みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

新型肺炎と倒産 中小向けに集中支援を/安倍政権の日本 不信の広がりを恐れる/

2020-03-02 21:23:01 | ほん/新聞/ニュース
きょうはポカポカと暖かく、四月上旬の陽気。
寺町畑は黄色い菜花の花盛りで、
日本蜜蜂が花から花へ飛び回っていました。

蜜蜂は河津桜にもたくさん来ていて、
花に頭を突っ込んで、密と花粉を運んでいました。


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コロナウイルスによる新型肺炎は広がる一方で、
山県市でも今日から学校が休校になっています。
中小・零細企業への影響も深刻です。
今日はそんな新型肺炎の関連テーマの社説を紹介します。

  社説:新型肺炎と倒産 中小向けに集中支援を 
2020年2月28日 中日新聞

 新型肺炎の拡大に伴い、企業倒産への不安が増大している。終息の兆しがみえない中、体力のない中小企業は崖っぷちに立たされている。政府は中小向けのピンポイント型支援策を強化すべきだ。
 ここにきて愛知県蒲郡市の旅館や北海道のコロッケ業者が経営破綻した。新型肺炎の影響で経営が急激に悪化したためだ。
 中小企業への打撃は、中国からの旅行客が激減した観光業界を中心に広がっている。宿泊施設のほかバスやタクシー会社、飲食店や土産店などが軒並み大幅な売り上げ減少に陥っている。
 日本旅行業協会は団体旅行が禁止となった一月下旬から三月末までの中国人旅行客の減少は四十万人と予測。昨年の訪日中国人は約九百五十九万人だが、このままだと激減は必至。資金繰りが悪化する事業者も確実に増えるだろう。
 コンサートやスポーツなど各種イベントの開催を見合わせるケースも一気に増えた。感染拡大を防ぐ意味では理解できる措置だ。
 ただイベント関連の事業者もその多くが中小だ。会場の違約金や顧客への払い戻しなどが重なり、短期間で資金不足に陥る恐れもあり注視が必要だ。
 さらに観光地に限らず飲食店への影響も懸念され始めている。中国からの輸入食材に頼る店は多い。だが供給網の寸断で在庫が底をつく店も出ており、早急に実態把握すべきだ。
 事業者数ベースでは、国内の九割以上が中小企業だ。中小の製造業や各種サービス業は、雇用面も含め国内経済を支える主役である。ただ財務面で脆弱(ぜいじゃく)な事業者が多いのも事実だ。
 政府は、中小向けの五千億円規模の緊急貸し付け・保証枠の拡大や、解雇防止のための雇用調整助成金の要件緩和などで対応している。各都道府県も信用保証協会がセーフティネット保証と呼ばれる仕組みを拡大し、融資を受けやすくしている。
 しかし対策は所管する官公庁別にさみだれ式で行われ、やや力強さに欠ける。株価の大幅下落などで心理面での不安も広がっている。ここは政府が緊急対策をてこ入れした上で一括公表し、支援する強い姿勢をアピールすべきではないか。
 新型肺炎の影響は大企業も受けている。中国からの部品調達難で生産に支障をきたす企業も多い。だが体力がある大企業が代金値下げといった負担を下請けにかけないようくぎを刺しておきたい。  


 社説:新型肺炎の経済的打撃 中小・零細支援を万全に
毎日新聞 2020年3月2日 

 新型肺炎の感染拡大が企業経営に深刻な影響を及ぼしている。安倍晋三首相は今年度の予備費約2700億円を活用した追加対策を策定すると表明した。先に決めた資金繰り支援などに続くものだ。
 中国をはじめとした訪日客の激減や、中国製部品の輸入停滞に伴う国内生産の休止、イベント自粛などで、多くの企業が苦境にさらされている。愛知県の旅館や北海道のコロッケ製造業者は経営破綻した。
 今後も経営に行き詰まる中小・零細事業者が出てくる懸念があり、政府は支援に万全を期す必要がある。
 首相によるスポーツ大会や文化イベントの自粛要請を受けて、各地ではコンサートや祭りなどの中止・延期が相次ぐ。東京ディズニーランドや大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンも今月中旬まで休業する。
 今は感染拡大の防止が最優先だ。ただ、自粛の影響はテーマパークやイベント業者にとどまらず、宿泊やバス・タクシー、飲食店、土産物店など幅広い業種に及んでいる。
 新型肺炎の震源地、中国では生産活動の停滞が続き、部品の調達が困難になった日産自動車などは国内工場の操業停止を余儀なくされている。その影響が下請け企業の経営に打撃を与えることが懸念される。
 首相は追加対策で、従業員の解雇を防ぐ「雇用調整助成金」の特例支給の拡充をあげた。打撃を受けた全業種を支給の対象にするという。
 だが、この措置だけでは、非正規で働く人の支援に不十分との指摘がある。収入が途絶えて生活資金に困ったり、仕事を失ったりする人を出さないようにすることが重要だ。
 東日本大震災時にも被災地への配慮や首都圏の電力不足を背景にイベントの自粛が相次いだ。被災地にある工場からの部品供給がストップして、国内生産も混乱した。
 今回の新型肺炎は終息が全く見えないだけに、専門家は「経済的な影響が震災時より大きくなる可能性がある」と見ている。事業者からは「どう経営していけばいいか分からない」との不安の声も出ている。
 追加支援は不可欠だが、規模を膨らませるだけでは解決策にならない。政府は事業者の実態を把握した上で、自治体や経済団体とも連携し、きめ細かな手立てを講じるべきだ。 


 社説:安倍政権の日本 不信の広がりを恐れる
2020年3月2日  朝日新聞

いま、この国の政治の現場では、驚くべきことが立て続けに起きている。
 国会では、東京高検検事長の定年延長をめぐりつじつまの合わない答弁が連発され、「桜を見る会」についての安倍首相の説明にはウソではないかとの疑惑が向けられる。
 いずれの問題でも、政権は適正な手続きをへて行われたことを裏打ちする確かな文書を示せずにいる。説明責任が果たされていないから、野党も同じことを重ねて追及せざるをえない。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止策では、全国の小中高校などの一斉休校の要請が、関係省庁間の周到な準備もないまま唐突に首相から発せられた。

 ■立法権を不当に奪う
 こうした光景を見せつけられるにつけ、この7年あまりの安倍政権のもと、日本の統治の秩序は無残なまでに破壊されたと言わざるを得ない。
 検事長の定年問題では、延長を可能にした法解釈の変更をいつ決めたのかという野党からの問いに、政府が説得力をもって答えることができていない。
 もちろん、政府内の手続きが森雅子法相らの答弁通りだったのか、定年延長が検察の独立をおかすおそれはないのかという疑問は究明されるべきだ。
 ただ、より本質的な問題は、政府による今回の恣意(しい)的といえる解釈変更が、唯一の立法機関と憲法41条が定める国会の権限を政府が不当に奪ったということだ。「立法権の簒奪(さんだつ)」に他ならない。
 三権分立の原則を壊す極めて重大な問題である。
 検察官の定年は、1947年に施行された検察庁法に明記されている。これに加え、公務員の定年延長を盛り込んだ国家公務員法改正案が審議された81年の国会では、当時の人事院の局長が、定年延長は「検察官には適用されない」と明確に答弁し、議事録に残っている。
 検察官は一般職の国家公務員だが、政治家の権力犯罪をも捜査し、起訴する強力な権限を持つ。戦後間もなくから政府は「検察官の任免については一般の公務員とは取り扱いを異にすべきもの」との見解を明らかにし、公務員の定年延長が認められてからも30年以上、検察庁法に従った扱いを続けてきた。

 ■行政監視への否定
 法によって決められたことを改めるには、国会での議論と議決をへて、法そのものを改める。議会制民主主義では当然の筋道だ。法には解釈の幅があるにせよ、政府の時々の都合で勝手に変えられるなら、立法府は不要となる。
 「桜を見る会」をめぐる首相の答弁ぶり、そして質問者に対するヤジも、決して看過できない憲法上の問題をはらむ。
 憲法63条は、国会から答弁や説明を求められた際には、首相や閣僚に国会に出席する義務を課している。条文には書かれていないが、誠実に答弁しなければならないのは当然だ。
 首相は衆院での代表質問で、疑惑追及には「誠実に対応する」と答えている。だが、予算委での説明内容は、虚偽との疑いを抱かせるに十分だ。
 首相はまた、予算委で立憲民主党議員の質問に「意味のない質問だよ」とヤジを飛ばした。後日の委員会で「不規則な発言をしたことをおわびします」との原稿を読み上げたが、これも問題の本質をそらしている。
 謝るべきは閣僚席からの「不規則発言」という外形的な行為ではない。行政監視の手段としての議員の質問を「意味がない」と否定したことだ。

 ■国民に向き合う責任
 通算在任で憲政史上最長となった安倍政権は、統治の秩序をやり放題に壊してきた。その傷口から流れ続ける「うみ」が、いまの政治には満ちている。
 「憲法を変えない限り集団的自衛権は行使できない」との歴代内閣の9条解釈を、一方的に変更したこと。森友学園への国有地売却で不透明な値引きをし、それを取り繕うために財務省職員が公文書改ざんに手を染めたこと。いずれも、終わった問題ではない。
 政権中枢が法治国家では当然の手続きを無視するから、その意を忖度(そんたく)する公務員らが後始末に翻弄(ほんろう)される。まさに「組織は頭から腐る」を地で行っているのではないか。
 そうした中で突然、発せられたのが全国一斉の休校要請だ。
 目に見えない未知のウイルスへの不安に加え、自らの生活にかかわる具体的な不安が、一気に全国へと広がった。首相はおとといの記者会見で「断腸の思い」と述べたが、「なぜ全国一斉なのか」という肝心な点の説明はなかった。
 安倍政権が破壊してきたのは、統治の秩序だけではない。国民の政治への信頼もまた、大きく損なわれた。
 ウイルス対応をこの政権に任せて大丈夫なのか、国民に行き過ぎた不便や犠牲を押しつけはしないか――。首相には、こうした新たな不信の広がりを食い止める責任が加わった。 



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