夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『美食家ダリのレストラン』

2024年08月25日 | 映画(は行)
『美食家ダリのレストラン』(原題:Esperando a Dali)
監督:ダビド・プジョル
出演:イバン・マサゲ,ジョゼ・ガルシア,ポル・ロペス,クララ・ポンソ,ニコラ・カザレ,アルベルト・ロサーノ,
   ヴァルヴァラ・ボロディナ,パコ・トウス,ホセ・アンヘル・エヒド,ビッキー・ペニャ他
 
テアトル梅田にて2本ハシゴの2本目はスペイン作品。
入場者特典はチュッパチャプスでした。
チュッパチャプスのロゴマークはサルバドール・ダリのデザインなのだそうで。
 
ダビド・プジョル監督はかの有名なレストラン“エル・ブジ(あるいはエル・ブリ)”に密着取材し、
TVドキュメンタリー『エル・ブリ:夢の物語』(2011)を手掛けた人。
ダリがもしもエル・ブリの天才料理人フェラン・アドリアと対面したら。
そんな発想を起点につくられたこの物語はとても面白い。
 
1974年のスペインはフランシスコ・フランコが独裁政権を握り、反体制運動を弾圧中。
バルセロナの一流フレンチレストランで料理人を務めていたフェルナンドは、
同じく料理人の弟アルベルトが市役所に放火して追われる身となったことを知る。
友人でヒッピーのフランソワは、カタルーニャ州の海沿いの町カダケスにふたりを案内し、
恋人ロラの父親がオーナーのレストランに勤められるよう紹介してくれると言う。
 
カダケスの町は、確かに身を潜めているには格好の土地。
しかし紹介されたレストラン“シュルレアル”を見てフェルナンドとアルベルトは唖然。
ダリをこよなく愛するオーナーのジュールズの目標はただひとつ、ダリに来店してもらうこと。
客席の至るところにダリの作品やマネキンが飾られ、およそ落ち着いて食事などできない。
それでもここにいるしかなく、ふたりは下働きに就く。
 
そんな折、ジュールズのやり方についていけないと、シェフだったジャンが怒って退職。
ジュールズはフェルナンドをもクビにしようとするが、
フェルナンドがつくったブイヤベースを一口食べると絶品。慌ててフェルナンドを連れ戻す。
 
確かにフェルナンドの料理は素晴らしいが、スペインでフレンチをつくる意味はあるのか。
ロリのひと言により考えを改めたフェルナンドは、地元の特産品をふんだんに使い、この町ならではの料理を提供する。
すると舌の肥えた金持ちらも次々と店を訪れるように。
しかし肝心のダリは相変わらず来店してくれなくて……。
 
フェルナンドがビールの泡を見てエスプーマを思いついた描写などもあり、
これは事実なのかなと思うとワクワクします。
エル・ブリの料理を食べる機会なんて一生ないし、おそらく食べてもわからない。
だけど、こんなふうに革新的な料理が生まれたと知るのは楽しいこと。
 
いつまで経ってもダリが来てくれない腹いせに、酔っぱらって家を襲撃しようとするジュールズ。
仕方なくそれにつきあわされ、ダリ家の運転手アルトゥーロに助けてもらうところなんかも良い。
 
美しい景色と美味しそうな料理と、心に残る音楽。
それがあれば生きていける気がします。
もっとも、そのためにはお金がないとどうしようもないんですが。(^^;

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