夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

ホルプ滞在記〈その2〉

2006年06月25日 | ほぼ非映画(旅行)
まずは航空券を予約。
行き方はいろいろあれど、どうせなら前回とはちがう経路で。
4年前はKLM航空でアムステルダム経由、フランクフルトへ、
そこからレンタカーでホルプへと向かいました。
今回はフィンランド航空でヘルシンキ経由、
シュトゥットガルトへ飛ぶことに。

出発前日、ダンナに「フィンランド航空ってどこのグループ?」と聞かれ、
真顔で「ムーミン」と答えたら「なんでやねん!」と怒られました。
ダンナはマイレージがどれで貯まるのか聞きたかったそうで。
だって、フィンランド航空の正規割引航空券って
ムーミン21とかなんとか言うんですよ。ボケたんとちゃうのに。

6月16日(金)、関空よりヘルシンキへ。
ちょうど先月『かもめ食堂』(2005)を観たところですから、
ヘルシンキへ寄れると思うと空港だけとはいえワクワクします。
ついでに機内誌でアキ・カウリスマキの作品のロケ地となった
レストランの話を読み、さらにウキウキ。
アキ・カウリスマキといえばフィンランドの名匠ですが、
彼の監督作『過去のない男』(2002)の主演男優、マルック・ペルトラが
『かもめ食堂』にも出演しています。
小林聡美においしいコーヒーの入れ方を教えてくれる謎のオッサン役。

フィンランドは日本からもっとも近いヨーロッパの国。
ドイツへ向かう途中、9時間でひと息つけるのはとても楽チン。
ヘルシンキの空港のカフェではまさに『かもめ食堂』のとおり、
シナモンロールの甘い香りに引き寄せられます。
その向かいのワインバーには美しいグラスが並び、
実に多数の葡萄の種類が黒板に掲げられています。
シャルドネやリースリング、ピノノワール、ゲヴュルツトラミネールなどなど。
どれも同じグラスで出すのではなく、
ちゃんと形を変えて出すところが立ち飲み屋とは思えません。

ヘルシンキを飛び立ち、シュトゥットガルトへ。
到着したのは同日の19時頃。
すぐにAVISレンタカーのカウンターへ向かいます。
あらかじめネット予約していたのは
価格帯としてはちょうどまんなかあたりのゴルフのクラス。
AVISのお兄ちゃんが「同じクラスでいま貸せるのは4種あるよ。
ガソリンとディーゼル、どっちがいい?」。
速いと思われるガソリン車を指定すると、
瞬時にこちらの希望を察したお兄ちゃんがニヤッ。
「これ、ディーゼルだけど140馬力。めちゃ速いよ」。
140馬力につられ、アウディA3を借りることに。

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ホルプ滞在記〈その1〉

2006年06月24日 | ほぼ非映画(旅行)
昨年9月のオハイオ滞在記に続き、
またしても映画にほとんど関係ないドイツ旅行記です。
まずは長い長い前置きを。

サッカーについて、愛国心の調査があるとしたら、
わが家はゼロどころかマイナスかもしれません。
もともと私は阪神一筋で、サッカーの知識は皆無に近く、
自身ゴールキーパーかつ指導者であるダンナの言うことがすべてです。
Jリーグも観ないし、日本代表の試合も観ない。
それでもオフトのことは敬愛し、トルシエのときも
まだおもしろみを感じてたまには観ていたダンナですが、
ジーコになってからというもの、
観るべき点、何もなしと、全然観なくなりました。
宮本のことは以前から大好き、サインがほしいそうですけど。

今回のワールドカップ、ダンナの願いはただひとつ。
ヨーロッパでヨーロッパの国の試合が観たい!
次回の開催地は南アフリカ、その次はおそらく南米。
そうなると、生きている間、そこそこ元気に歩き回れるうちに
ヨーロッパで観戦できそうな機会はこれがラストチャンスかも。
だったら、何が何でも行かなければ。

ちょうど日韓共同開催だった4年前のこの時期もドイツにいました。
開催地ではないので今年の盛りあがりようとは異なりますが、
それでもドイツ戦のある日は町から人気(ひとけ)が途絶え、
誰もがテレビ観戦に夢中になります。
現地の人しか訪れそうにない田舎のお城へ行ったとき、
切符売場のおっちゃんから言われたのは、
「城内を案内してあげたいけど、他に客もいないし、
これからドイツ戦だから。また後で来て」。

