JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

天馬になって Voice / