夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『マダムと奇人と殺人と』

2006年06月02日 | 映画(ま行)
『マダムと奇人と殺人と』(原題:Madame Edouard)
監督:ナディーヌ・モンフィス
出演:ミシェル・ブラン,ディディエ・ブルドン他

『映画を喰らう』に改題しようかと思うほど
このところ料理ネタばっかり。
食べるのが好きなもんで、目がどうしてもそちらに。
このレンタル新作も「ビストロ」という言葉に惹かれて。
フランス・ベルギー・ルクセンブルクの合作。

ブリュッセルが舞台。
趣味の編み物中のレオン警視のもとへ
「墓地に死体が捨てられている」との匿名電話がかかる。
殺人事件の被害者が運び込まれたようだ。

現場には右腕を切断された女性の死体。
やがて同じ手口の事件が連続して起こる。
被害者はいずれも美大生で、発見場所は画家の墓前。
警視は周辺の聞き込みを開始する。

警視がまず立ち寄ったのは、ビストロ“La Morte Subite”。
直訳するとその名も「突然死」のこの店には
風変わりな人びとが集まる。
2階の部屋を宿として提供する「突然死」で
数日前から行方不明になっていた女性こそ、
この連続殺人事件の最初の被害者だったのだが、
店の評判が落ちることを恐れる店主と従業員、
それに常連客たちまで警視に何も話そうとしない。

ある日、「突然死」の掃除夫でおかまのイルマが
浮かない顔で店に姿を現す。
従業員が理由を聞けば、彼には20歳になる娘がいて、
当時交際中の女性が出産してすぐ、
おかまの父親とは隔離すべく、絶縁されたらしい。
その女性が亡くなった今、父親と会ってみたいと願う娘が
イルマの居所を探し当て、訪ねてくると言う。

追い出されてこのかた、娘を忘れたことはない。
娘にショックは与えたくないものの、
ありのままの自分を受けとめてほしいと、
イルマはいつもの恰好で娘に会う決心をする。

さて、捜査に進展はないまま、
再び匿名電話を受けた警視が「突然死」へ寄ると……。

ブラックユーモアがピリッ。
サイコな犯人は不気味だけど重くはありません。

芽キャベツにうんざりする警視や
定食の内容で揉める厨房など、食べ物ネタ満載。
最もイッちゃってるのは監察医。
被害者の胃の残留物を嬉々として調べ、
「スパゲッティ・ボロネーゼ!キャンティの香りがする」。
能天気に見えても仕事のストレスは高く、
外食は毛の生えたものを嫌ってオマール海老をパス、
毛をむしってあるからと薦められたウサギの肉も、
肉は見飽きていると拒否。
結局チコリのマデラソースを注文。

料理の話が並ぶ映画はしあわせ。

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