ドイツではどんな小さな町にもクラブチームがあり、
そのいずれも立派なクラブハウス付のグラウンドを所有しているようです。
4年前、滞在したホルプという町で、
ダンナは練習に参加させてもらいました。
日の長いこの季節、夜10時頃までは照明も不要。
天然芝の気持ちいいグラウンドで、
これぞゲルマン魂かという同じ練習をひたすら地味にくり返し、
でもみんな飽きる様子もなく、実に楽しそう。
練習後はクラブハウスでビールを浴びるほど飲み、
元気に帰宅してゆきます。

この町、ホルプに今回も滞在すべく、
ホルプからいちばん近いスタジアム、シュトゥットガルトの
ゴットリーブ・ダイムラー・シュタディオンで開催される試合を狙い、
落選すれども申し込みを続け、GW前にやっと来ました!
スペインvsチュニジアの当選通知。

さて、ようやく本編へ。

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まずそうだけど、こんなお酒。

2006年06月15日 | 映画(番外編:映画と食べ物・飲み物)
明日からドイツへ行ってまいります。
ヨーロッパで開催されるW杯で
ヨーロッパの国の試合を観たい一心だったので、
日本戦は眼中になく、スペインvsチュニジア。

飲んだくれる予定はありませんが、
景気づけにお酒の話。

料理や飲み物が映画に出てくると
毎度気になって仕方ありません。
おいしそうなものはもちろんのこと、
まずそうなものにも目が釘付けになります。

W杯開催国出身の監督、ヴィム・ヴェンダースの作品で、
先月DVD化されたばかりの『ランド・オブ・プレンティ』(2004)。
イスラエルで育ったアメリカ人の少女ラナが
母を亡くしたのをきっかけにロサンゼルスへ帰ります。
ダウンタウンの伝道所を訪ねたラナは
ホームレスの支援活動をしながら、
唯一の身内である伯父ポールを探すことに。

ようやく見つけたポールはベトナム戦争で心に傷を負い、
枯葉剤の影響を薬でなんとか抑えていました。
しかし、9.11のテロで当時の思いが呼び覚まされてしまい、
以降、警備活動と称して車で街を巡回しているようです。

あるとき、ラナのいる伝道所の前で
イスラム系の青年が射殺されたところをポールが目撃。
事件の裏にテロ組織が存在すると考えたポールは、
真相を解明するため、被害者の親戚に会おうと、
ラナとともに旅に出るというストーリー。

まずそうなお酒は旅先で。
被害者の遺体を運び込むと、親戚は感謝の意を示します。
ポールが勧められたのはウオッカ。
その勧め方には思わず吹き出しました。
「すごくまずいウオッカですが、一緒にどうです?
 このウオッカとライターオイル、どっちが飲みやすいか。
 ライターオイルのほうがマシかもしれません」。

もう1本、『俺たちニュースキャスター』(2004)は
涙が出るほどヒドイ出来。
1970年代のサンフランシスコ。
ローカル局の売れっ子ニュースキャスター、ロンが
キャスター志望のヴェロニカの登場によってその地位を脅かされます。
豪華な顔ぶれがカメオ出演しているのは見物ですが、
あとは笑うに笑えないドタバタ騒ぎ。

そんな作品ですが、出てくる飲み物はなかなか楽しく、
なかでもスコッチウイスキーしか飲まないロンのオーダーに注目。
「スコッチをスリーフィンガーで。
 胡椒とチーズを振りかけて」。

映画が映画だけに冗談やろと思うんですが、
こんなん、ほんとにありですか。

そんなこんなで、明日から1週間、W杯より飲んで食べて。

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『スパングリッシュ』

2006年06月12日 | 映画(さ行)
『スパングリッシュ』(原題:Spanglish)
監督:ジェームズ・L・ブルックス
出演:アダム・サンドラー,ティア・レオーニ,パズ・ヴェガ他

「スパングリッシュ」とは、米国のラテン系移民が使う、
スペイン語と英語の混成語だそうです。

フロールはメキシコ人のシングルマザー。
娘を育てあげるため、故郷を離れて米国へ。
彼女が移り住んだのはロサンゼルスのメキシコ人街。
英語ができなくても安心な街。

以後、フロールはこの街から一歩も出ずに朝晩働いて生計を立てるが、
あるとき、年頃になった娘を夜間ひとりきりにするのは危険だと考える。
昼間の仕事だけで今までどおりの収入を確保すべく、
友人の紹介で豪邸の家政婦に応募する。

