26歳の社会学者・古市憲寿さんの「絶望の国の幸福な若者たち」を買ってきました。
10月末に朝日新聞の書評欄で紹介されていて読みたいと思っていたら、
上野さんの本を探していて、2軒目に立ち寄った本屋さんで見つけました。
古市憲寿さんとは、上野さんのところに行ったときに、お会いしたことがあります。
その上野さんとの対談が、
『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください 』
(光文社新書)という本になったので読みたかったのですが、
こちらは見つかりませんでした。
「絶望の国の幸福な若者たち」(古市憲寿著/講談社/2011/9/6)
26歳の社会学者、古市憲寿「人は、将来に希望をなくしたとき『今が幸せ』と感じる」
26歳の若き社会学者・古市憲寿。彼が書いた『絶望の国の幸福な若者たち』が今、巷(ちまた)で話題になっている。
同世代の古市が描く「若者論」は、手垢のついた古くさい主張とは一線を画す視野と思考で、リアルにこの社会を射抜いている。終身雇用制度が崩れた感のある現代において彼が考える「若者」と「仕事」とは・・・
(週プレNEWS - 2011年11月6日)
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古市憲寿さん、最近注目されているようで、
毎日新聞と読売新聞でも紹介されています。
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10月末に朝日新聞の書評欄で紹介されていて読みたいと思っていたら、
上野さんの本を探していて、2軒目に立ち寄った本屋さんで見つけました。
古市憲寿さんとは、上野さんのところに行ったときに、お会いしたことがあります。
その上野さんとの対談が、
『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください 』
(光文社新書)という本になったので読みたかったのですが、
こちらは見つかりませんでした。
「絶望の国の幸福な若者たち」(古市憲寿著/講談社/2011/9/6)
絶望の国の幸福な若者たち [著]古市憲寿 [評者]中島岳志(北海道大学准教授) [掲載]2011年10月30日 朝日新聞 ■不安で幸せ?論争的な若者論 現代日本の若者は不幸だといわれる。格差は拡大し、経済成長も難しい。しかし、社会調査では意外な結果が出る。20代の実に7割が、現在の生活に満足していると答える。今の若者たちは、自分たちの生活を「幸せ」と感じているようなのだ。著者は、この奇妙な幸福感の源泉を探り、現代社会のあり方を模索する。 若者は本当に「幸せ」なのか。別の調査では、「不安がある」と答える若者の割合も増加している。若者の傾向は、「幸せ」と同時に「不安」を抱えているというアンビバレントなものなのだ。 では、なぜそのような事態が生じるのか。それは「将来の希望」が失われているからである。もうこれ以上、幸せになるとは思えないため、若者たちは「今、幸せだ」と答えるしかない。今よりも幸せな未来を想像できないからこそ、現在の幸福感と不安が両立するのだ。 若者は「自己充足的」で「今、ここ」の身近な幸せを重視しているという。親しい仲間たちと「小さな世界」で日常を送る日々に幸福を感じているようだ。また、一方で社会貢献をしたい若者も増加している。最新の調査では20代の若者の約60%が社会のために役立ちたいと考えている。 ここでキーワードとなるのが「ムラムラする若者」だ。仲間といっしょに「村々する日常」とそれを突破する「ムラムラする非日常」を同時に求める心性が、多くの若者に共有されているという。しかし、非日常はすぐに日常化する。そこが居場所となれば、急速に社会性は氷解する。 著者は、それでいいじゃないかという。複数の所属をもち、参入・離脱の自由度が高い承認のコミュニティーがあれば、十分生きていけるじゃないかという。 しかし、現実には仲間がいるのに孤独や不全感を抱える若者も多い。賛否が分かれるであろう論争的な一冊だ。 ◇ 講談社・1890円/ふるいち・のりとし 85年生まれ。慶応大学訪問研究員(上席)。『希望難民ご一行様』。/td> |
26歳の社会学者、古市憲寿「人は、将来に希望をなくしたとき『今が幸せ』と感じる」
26歳の若き社会学者・古市憲寿。彼が書いた『絶望の国の幸福な若者たち』が今、巷(ちまた)で話題になっている。
同世代の古市が描く「若者論」は、手垢のついた古くさい主張とは一線を画す視野と思考で、リアルにこの社会を射抜いている。終身雇用制度が崩れた感のある現代において彼が考える「若者」と「仕事」とは・・・
(週プレNEWS - 2011年11月6日)
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古市憲寿さん、最近注目されているようで、
毎日新聞と読売新聞でも紹介されています。
