みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

メディア観望・ムラからの脱走/核燃サイクル「秘密会議」:まるでムラの寄り合い

2012-06-13 21:53:28 | ほん/新聞/ニュース
昨日の中日新聞の夕刊、「メディア観望~ムラからの脱走」がとてもよかった。
書いたのは特報部デスクの田原牧さん。
権力に対峙し「脱原発」の記事を書き続ける新聞記者の矜持を見た思いです。

   メディア観望~ムラからの脱走
   
   2012.6.12 中日新聞


 メディア観望~ムラからの脱走
田原牧


 その記事を読んで、いじめの光景を思い浮かべた。
 毎日新聞がスクープした原子力委員会の秘密会議事件である。原発推進派がひそかに集まり、報告書に手を加えていたという疑惑だ。
 他紙に"抜かれた"恥ずかしさを堪えて抜粋すると、こうである。「一人が反対派の論客である環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らの名前を挙げ批判すると、一斉に笑い声が起こった」。飯田氏もかつては原子力ムラの住民だった。意識するのだろう。

■「裏切り」の報い
 「笑い」の底には、穏やかさとは遠い感情が渦巻いていたに違いない。その正体が無邪気なエリート意識なのか、脱原発世論に対する強がりなのかは定かでない。・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

■抵抗は「偏光」か
 福島原発事故の衝撃は技術や安全性の論議を超えて、人びとの生き方を揺さぶった。ただ、ムラは強大で、脱出した人びとの力はまだ弱い。
 そうした人びとと「特報部」は走ってきた。だから、ときに「反原発派の機関紙」という批判も受ける。では、問いたい。対等な議論は保障されているのか。異論排除を作法とするムラは解体されたのか。答えは否だ。
 小さな抵抗の声を取り上げる。それを「偏向」と呼ぶなら、その非難は甘んじて引き受けたい。(特別報道部)


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毎日新聞のスクープ記事もあわせて紹介します。

 核燃サイクル「秘密会議」:まるでムラの寄り合い
毎日新聞 2012年05月24日

 扉の向こうに信じがたい光景が広がっていた。4月24日、東京・霞が関で開かれた「勉強会」と称する核燃サイクルを巡る秘密会議。一線を画すべき国家公務員と電気事業者が談笑する様は、まるで「原子力ムラ」の寄り合いだ。参加者の手元にはなぞの文書が配られる。取材班は後に内閣府原子力委員会の小委員会で示される報告案の原案だったことを突き止めた。【核燃サイクル取材班】

 ◇反対派批判、一斉に笑い
 4月24日午後5時前、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館7階743会議室。開けっ放しのドアから三々五々、背広姿の男たちが入室していくのを記者は目撃した。原子力委員会、内閣府、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業連合会、日本原燃、東京電力……。反対・慎重派の姿はなく、推進派ばかりだ。
 青のワイシャツ姿の男が脇に書類の束を抱えて入室してきた。机にどんとおろす。一山にすると崩れるからか二山に分けて置いた。高さは片方が20センチ、もう片方が10センチぐらいだろうか。後に判明した事実によると、文書は「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の報告案の原案。実際に審議されたのは14日も先だ。
 2人の内閣府職員が「ロ」の字に並べられた机の上に1部ずつ原案を配布していく。電事連幹部らが笑顔で受け取る。扉のすぐそばに座っている高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」幹部は熟読していた。やがて雑談が始まり、1人が反対派の論客である環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らの名前を挙げ批判すると、一斉に笑い声が起こった。
 午後5時10分、開けっ放しだった会議室のドアが静かに閉まり、秘密会議が始まった。関係者によると、青森県六ケ所村の再処理工場を運営する「日本原燃」幹部が再処理事業の生き残りを意味する「再処理・直接処分併存(併用)」政策で小委員会の議論をまとめるよう依頼した。「六ケ所をやめて直接処分にするとあちこちが大変になる」と強調する幹部。再処理事業が破綻すると、六ケ所村に貯蔵中の約2919トンの使用済み核燃料は施設外に搬出しなければならないとされる。
 小委員会は今月23日、新大綱策定会議に併存に有利な表現の並んだ「総合評価」を盛り込んだ取りまとめを報告した。経産省関係者は「再処理しても最後はごみを捨てなければならない。政府と役人が一体となって最終処分場を造るために汗を流さなければならない時に、時間稼ぎに過ぎない政策を推進している」と嘆いた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



