますし、「さっぱりした」というより、ねばりづよくひとつの主題を追いかけるこだわりやしつこさも必要です。
 「理屈っぽさがエスカレートして」何がお困りなのでしょう。女が理屈っぽくなると男に愛されなくなる、というご心配? だいじょうぶ、たで食う虫も好きずき。世の中には理屈っぽい女を好きになる男もいます。それに恋愛って、してみたらあっけなく理屈を超えますから、ご心配には及びません。
 人生の目標は「感じが良い」人になること? だれからみて「感じが良い」と思われたいのでしょう? 万人から「感じ良」く思われるなんてことはありえません。あなたが「感じ悪い」と思っているひとにまで、「感じ良」く思われる必要はありません。「感じが良い」かどうかは、キャラの問題ではなく、関係の問題。感じのよい関係と感じの悪い関係があるだけ。生きていれば感じの悪い関係は避けられません。
 あなたの「利他愛」は、ほんとの利他愛ではありませんね。自分がだれからも感じよく思われたい、というのはたんなる自己愛。こんな低レベルの自己愛を捨てなければ、ほんとうの利他にはたどりつけません。他人の集合である社会の利益のために働きたいと思うなら、時には相手がいやがることもやらなければなりません。感じがよいだけでは利他愛など実現できないことは、知っておいてください。周囲から変人扱いされ、嫌われたり不利益をこうむったりしながらも屈せずに、原発の危険を唱えつづけた人たちのような行為を、利他愛と呼ぶのです。
 こう見ていくとあなたはとっても社会学向きのようですね。10年後に新進気鋭の社会学者としてデビューしたあなたに、お目にかかるのが楽しみです。

(うえの・ちづこ)
東京大学大学院教授。1948年、富山県生まれ。京都精華大教授を経て93年、東大助教授、95年に教授。家族、介護、福祉問題を女性学の視点から研究。著書に『老いる準備』など。
題字・イラスト きたむらさとし 


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1月に開催する《「WAN上野ゼミ」出前編の申し込みは明日11月7日(月)から。
「要申し込み・会費は事前振込み」なので、参加したい方は、
「住所・氏名・連絡先、WAN会員か否か」を明記して、申し込んでください。
申し込みいただいた方に、参加費の振込口座をお知らせします。

参加費の振り込みが確認できた時点で、
参加者として、カウントさせていただきます。

まだWAN会員になっていらっしゃらない方は、
ぜひこの機会に、WANサポート会員になって下さい。。

詳しくはみどりまでお尋ねください。

来春1月7日午後《「WAN上野ゼミ」出前編~上野千鶴子さんと語る「女ぎらい」》@ぎふ(2011.10.20)

(転送・転載OK)
  
   おんなが読む おんなが語る おんなが遊ぶ おんながつながる
   読書会は10年目。
   読む本は上野千鶴子さんの著書のみ。
   そう。 わたしたちは上野千鶴子さん(の言葉)を愛するおんなたちです。

   「女あそびの会」「プロジェクトb」「女ぎらいの会」と
   年ごとに、テーマ本に合わせて、名称と読みかたを変えながら、
   今年選んだのは『女ぎらい ニッポンのミソジニー』。

   「ひとりでは読めない本も、仲間と読めばなんとかなるさー」
   と、上野さんの最新刊ばかり読み続けて7冊目の本。
   『女ぎらい ニッポンのミソジニー』は1年かけてぶじ読み終わり。
   こんどは読者として、著者から受け取ったことばをお返しする番と、
   1月7日(土)岐阜市に、上野千鶴子さんを迎えて、
   《「WAN上野ゼミ」出前編~上野千鶴子さんと語る「女ぎらい」》を企画しました。

   読書会メンバーだけで、お話を聞くのはもったいないので、
   この日だけは、WANでつながるおんなたちもいっしょに、
   上野千鶴子さんと「女ぎらい」を語り合いましょう。


「WAN上野ゼミ」出前編(非公開)
《上野千鶴子さんと語る「女ぎらい」》

◎日時/1月7日(土)13時から14時30分(開場 12:30
)

◎ 会場/ 岐阜市女性センター(ハートフルスクエアG2階・JR岐阜駅東)
中研修室
 

◎参加者/45人(女性限定)
○参加条件/NPO法人WAN会員(サポーター含む)および「む・しネット」会員
◎会費/1000円(郵振口座に事前振込み)
○申し込み開始/11月7日(月)
要申し込み:申し込みは、midori@ccy.ne.jp
○詳細のお問い合わせは、寺町みどり (tel0581-22-4989)まで
◎主催「女性を議会に無党派・市民派ネットワーク」
共催「WAN上野千鶴子web研究室」


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