特集ワイド:「若者ってかわいそう」なの? 20代の70%が今の生活に「満足」 ◇キーワードは自己充足 世代間格差が話題だ。「若者がかわいそう」だの、「かわいそう」はウソだの、若者以外が騒いでいる。ところが26歳の社会学者、古市憲寿(のりとし)さんはいう。「世代間格差に一番怒ってるのは40代のオジサン世代じゃないですか」。ええっ!? 40代としては聞き捨てならない。ならば聞かせてもらいましょう。「若者ってかわいそうではないの?」【小国綾子】 ◇気の合う仲間と日常を楽しみ、案外社会に真剣に向き合って、自分にできることをしようと、まじめに思ってる 古市さんは現在、東大大学院生。9月には「絶望の国の幸福な若者たち」(講談社)、10月には社会学者の上野千鶴子さんとの対談集を出版した。ポスト・ロスジェネ世代の若者論の旗手として、今やメディアで引っ張りだこだ。 待ち合わせ場所は、昼下がりの東大本郷キャンパス(東京都文京区)。古市さんと同世代の意見も聞きたくて、研究仲間の大学院生(27)の女性らにも同席していただいた。 「『若者はかわいそう』と言われても僕らに実感はないですね」。古市さんはデータを挙げて説明してくれた。内閣府世論調査(2010年)では、20代の実に70%以上が今の生活に「満足」している。これは過去40年で最高で、おまけに他の世代より高い。満足度が一番低いのは50代(55%)だ。 「デフレが進み、ユニクロやファストフードでも、お金をかけずそこそこ楽しく暮らせるようになりました。ケータイなど、友だちとつながるツールも増えましたしね」 でも、一方で20代の63%の人が「生活に悩みや不安がある」という。80年代後半には40%を切っていたのに。「満足なのに不安」って? 「人は『将来、今より幸せになれる』と思った時、今に満足しなくなる。逆に『これ以上幸せになれない』と思うから、今に満足するのです」。つまり希望がないから「今に満足」ってわけか。見れば隣で、20代の女性2人もうなずいている。 でも、満足している「今」の暮らしも続く保証はないのでは……。 「ところが若者にその実感はありません。将来について尋ねた調査で『今と同じ生活が続く』と答えた20代は6割。一方『悪くなる』はわずか1割。中高年では『悪くなる』が3~4割もいたのに」 古市さんが観察してきたポスト・ロスジェネ世代の若者像は、こんなふうだ。日本の将来より、世界の将来に関心があり、バブル時代の若者より、実は社会や政治に関心も高い。社会貢献したい気持ちはあるのに、具体的な目標やきっかけがないから動けない。 キーワードは「コンサマトリー(自己充足)」。「気の合う仲間と日常を楽しむ生き方。野望を抱いたりせず、友だちと一緒にご飯を食べられたら幸せ、みたいな」。そういう感覚が若者に広まっているという。「例えば、借家を仲間とシェアしたら生活費は月5万円。だったら日雇いでも暮らせる、と会社を辞めた人もいました。病気になったらどうするの? と聞いたら、『ツイッターでつぶやけば、誰か友だちが薬を届けてくれるから』と」 思わず意地悪な質問を投げてしまった。「自己充足」って「自己満足」とどう違うの? ところが古市さん、涼しげに「まあ、同じでしょうね~」だって。「自己が満足し、今ここで生きていく、それでいい、ってことだから」 中国の若者には、こう言われたそうだ。「日本の学生って何だか年寄りみたいだね」 こんな「若者論」に今、同世代から多くの共感が寄せられている。一方で、年配の人からはこんな声も。「若者はもっと怒れ!」。古市さんは「怒りは一瞬、人をまとめるけれど、それだけでは物事は動かない。怒りより共感が大事と思いますけど」と受け流す。 でも世代間格差はもはや火を見るより明らかだ。年金や医療など社会保障を通じて若者は高齢者より1億円も損する、なんて試算を聞けば、さすがに腹も立つでしょう? しかし、同席の20代の面々は「あーあ、って感じ?」「そう。あーあ、だよね」。えっ、それだけ? すると古市さん、痛いところを突いてきた。「世代間格差や若者貧困論を一番言いたがるのは40代。将来が不安なのは中高年の方では? 不安を若者に転嫁し、弱者を代弁するふりをしているだけじゃないですか。年金制度が崩壊して困るのも若者ではない。35歳以下の半分がもう、保険料を払ってないですから」 もっとも古市さんは、同世代の友人の起こした会社の執行役員で、厚生年金保険料を払う身だ。「どうせ僕らは将来、年金なんてほとんどもらえないでしょうが、社会貢献のつもりで払ってます」 著書で書いている。「若者が頑張ることのできる仕組みもない社会で『夢をあきらめるな』なんて言うな。むしろあきらめさせろ」と。「フリーターや派遣で働いていて、学歴も経験もない若い子たちがキャリアアップできる仕組みが、この社会にありますか?」。研究仲間の女性もボソッとつぶやいた。「頑張ってもその先に楽しそうなものが見えないのよね。頑張ってる人も幸せそうじゃないし」 大人の目には、不運に見える20代。物心ついた時には「失われた10年」で、就職超氷河期だニートだと言われ、育った世代だ。しかし彼らの目には、上の世代も幸せに見えないらしい。 古市さんは言う。「『昔は良かった』ってそれ、いつの話です?」。モノはなくとも心豊かな「三丁目の夕日」の昭和30年代か、はたまたジャパン・アズ・ナンバーワンの80年代か、バブル期か。 「『あの頃に戻りたい』と言われても、僕にはしっくりこないんですよね。