みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

それでも原発に頼らず(論説主幹・深田実)/【岐阜】大飯再稼働決定に抗議の沈黙(中日新聞) 

2012-06-18 21:30:27 | 地震・原発・災害
昨日の中日新聞一面の「それでも原発に頼らず」はとても胸にしみるものでした。


2012/6/17 中日新聞

それでも原発に頼らず(論説主幹・深田実)
2012/6/17 中日新聞

 大飯原発再稼働の決定を聞いて福島の人たちはどう思ったでしょう。想像してみてください。突然故郷を喪失させられた人々の政府への不信と怒りの深さを。
 私たちも同じように思います。福島の事故で私たちの学んだ多くのことが、一握りの政治家らによってこれほどやすやすと忘れ去られてしまうのかと。
 地元福井は国にさまざまな要求をしました。頼りない政府に向かっては当然のことです。一方、国民の多くには、国の性急さばかりが印象づけられました。これほどの重大事なのに手続きは粗略、ろくな説明も情報開示もない。
 これはデモクラシー、民主主義の軽視にほかなりません。
 政府はこの夏に、日本の未来のエネルギー計画について大綱を出し、それをもとに国民的議論を行うと言ってきました。しかし、それは本来、再稼働を決める前に行うべきことです。順番が間違っているのです。民主的ではないのです。ここに日本の原子力政策の致命的欠陥があります。
 これはとてもおそろしいことです。国民の健康と安全、日本への信頼、世界の環境、また日本の未来にもかかわる重大事が、この程度の手続きで決まってしまうのですから。
 今、世論の多くは脱原発依存を支持しています。世界を見渡せばドイツは昨年、早々と脱原発を決めました。環境汚染に厳しい国柄ですが、人も技術も優れた日本で重大事故が起きたことに驚いたのです。
 日本は日本のやり方で決めればいいと思います。技術論だけでなく、日本人のもつ自然観、倫理観また歴史があります。
 私たちは、原発に頼らない第一の理由として、人の命と健康は経済性に優先する、と訴えてきました。ドイツには人間の尊厳を重んじる人間中心主義というカント以来の思想がありますが、日本にも人や自然を大切にする伝統的精神があります。
 未来は長い目で考えたい。自然エネルギーの活用は持続可能性を実現するかぎです。大量消費文化は見直すべき時です。被爆国としては、核不拡散を進める人類的責務もあります。
 国は再稼働を決めました。しかしそれでも、私たちは、原子力に頼らない、持続可能という新たな豊かさを築くべきだと考えます。次世代のためにも、今よりも未来を考えようではありませんか。そのためには、民主的手続きと国民的議論が欠かせないのです。  


おなじ17日の中日新聞の岐阜版のトップ記事は、岐阜の脱原発グループの抗議行動のこと。
がんばっている旧知の友人たちのの顔や名前も出ています。

 【岐阜】大飯再稼働決定に抗議の沈黙 
2012年06月17日 中日新聞 

 政府が関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働を決めた十六日、県民や首長には安全性の確保に懸念が広がり、福井県に隣接しながら再稼働の判断に関われないことへの不満の声が上がった。経済界は一様に再稼働を歓迎したものの、古田肇知事は「県民には不安の声が多い」として、再稼働後の状況を積極的に情報提供するよう国に求める考えを示した。
 岐阜市のJR岐阜駅前では十六日夜、脱原発を訴える「さよなら原発ぎふ」のメンバー約三十人が「福井の原発群の風下に住む岐阜県民として到底容認できない」と書かれたチラシを配り、五分間沈黙して抗議した。
 メンバーの戸田二郎さん(61)=笠松町=は、市民に「立地自治体だけの同意で再稼働が判断されてもいいのか。国は周辺の理解を得る努力をすべきだ」と訴えた。
 「放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜」の兼松秀代さん(64)=岐阜市=も「原発なしで一カ月やってこられた。日本全体で節電すれば夏も乗り切れるのに」と話す。
 県内で最も大飯原発に近い揖斐川町の坂内地区で農業を営む谷口則夫さん(61)は「見切り発車。再稼働してほしくなかった」。地区には一年の多くを西風が吹き下ろす。「何かあったら完全に停止できるのか。安全が確保されているのか分からない」と困惑する。
 関市小瀬の喫茶店経営山田みどりさん(47)も「安全性の信用できるデータがない」と国への不信感をあらわにし、揖斐川町三輪の農業小寺春樹さん(64)も「国はきちんと説明して」と不安を示した。
 再稼働に理解を示す意見もある。坂祝町の大学生大家祐一さん(21)は「経済をこれ以上悪くさせないために原発は必要。資源の乏しい日本は原発を中心にし、他の資源も上手に活用するべきだ」。
 多治見市北丘町の税理士戸田政雄さん(63)は「どうしても足らない分を補うための再稼働は致し方ない」とする一方で、「絶対の安全がないことは福島で分かった。再稼働はあくまで暫定とし、代替エネルギー技術を開発するまでの時間稼ぎにすべきだ」とくぎを刺した。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

