みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「原子力の憲法」こっそり変更/平和の理念ゆがめるな/東電事故調査―この体質にはあきれる

2012-06-22 20:56:07 | 地震・原発・災害
昨日の中日新聞に、原子力基本法が国会で審議されないまま、
改悪されてしまったと知りました。

それも(基本方針)である第2条に一項が追加され、
「我が国の安全保障に資することを目的として行う」との文言がいれられたとのこと。

原子力基本法
(昭和三十年十二月十九日法律第百八十六号)

(基本方針)
第二条  原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。


重要な法律の根幹部分がこのような形で、改正されるとは信じられない。

なにもかもが為政者の思い通りにすすめられていく、なら、
議会や議員はなんのためにあるのか。

原子力基本法が「こっそり」改正されているのに、国会議員たちは政局に明け暮れている。
議会制民主主義すら機能しない、この国の政治。
どこへ行くのだろう。

   【社説】「安全保障」追加 平和の理念ゆがめるな 
2012年6月22日 中日新聞

 「原子力の憲法」といわれる原子力基本法がこっそり変更されていた。国会でほとんど議論されぬまま「安全保障に資する」の文言が加えられた問題は、原子力の平和利用の理念をゆがめるものだ。
 二十日に成立した原子力規制委員会設置法で、原子力基本法の一部が改正された。基本法は、原子力の研究と開発、利用の基本方針を掲げた「原子力の憲法」である。核を「持たない」「つくらない」「持ち込ませず」の非核三原則の初め二つの基礎だ。しかも今回の改正の対象となったのは「公開・民主・自主」をうたった基本法二条という重要条項だった。
 改正は、原子力利用の安全の確保について「確立された国際的な基準を踏まえ」としつつも、「我が国の安全保障に資することを目的として行う」との文言が追加された。
 この「安全保障に資する」といった、あいまいな表現は重大な疑念を招きかねない。二十日の参議院環境委員会では、核物質の軍事転用や核テロを防ぐための「保障措置」を意味するとの説明があったが、それなら「保障措置」と書けばいいではないか。
 「安全保障(セキュリティー)」の言葉を使えば「平和利用に限る、軍事には使わないという原則を日本は放棄するのではないか」といった疑念や拡大解釈の余地を国際社会に与えてしまうおそれがある。しかも、福島原発事故の後であり、朝鮮半島や西アジアなど核をめぐって世界情勢が緊張する中、あまりに無神経だ。
 さらに「安全保障のため」を錦の御旗にして、重大情報や資料が非公開となる懸念もぬぐえない。ただでさえ情報公開に問題を残す原子力ムラや霞が関の隠蔽(いんぺい)体質を助長するのではないか。
こんな問題だらけの設置法案は民主党と自民、公明両党が修正協議を行い、国会に提出した。追加された「安全保障に資する」の部分は、修正協議で自民党が入れるよう主張した。異論もなく三党が合意し、国会でも議論らしい議論もなかった。なぜ、こんないいかげんな手法がまかり通るのか。どさくさ紛れのような手続きこそが、この「憲法改正」のやましさを物語っている。
 軍事的利用に道を開いたのはフクシマからほんの一年後だった-将来、そんな禍根を残すことにならないか。政府は原子力の平和利用の原則を堅持すべく、基本法の再改正をすぐにも考えるべきだ。


「原子力の憲法」こっそり変更
2012年6月21日  中日新聞

 二十日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法の基本方針が変更された。基本方針の変更は三十四年ぶり。法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた。 
 設置法案は、民主党と自民、公明両党の修正協議を経て今月十五日、衆院環境委員長名で提出された。
 基本法の変更は、末尾にある付則の一二条に盛り込まれた。原子力の研究や利用を「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に」とした基本法二条に一項を追加。原子力利用の「安全確保」は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」行うとした。
 追加された「安全保障に資する」の部分は閣議決定された政府の法案にはなかったが、修正協議で自民党が入れるように主張。民主党が受け入れた。各党関係者によると、異論はなかったという。
 修正協議前に衆院に提出された自公案にも同様の表現があり、先月末の本会議で公明の江田康幸議員は「原子炉等規制法には、輸送時の核物質の防護に関する規定がある。核燃料の技術は軍事転用が可能で、(国際原子力機関=IAEAの)保障措置(査察)に関する規定もある。これらはわが国の安全保障にかかわるものなので、究極の目的として(基本法に)明記した」と答弁。あくまでも核防護の観点から追加したと説明している。
 一方、自公案作成の中心となった塩崎恭久衆院議員は「核の技術を持っているという安全保障上の意味はある」と指摘。「日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない。(反対は)見たくないものを見ない人たちの議論だ」と話した。
 日本初のノーベル賞受賞者となった湯川秀樹らが創設した知識人の集まり「世界平和アピール七人委員会」は十九日、「実質的な軍事利用に道を開く可能性を否定できない」「国益を損ない、禍根を残す」とする緊急アピールを発表した。

◆手続きやり直しを
 原子力規制委員会設置法の付則で原子力基本法が変更されたことは、二つの点で大きな問題がある。
 一つは手続きの問題だ。平和主義や「公開・民主・自主」の三原則を定めた基本法二条は、原子力開発の指針となる重要な条項だ。もし正面から改めることになれば、二〇〇六年に教育基本法が改定された時のように、国民の間で議論が起きることは間違いない。
 ましてや福島原発事故の後である。
 ところが、設置法の付則という形で、より上位にある基本法があっさりと変更されてしまった。設置法案の概要や要綱のどこを読んでも、基本法の変更は記されていない。
 法案は衆院通過後の今月十八日の時点でも国会のホームページに掲載されなかった。これでは国民はチェックのしようがない。
 もう一つの問題は、「安全確保」は「安全保障に資する」ことを目的とするという文言を挿入したことだ。
 ここで言う「安全保障」は、定義について明確な説明がなく、核の軍事利用につながる懸念がぬぐえない。
 この日は改正宇宙航空研究開発機構法も成立した。「平和目的」に限定された条項が変更され、防衛利用への参加を可能にした。
 これでは、どさくさに紛れ、政府が核や宇宙の軍事利用を進めようとしていると疑念を持たれるのも当然だ。
 今回のような手法は公正さに欠け、許されるべきではない。政府は付則を早急に撤廃し、手続きをやり直すべきだ。(加古陽治、宮尾幹成)

<原子力基本法> 原子力の研究と開発、利用の基本方針を掲げた法律。中曽根康弘元首相らが中心となって法案を作成し、1955(昭和30)年12月、自民、社会両党の共同提案で成立した。科学者の国会といわれる日本学術会議が主張した「公開・民主・自主」の3原則が盛り込まれている。原子力船むつの放射線漏れ事故(74年)を受け、原子力安全委員会を創設した78年の改正で、基本方針に「安全の確保を旨として」の文言が追加された。


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後半も、腹立たしい東電の社内事故調査委員会による最終報告書のニュース。
盗人猛々しいとはこのことだろう。

 社説:東電社内事故調 自己弁護でしかない
毎日新聞 2012年06月22日

 まるで、裁判の訴訟対策のようだ。福島第1原発事故は「想定した高さを上回る津波の発生」が原因だと結論づけ、責任逃れと自己弁護に終始している。東京電力の社内事故調査委員会がまとめた最終報告書を読むと、そう言わざるを得ない。
 報告書は本体だけでA4判352ページに及び、延べ600人に聞き取り調査したという。しかし、目的に掲げられた「原因を究明し、原発の安全性向上に寄与するため、必要な対策を提案する」姿勢がまったく感じられない。期待されていたのは、事実を積み重ね、事故の真相に迫り、責任の所在を明らかにすることだったはずだが、対応のまずさの指摘に対する釈明ばかりが並ぶ。そのような企業に、これからも原発の運用を託せるのか疑問だ。
 例えば、政府の事故調査・検証委員会は昨年12月の中間報告書で、1号機や3号機の冷却装置の操作の習熟不足などを問題点として指摘したが、報告書は「その後の対応に影響を与えたとは考えられない」などと反論する。だが、別の対応を取っていた場合に事態がどう変わっていたかの考察はない。津波の想定も「専門研究機関である国の組織が統一した見解を明示し、審査が行われることが望ましい」と他人任せにする。
 菅直人首相(当時)ら官邸の介入については「無用の混乱を助長させた」と断じた。第三者が指摘するなら分かるが、当事者が言うと、責任逃れにしか聞こえない。
 一方で、事故をめぐる多くの謎は残されたままだ。
 報告書は、福島県飯舘村など原発から北西方向へ広がった放射性物質の主要な排出源は2号機だと結論づけたが、2号機は水素爆発を起こしておらず、損傷箇所や放射能の流出経路ははっきりしない。原子炉の圧力や温度データから、地震による主要機器の損傷はないと評価しているが、高い放射線の影響などで建屋内の機器の現場確認もできていない。
 情報公開にも疑問がある。
 東電本店と第1原発は回線で結ばれ、事故時のテレビ会議は録画されていた。検証作業には欠かせない資料だが、「プライバシーの問題が生じる」ことなどを理由に公表を拒んでいる。新旧役員の事故責任を問う株主代表訴訟や、被害者による損害賠償訴訟が起きていることが、情報出し渋りの一因だとすれば問題だ。
 国際原子力機関の安全原則は1番目に、原発の安全の一義的な責任は事業者が負うと定めている。東電の責任は免れようがなく、徹底的な情報の開示は最低限の責務だ。
 近く最終報告をまとめる政府や国会の事故調には、国民が納得できる検証結果の公開を求めたい。 