社説:核燃「秘密会議」 透明性の徹底図れ 
毎日新聞 2012年05月25日 

 内閣府原子力委員会が核燃料サイクルの推進側だけを集めて非公開の「勉強会」を開き、サイクルの今後のあり方を検討していた同委・小委員会の報告書原案への意見を聞いていたことがわかった。
 中立・公正であるべき政策決定が秘密会議の議論に影響されることがあってはならない。まして、原子力政策は利害関係者によってゆがめられてきたとの疑念がクローズアップされているところだ。新たに政策を選択していくに当たり、透明性の確保は最重要課題といっていい。
 原子力委は経緯を明らかにし、姿勢を正さねばならない。
 「勉強会」には、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業連合会、青森県六ケ所村の再処理工場を経営する日本原燃、高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構などから幹部が出席していた。いずれも、核燃料サイクルを維持したい利害関係者だ。小委の座長と事務局も出席していた。
 小委では、使用済み核燃料の扱いについて、「全量再処理」「全量直接処分」「再処理・直接処分併用」の三つの選択肢が検討されていた。「勉強会」には選択肢の総合的評価の原案が示され、再処理の当事者である日本原燃が再処理工場の存続を要請したという。
 結果的に小委の場に提出された評価案では、再処理をしない「全量直接処分」を選択した場合の難点の記述が原案に比べ増えていた。再処理を維持する「併用」については利点の記述が増加していた。
 評価案は公開の小委で、再処理を推進する立場の委員と、反対・慎重の立場の委員の意見を聞き議論した上で最終的にまとめられている。小委のメンバーは大学教授やNPOの代表などで、電気事業者や省庁など直接の利害関係者は入っていない。
 推進派が多く、議論が再処理継続に引きずられた印象はあるが、過去の原子力政策の決定に関係する会議に比べれば、中立性・透明性を保とうとする姿勢は見られた。それだけに、小委の座長が出席した密室の「勉強会」で報告の原案が検討され、信頼を損なう結果になったことは残念だ。
 小委の報告は原子力委の「新大綱策定会議」に提出されたが、この会議でも議案が資源エネルギー庁や電気事業者に事前に示されていたという。こうした根回しが習慣化していたとすれば、徹底的に改める必要がある。
 原発事故を経て、これまで原子力政策やエネルギー政策を進めてきた政府機関に対する国民の不信感は非常に強い。政策決定にかかわる政府の会議は、中立性と透明性の徹底を再確認してもらいたい。 


 クローズアップ2012:原子力委問題 秘密会議、消えぬ疑問 議事録「なし」解明に壁 
毎日新聞 2012年05月30日 東京朝刊

 使用済み核燃料を再利用する核燃サイクル政策を見直している内閣府原子力委員会20+件が推進側だけを集めて「勉強会」と称する秘密会議20+件を開いていた問題で、近藤駿介原子力委員長は29日、会議で使用した全資料を公開する方針を明らかにした。一歩前進とも言えるが、議事録や議事メモは「存在しない」と説明しており、実態解明への道のりは険しい。取材結果と重ね合わせると多くの疑問が浮かんでくる。委員の発言などを中心に分析した。【核燃サイクル取材班】

 (1)「議事録、議事メモ、出席者リストはない」(29日、原子力委の鈴木達治郎委員長代理と秋庭悦子委員)
 29日に開かれた原子力委の「新大綱策定会議」。近藤委員長は23回の秘密会議20+件で使用した資料の順次公開を表明したが、鈴木代理らは議事録の存在を否定した。検証は可能か。
 問題の4月24日の秘密会議。原子力委の「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」(小委員会)の結論部分に当たる「総合評価」について、使用済み核燃料の「全量再処理」、「全量直接処分」、両者の「併存(併用)」の3政策をどう評価するかが記載された報告案原案が示された。鈴木代理や事業者ら推進派のみ約30人がいたが、反対・慎重派はいなかった。原案と5月8日の小委員会に提出された報告案を比べれば変更部分は分かる。しかし変更理由は記載されておらず、読み解くには議事録や議事メモが不可欠だ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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6月12日(火)のつぶやき

2012-06-13 01:28:52 | 花/美しいもの
05:18 from Tweet Button
家事労働のテクノロジー化は女たちを解放したか? 『お母さんはいそがしくなるばかり』 ルース・シュウォーツ・コーワン(高橋雄造訳) | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/book/?p=4193

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