「脱原発」の方針を鮮明にしている中日新聞は、社説も「大飯原発再稼働」のこと。

  【社説】大飯原発が再稼働へ 私たちの望む未来は
2012年6月17日 中日新聞

 政府は、大飯原発3、4号機の再稼働を決めた。だが、私たちは日本の未来をあきらめない。原発に頼らない社会を目指そう。節電の夏にも挑もう。
 「福井県の決断に感謝したい」と、野田佳彦首相は言った。まさか、危険を背負い続けてくれることへの感謝ではあるまい。
 東日本大震災のあと、私たちはこの国を変えようとしてきたはずである。何よりも命を貴び、災害に強い地域をつくる。そのために私たち一人一人も変わろうとしてきたはずだ。

安全の根拠はどこに
 原発の再稼働を、このような形で今許すのは、間違いだ。新しい日本が遠ざかってしまう。
 第一に、福島の事故原因がわかっていない。まだ誰も責任を取っていない。誰もきちんと謝ってはいない。そういうあいまいさの中での再稼働なのだ。
 政府はまるでピンポンのように、「責任」というボールを地元に投げ付けて、最終的には、野田首相、枝野幸男経済産業相ら関係閣僚の協議で決めた。
 最後が政治判断というのは、間違いではない。だが、それには大方の国民が納得できる科学的根拠が欠かせない。
 政治判断のそもそもの根拠にされた安全基準は、経産省の原子力安全・保安院がたった二日で作った即席だ。福島第一原発事故の張本人で、間もなく解体される予定の保安院が作った安全基準を、国民として信じられるはずもない。新たな原子力規制機関の設置法は、まだ成立していない。原発の安全をはかる物差しが、今この国には存在しないのだ。
 ところが、関西電力が一方的に主張する「この夏14・9%の電力不足」という予測だけを前提に、流れ作業のように再稼働へと判断が進んでいった。
 非常時の指揮所になる免震棟と放射性物質のフィルターがついたベント(排気)設備は、それぞれ四年後、防潮堤のかさ上げは二年後にしか完成しない。地表がずれて原子炉を損傷させる恐れがあると専門家が指摘する、原発直下の断層に至っては、再調査の予定もないという。
 後ずさりする政治をよそに、私たちは、今も変わろうと願っている。政府がなすべきことは、綿密な節電計画を立てて、国民によく説明し、協力を求めることだったのではないだろうか。私たちは喜んで受け入れた。

世界はグリーン経済へ
 太陽光パネルや家庭用燃料電池を取り付ける家が増えている。装いは涼しく、エアコンは、ほどほどに。打ち水をし、風鈴を軒に下げてみるのもいい。際限なき電力依存から抜け出そう。
 モニターの数字を見ながら、ゲーム感覚で節電を楽しむ家庭も増えた。
 多くの企業は、直接の経費節減につながり、ビジネスチャンスの宝庫でもある省エネへの取り組みをやめるはずがない。
 二十日からブラジル・リオデジャネイロで始まる「国連持続可能な開発会議」もテーマに掲げたように、世界の潮流は、省エネ、省資源のグリーン経済だ。
 経済の繁栄は、原発ではなく持続可能性の上に立つ。技術立国日本こそ、グリーン経済移行の先頭に躍り出るべきなのだ。
 そのためには、原発の寿命を最大でも四十年と厳しく定め、この間に風力や太陽光、太陽熱の効率利用に磨きをかける。
 移行期間は水力や火力でつなぐ。クリーン・コール(有害排出物の少ない石炭燃焼)技術などを駆使した小規模な発電所を、可能な限り地域に分散配置して、高度な通信技術で需給の管理を図るエネルギーの地産地消が望ましい。
 廃熱を利用し、蓄電技術に磨きをかけ、国内に豊富な地熱や森林(バイオマス)などの資源も、もっと活用すべきである。
 日本経済の未来をひらいてくれるのは、原発ではなく、積み上げてきた省エネ技術なのである。
 国民は原発の立地地域にも、深い理解を寄せている。原発の危険と隣り合わせに生きてきた地元の痛みを感じている。
 原発マネーが支える暮らしは永続しない。電力への依存をお互いに改めて、この国全体の体質改善を目指したい。

なし崩しは許さない
 大飯原発3、4号機は、動きだす。しかし、例えば四国の伊方原発、北海道の泊原発と、再稼働がなし崩しに進むのを、私たちは恐れる。安全と安心は立地自治体はもちろん、日本全体が求めてやまないものだから。
 福島の教訓を教訓以上の成果にするため、私たちは立ち止まらない。福島に報いることでもある。原発推進、反対の立場を超えて、持続可能な新しい日本を築く。 