 社説:東電事故調査―この体質にはあきれる
2012年6月22日 朝日新聞 

 東京電力による福島原発事故の調査報告書が公表された。
 結論を一言でまとめるなら、「原因は想定を超えた津波にある。東電の事後対応に問題はなかった。官邸の介入が混乱を広げた」というものだ。
 半ば予想されていた主張とはいえ、これだけの大事故を起こしながら、自己弁護と責任転嫁に終始する姿勢にはあきれるほかない。
 こんな会社に、原発の再稼働など許されない。
 報告書は、東電社内でも津波が15メートル以上になるケースを試算していながら、対策を講じなかったことについて、「国が統一した見解を示していなかったため」とする。
 事故後の対応で、冷却作業などの遅れが指摘されている点には、与えられた条件下で最善を尽くしたと主張する。
 東電が官邸に「全面撤退」を申し入れたとされる問題は、官邸側の勘違いとしている。
 そもそもの発端は、当時の清水正孝社長からの電話である。電話を受けた一人である枝野官房長官(当時)が会話の内容を詳しく証言しているのに対し、清水氏は「記憶にない」としており、報告書ではこの電話には一切触れていない。
 外からの批判に細かく反論する一方、都合の悪いことは避けているとしか思えない。
 報告書は、責任を逃れるため東電が情報を都合よく扱っている疑いも残る。
 事故後の対応は、東電本社と原発を結ぶテレビ会議システムの情報を公表すればわかる。
 しかし、東電は「プライバシー」を理由に公表を拒む。「例えば作業員がどんな姿勢で映っているかわからないから」などの理由をあげる。
 東電のもつデータをすべて公開させなければ、福島事故が解明できないことは明白だ。
 東電が自らの責任にほとんど言及しないのは、今後の賠償、除染、廃炉費用の負担や株主代表訴訟などを考えて、有利な立場に立ちたいからだろう。
 しかし、原因を突き止め、発生後の対応の問題点を洗い出して、今後の教訓を引き出さないのでは、何のための事故調査だろうか。
 報告書が示しているのは、事故の真相ではなく、東電という会社の体質である。事故の詳細や責任の所在などを後世に残すという歴史的使命に向き合うよりも、会社を守ることを優先させる企業の実相だ。
 原発はこういう会社が運転していたという事実を改めて肝に銘じておこう。  


これから「八日目の蝉」を見ます。

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6月21日(木)のつぶやき

2012-06-22 02:32:51 | 花/美しいもの
09:14 from Tweet Button  [ 1 RT ]
第2回 「売春島」の花火の先にある未来|開沼博 闇の中の社会学 「あってはならぬもの」が漂白される時代に|ダイヤモンド・オンライン diamond.jp/articles/-/197… @dol_editorsさんから

15:35 from gooBlog production
夏至のあさ。雨にぬれるヤマアジサイ「紅」と「七変化」 goo.gl/9KwSv

20:27 RT from web  [ 104 RT ]
東京新聞がお詫び/官邸前のデモを記事にしなかった件で aoshizuさんの写真 instagr.am/p/MH-9KevLkb/ @instagramさんから
へそりす(#脱原発に1票)さんのツイート

21:43 from Tweet Button
東京新聞:「原子力の憲法」こっそり変更:社会(TOKYO Web) tokyo-np.co.jp/article/nation…

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