初めてメキシコ人街の外の世界へ。
訪れたクラスキー家は一見幸せな家庭そのもの。
主人はロサンゼルス随一のシェフと噂されるジョン。
その妻は完璧な体型のデボラ。気さくな祖母エヴェリン。
そして、心優しいふたりの子ども、バーニーとジョージー。
英語が通じないことも意に介さないふうで、
ただちにフロールは採用される。

ところが、フロールはクラスキー家の問題を目の当たりにする。
他人には干渉しないことを信条としてきたフロールだったが、
無邪気と無神経、紙一重のデボラがバーニーの心を傷つけたとき、
英語を覚えて「干渉」する決意をする。

爽やかな佳作。
女手ひとつで娘を育ててきた美しく強いフロールが
ジョンに対してスペイン語で怒りをまくしたてるシーンは傑作。
順調に英語の力をつけてきた娘のクリスティーナが、
熱くなっている当人同士の言葉を絶妙の間で通訳します。

コメディ俳優のアダム・サンドラーは本作でもやはり笑わせつつ、
優しい男性、温かい父親を演じて泣かせます。
娘であるバーニーのことを心配し、
「バーニーは大丈夫。あの優しさを彼女は持ち続ける」と
フロールから言われたときの彼の表情。
「心の中でわかっていても、それを他人から聞くとホッとする」とは
子どもを持つ親は誰しも共感するのでは。
って、子どものいない私が言うのもなんですけど。

ついでに、レストランの星の話もおもしろい。
料理評論家の来店に際してジョンが思うのは
「星1つは問題外。
 4つとれば後は減るのが心配。
 3つと4分の1なら完璧だ。
 ほとんど文句なくいいってことだし、
 今後の経営にはいい影響だけ残る。
 忙しすぎて自分を見失うこともない」。

夜中の厨房で作る料理は羊。ウマそ~。

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『弟が犬になっちゃった!』

2006年06月08日 | 映画(あ行)
『弟が犬になっちゃった!』(原題:Mein Bruder ist ein Hund)
監督:ペーター・ティム
出演:マリア・エーリヒ,イルム・ヘルマン他

有楽町で開催されたドイツ映画祭2005にて上映。
関西では観る機会なく、このたびDVD化。

もうじき10歳になるマリエッタは犬が大好き。
犬を飼いたいと両親に訴え続けているが、
弟のトビーにアレルギーがあるのを理由に認めてくれない。

トビーのせいで犬が飼えず、ただでさえムカツクのに、
ヤツときたら、大阪弁で言うところの典型的な「いちびり」。
市場に連れて行けば、勝手に売り物の鶏の籠に入り込み、
最後は鶏を逃がして卵を割る始末。
怒られるのはいつも自分だと、マリエッタは憤る。

ある日、両親がフォスター・ペアレント(=里親のことで、
生活に困窮する地域の子どもに毎月定額を送金し、
手紙のやりとりをする)となっているアフリカの男の子から、
マリエッタの誕生祝いに石ころが送られてくる。
呪文を唱えてこすると願い事が叶う魔法の石らしい。
そんなアホなこと、あるわけないやんとがっかりするマリエッタ。

翌日、機械オタクの父と、その父にほったらかしにされがちな母は
夫婦の絆を取り戻すべく、長期休暇を取って旅行へ。
マリエッタとトビーはお留守番。
弟とふたりきり、まとわりつかれてうっとうしく、
嫌気がさしたマリエッタはふと魔法の石のことを思い出す。
試しに念じてみたのは、「弟じゃなくて犬がほしい」。

すると、ドアの向こうで子犬の鳴き声が。
夢にまで見た犬の登場に大喜びするマリエッタ。
ところがトビーが行方不明。トビーと呼べば犬が返事。
そう、あろうことか、トビーが犬に変身してしまったのだ。

さて、ふたりの面倒をみにやってきたのは
子どもも動物も大嫌いだと明言している祖母。
トビーは両親と急遽出かけたことに、
犬はおばあちゃんに近づけないようにして、
両親の帰る日までになんとかトビーを元に戻さなくちゃ。
しかし、犬のトビーの仕草が巷で噂になって……。

テレビ好きのトビーは犬に変身してもテレビ好きで、
キャラメルに釣られるのもご愛敬。
早く人間に戻りたいのかと思ったら、
人気者の犬になった自分に酔いしれているとわかり、
これまたマリエッタを困らせます。
ゴツっとしたイメージのドイツ語でこんな可愛らしいコメディをやられると
思わず顔がほころびますね。

この逆バージョン、猫が人間になっちゃう『ネコのミヌース』(2001)と併せてどうぞ。

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