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『ホームカミング』

2011年09月10日 | 映画(は行)
『ホームカミング』
監督:飯島敏宏
出演:高田純次,高橋惠子,麗奈,秋野太作,黒部進,森次晃嗣,
   木野花,高橋ひとみ,林隆三,竜雷太他

「平成の無責任男」の異名をとる高田純次のレンタル新作。
監督は『金曜日の妻たちへ』のプロデューサーで、
金妻(キンツマ)の全期にわたって演出を手がけてきた人。
本作もスケール的に映画というよりはTVドラマっぽい気がしますが、
この顔ぶれが織り成すドラマは、人情味に溢れていました。

定年を迎えた鴇田(トキタ)は、職場を華々しくあとにする。
仕事一筋だったサラリーマン人生を終え、
これから妻とふたり、第二の人生をスタートさせるつもりだが、
その妻は社交ダンスやらなんやかや、勝手に忙しそう。

とりあえずジョギングでも始めるかと町内を一周すると、
すでに定年後の人生を送って長い先輩諸氏と遭遇。
61歳の鴇田はいちばん若手ということで、みんなの期待が集まる。

実は、鴇田の住む“虹の丘タウン”は、かつては理想の街と謳われたニュータウン。
しかし、若者が次々と出てゆき、いまや住民の平均年齢は68歳。
街に活気を取り戻すべく、鴇田たちはお祭りの開催を企画するのだが……。

観始めたとき、まっさきに思い出したのは、重松清の『定年ゴジラ』。
定年を迎えた主人公がまっさきに始めるのは散歩でした。
そこでやはり定年組の男たちに出会います。
この『ホームカミング』同様、寂れゆくニュータウンの開発に関わった人もいて、
そんな人たちの話がなかなか興味深いです。

自治会の活動にはいっさい参加したくないと言う住民も増えて、
お祭りを企画したものの、思うように進めることができません。
住民の中にヤクザを生業とする男がいて、露店の上がりはすべて自分へと言い出したり。
林隆三演じるこのヤクザが、そんな調子のいいことを言いながらも、
焼きそばに使う安物ソースを美味しくする秘法を伝授するシーンが○。

また、この街出身の元ヤンキー、べっぴん女子が婦警となって交番へ。
この街が好きでたまらないという彼女は、街の活性化に一役も二役も買います。
彼女とは逆に、街を嫌って出て行った息子に見せる父親の勇姿。
悪人が一人もいないドラマというのは安心感100%。

なお、監督はウルトラマンシリーズにも頻繁に関わっているため、
出演陣にモロボシ・ダンとハヤタ隊員もいらっしゃいます。(^o^)

余談ですが、『定年ゴジラ』で「ほ~」と思ったのは、
ニュータウン内のスーパーの立地に関する話でした。
ジャージで行くにはちょっと躊躇する距離。
その微妙な距離にスーパーを建設することで、
ニュータウンのレベルが維持されるというような。なるほどなのでした。

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