船引保育所年長さんの「よさこいソーランロック」
鎌田實さんのブログに「7月16日福島県田村市で行われる“命を守るイベント”で講演をする」というお知らせが載っていました。かねがねメディアを通してしか被災地に触れられず、遠くからヤキモキしていることにもどかしさを感じていたので、この機会に一度行ってみようと、突如の大決心。Yahoo路線情報を調べると日帰りできそうな距離です。
朝9時前に自宅を出て、電車を乗り継ぎ10時57分発の新幹線(すごく混んでました)で郡山へ。そこから磐越東鉄道で船引駅に着いたのが11時45分。東京に負けない猛暑の中、15分ほど歩いて会場の田村市文化センター着。
田村市は、放射能汚染地域住民の避難所を設け、仮設住宅の建設が進む今も、4ヶ所の避難所に80名以上の方が暮らしておられるとのこと。文化センター隣の船引公民館もそのひとつです。
ホール・エントランスには地元製品を売るコーナーが設けられていて、私も昼食代わりにシフォンケーキを一つ購入(美味しかった!)会場に入ると1階、2階合わせ800ほどのシートはほぼ満席、かろうじて一人分の席を確保しました。周囲は勿論地元の方たちばかり。皆さんお知り合いのようで、和気藹々とした雰囲気です。(どう見ても私は場違い。)
プログラムのオープニングは、船引保育所の子ども達の「よさこいソーランロック」。「象さん組」35名のリズムにあった可愛い踊りに、会場から笑いと拍手が起きました。
「おしゃれ談義」をする鎌田さんとピーコさん
田村市長さんの挨拶に続き、ピーコさんが登場。人情家のピーコさんは最初から胸がいっぱいの様子でしたが、「生のオカマ見るのって初めてでしょう」のジョークに会場から笑いと拍手が起きると、ようやく自分のペースができた様子。時にしんみりトーク、時に毒舌を交えて、7、8曲シャンソンをご披露。声は余り良いとは言えないけれど、被災地への思いが伝わってくる歌い振りに、時々涙を拭う人もいました。
鎌田實さんは、震災以来続けてきた東北での活動を報告。おでんとビールの差し入れに笑顔を見せた漁師さんの話、行方不明だった幼い我が子の亡骸が見つかって「ホッとした」と言うお母さんの話など、「どんな苦しみも悲しみも、薄皮が剥がれるように回復していける」との話に、会場は涙々。一方、放射能汚染について、チェルノブイリのケースを上げながら、事実を把握して土壌の入れ替え等きちんと対処すれば子ども達も故郷も守れる、という話には、熱心にメモをとる人も居ました。
その後再びピーコさん登場。緊張が解けたのか「今日の鎌田さんのファッションは合格」といったお気楽談義に、会場は再び笑い声続発。二人のライブの締めはピーコさんの音頭で、会場の皆で「ふるさと」を合唱。その後休憩を挟んで、郡山出身の音楽家佐藤眞人さんのフルート演奏があり、3時50分に全て終了。被災地応援に行っているはずの鎌田さんもピーコさんも、地元の人たちの穏和で誠実な人柄に、逆に励まされている印象のイベント風景でした。
車窓から見た緑いっぱいの田畑
会場を後に、再び強い日差しの中せっせと歩いて、4時に船引駅に戻ってみると、電車は1時間半に1本しかなくて、次は5時発車とのこと。さすがに猛暑の中1時間待つ気になれず、また近辺を少し見てみたい気持もあったので、駅前に唯一待機していたタクシーで郡山まで行くことに。車窓から緑濃い田畑と花が一杯の家々を見ながら、運転手さんと「放射能さえなければ」としみじみ話しているうちに、郡山駅に到着。5時7分発の新幹線に乗り7時頃には我が家に到着。
駆け足の旅でしたが、あんなに遠い気がしていた『東北の地』との距離が縮んで、もどかしさが少し解消した“現地”訪問でした。(三女)