庶民が物価高と公害に苦しんだ高度成長期や、今から見ればしょぼいシティーホテルでまずいフランス料理を食べていたバブル時代に戻りたいですか? 過労死と隣り合わせの正社員や社畜になり、何十年も先の退職金の額まで予測可能な人生を送るよりは、今の若者は自由な人生を送れるようになった、と言えるのかもしれませんよ」 何というか、クールでドライ。でも決して、しらけているわけじゃない。「今の20代って案外社会に真剣に向き合い、自分と地続きの場所で自分にできることを何かしようというまじめな人が多いんですよ」と古市さん。 なるほどこれが、新しい幸せの形、なのかもなあ。20代と40代が一緒にワイワイガヤガヤ。インタビューが終わったころには、東大キャンパスは夕暮れにすっかり沈んでいた。 ============== ◇「特集ワイド」へご意見、ご感想を t.yukan@mainichi.co.jp ファクス03・3212・0279 毎日新聞 2011年11月16日 |
【今を読む】 研究者や技術者の「世代間格差」 編集委員・知野恵子 30年以上――。その長さを想像して、思わずため息が出た。 前例のない大規模事故を引き起こした東京電力福島第一原子力発電所。原子炉を解体し、更地に戻すまでに30年以上かかると、政府の原子力委員会がはじき出した。事故の影響の大きさが改めて身にしみる。 それにしても長い。「今、東電に入社したら、定年までずっと廃炉担当技術者なのかな」。不安そうな表情で、原子力を学ぶ若者が口にした。 その原子力委員会の報告書を読むと、事故の後始末の大変さが伝わってくる。 「世界的にも例の極めて少ない難しい課題に挑戦」「国内外の専門家、産業界の英知を結集」「成果が、原発の廃止措置へ的確に反映される必要がある」など、緊急声明のような文章が続く。廃炉に向けて取り組まねばならない新技術開発もたくさん挙げられている。「原発安全神話」にどっぷり浸かってきた時には考えようともしなかった、様々な難題が待ち受ける。 それをこなす優れた人材をどれだけ集められるか。その人たちが希望や意欲を持って取り組もうという気持ちになれるかどうか。それでなくても15年以上にわたって原子力分野は若者の間で不人気だった。先行きが気にかかるところだ。 「世代間格差」――。社会保障を巡って問題になっているが、科学技術の世界でも同じだと感じる。 現在を起点に、時計の針を逆に30年前の1980年代前半に戻してみる。 国内はバブル景気へ向かっていた。科学技術分野の予算も拡大し、取り組むべきテーマは尽きなかった。 原子力では、ウランを再利用する「核燃料サイクル」構築に向けて、高速増殖原型炉「もんじゅ」の工事着工が迫っていた。資源の少ない日本。エネルギー問題解決につながると期待されていた。 コンピューターに人間と同じような知能を持たせようという国の大型プロジェクト、「第5世代コンピューター」も始まった。 原子炉内で人間の代わりに作業する「極限作業ロボット」プロジェクトもスタートした。 地震研究では、「大規模地震対策特別措置法」を受けて、東海地震の予知が可能になると目されていた。 米国のスペースシャトルの初飛行もこの時期だ。宇宙と地球を繰り返し結ぶ画期的な輸送機の登場。日本人宇宙飛行士を乗せてもらおうという構想が国内で動き出した。 だが、30年の間に、期待は次々としぼんでいった。というより、現実の厳しさに直面したと言うべきか。 高速増殖原型炉「もんじゅ」は、事故やトラブルで止まったまま。第5世代コンピューターも華々しい成果がないまま終わった。極限作業ロボットは実用化されなかった上、福島第一原発事故では、使える国産ロボットがないことが問題になった。3月11日の巨大地震を想定できなかった地震研究者からは、反省の弁が語られる。シャトルも2回の大事故を起こし、この夏に引退した。 原発事故の後始末をのぞくと、科学技術の次の目標は見えない。経済情勢は悪化し、研究予算も増えない。かつてのように華々しい未来図を描けば、潤沢な研究費や開発費が国から与えられる時代ではなくなった。先輩たちの、研究や技術開発モデルは、若い研究者たちには通用しない。損な世代であると感じる。 そうした中、国の科学技術政策をもっと効果的に進めるための検討が始まった。科学技術政策の司令塔である「総合科学技術会議」の組織を見直す議論だ。 その議論の中で「今までは科学技術関係者を中心に政策を展開してきた。これからは経済、社会へのつながりを考えないといけない」という意見が出た。 研究する側が望むことが、国の政策の羅針盤の役割を果たしてきたこれまでの30年。これからの30年は、そうはいきそうにない。 この秋、「絶望の国の幸福な若者たち」という本が出版され、注目を集めている。著者は東大大学院生の古市憲寿さん。これ以上幸せにならないと思ったら、今に満足するしかない、というのが古市さんの分析だ。 科学技術の世界でもそうなってほしくない。新たな時代と目標に向けて、これからが知恵の絞り時だ。 (2011年11月18日 読売新聞) |
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