17日の河北新報と新聞各社の社説です。

  社説:大飯原発再稼働/「福島」を忘れ去るつもりか 
2012年06月17日 河北新報

 これでは「喉元過ぎれば…」ではないか。
 関西電力大飯原発(福井県)の再稼働が、きのう決まった。経過をたどると、まるで福島第1原発事故がなかったかのような錯覚にとらわれる。
 原発事故で故郷や仕事を失ったままの人たちや、放射性物質の危険にさらされて暮らす人たちの視点は、どこにもうかがえない。地元のおおい町から福井県、そして国へと何事もなかったかのように淡々と手続きが進められた。
 再稼働をめぐる一連の動きのポイントになったのは8日の野田佳彦首相の記者会見だった。だが、その内容は「福島のような事故は起きない」と意味もなく繰り返したにすぎない。
 事故への何の反省も示さないまま、この期に及んでなお「安全神話」を振りまく。原発事故の影響は生易しいものではないし、一体いつまで続くのかも分からない。一国のリーダーとして、その重大性をどこまで理解しているのか甚だ疑問だった。
 今、国民の前で原子力を語るのであれば、事故の原因と教訓、国策として取り組んだ原子力開発への評価、さらに将来の選択肢などについて丹念に説明すべきだった。その上で、再稼働の是非に言及すればいい。
 そうした理念が欠落しているばかりか、具体的な根拠も示さないまま「原発を止めてしまっては社会は立ち行かない」「東日本大震災のような地震と津波が来ても事故は防止できる」などと言ったところで、まったく説得力がない。
 福島第1原発が立地している福島県双葉町の井戸川克隆町長は「何十年も安全と言われ続けてきた。今回も同じような判断でしかないのかと、非常に残念に思う」と話したが、まさしくその通りだ。
 多くの原発事故被災者も同様に感じたのではないだろうか。それほど、被災地の人たちの心情と懸け離れている。
 福井県の同意によって、原発事故後初めて再稼働に向けて動き始めることになるが、関西地方の夏場の電力需要に備えた緊急避難と位置付けるべきだ。
 夏さえ乗り切れば当面、電力は足りるはずであり、安全性の追求を犠牲にしてまで急ぐ理由は見当たらない。そして全国のほかの原発については、福島第1原発事故の検証と原子力政策全体の見直しを踏まえ、あらためて考えた方がいい。
 原発事故には依然、未解明の部分が多すぎる。どの原子炉がどんな損傷を受け、どれほどの量の放射性物質を放出したのかという、基本的なことすらよく分かっていない。
 大量の放射性物質が放出された原因と経過を究明し、住民を被ばくから守る避難対策に反映させなければ、あの事故から教訓をくみ取ったとは言えない。
 原発事故は決して福島県だけの問題ではない。事故で放射性物質がまき散らされたら、どこまで広がるか予想もつかない。その教訓を置き去りにした原子力政策はあり得ない。 


社説:大飯再稼働―原発仕分けを忘れるな(朝日新聞 2012年06月17日)

社説:大飯再稼働決定 脱原発の流れ止めるな
(毎日新聞 2012年06月17日) 


クローズアップ2012:大飯再稼働決定 安全対策は積み残し(毎日新聞 2012年06月17日) 


最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6月17日(日)のつぶやき

2012-06-18 01:23:08 | 花/美しいもの
10:36 RT from web  [ 5 RT ]
! RT @tetsu_molotov: 【本日!】『さよなら原発!三鷹アクション3』脱原発デモ。6月17日(日)13時集合、13時半出発。ローカル・デモの真骨頂。第二グループのアジテーターに紫野明日香女史と火炎瓶テツが参加(異色!)。※→mitaka2011nonukes.blog.fc2.com
野村羊子さんのツイート

12:21 from Tweet Button
『それでも、愛してる』喜劇と悲劇を織り交ぜた人間賛歌 青山リサ [学生映画批評] | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/reading/?p=7455

12:22 from Tweet Button
家事労働のテクノロジー化は女たちを解放したか? 『お母さんはいそがしくなるばかり』 ルース・シュウォーツ・コーワン(高橋雄造訳) | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/book/?p=4193

13:57 from Tweet Button  [ 3 RT ]
【v-wanニュース】2012・6・15首相官邸前再稼動反対デモ(読者投稿) | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/reading/?p=7465

21:41 from gooBlog production  [ 2 RT ]
【悩みのるつぼ】お母さんと体を交換したい/(上野千鶴子)お母さんの反応を見てみたら? goo.gl/zEulW

by midorinet002 on Twitter
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする