夜な夜なシネマ

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ヤクザ、集合。その後。

2010年01月05日 | 映画(や行)
あけましておめでとうございます。

『893239〈ヤクザ23区〉』の東西版を観たところまで書きました。
それについてはこちらこちらをご参照ください。
そしたら、南北版も気になるというコメントを複数お寄せいただいたので、
年は明けましたけれど、去年の続きで。

南東京版は、渋谷区2本、目黒区1本、世田谷区2本、
大田区1本の計6本が収録されています。

世田谷区編の『ヤクザと地底人間』(監督:植岡喜晴)は、
『893239〈ヤクザ23区〉』の中で最も長時間の力作。
別の組のヤクザに妻を寝取られたヤクザが地底に落っこち、
そこで地底人間の女性と暮らし始めます。
数十年後、亡くなった父親の恨みを晴らすべく、
その子どもである兄妹は、地上に出て敵の組に乗り込み……というお話。

この作品を含め、南東京版のどれも短編映画としてはおもしろいですが、
東西北版と比較すると、その区らしさというものが薄い気が。
って、何がその区らしさかは、東京に疎い私にはわかりませんが、
この区はこんなところなんだよというアピール度がイマイチ。

個人的に気に入ったのは北東京版。
板橋区、北区、足立区2本、葛飾区、台東区2本の計7本を収録。

ウケたのは、北区編の『指詰超』(監督:金森永奈)。
「ゆびきっちょう」と読みます。
指を詰めると、指を失う代わりに、ある特定の能力が図抜けるそうな。
北区のある組のヤクザ一同が得た能力とは、野球に関する能力。
「リード」の能力が図抜けた者はキャッチャーに。
「俊足」「強肩」など、それぞれが異なる能力を得て、ポジションを確定。
今日、指を詰めたヤクザが「カーブ」を獲得して、全員が狂喜。
プロ野球への参入を決めます。
すんげぇカーブで、可笑しすぎる設定。

葛飾区編の『今日の出来事』(監督:香川今生)は、
連絡の取れない息子を心配して、大阪から突然やってきた母親。
息子は迷惑な素振りを見せつつ嬉しそう。邪険にはしきれません。
母親を近所の食堂に連れて行き、てんぷら定食を頼みます。
ヤクザをしているということをどうしても母親に言えない息子。
何をしていようとも、息子が元気でさえいてくれればいいと願う母親。
ポンポン飛び交う大阪弁の会話の中に、優しさが見えた作品でした。

スペシャル版では全作品のあらすじ紹介がされています。
23区の土地柄をご存じならば、さらに楽しめるかも。
とにもかくにも楽しい企画でした。

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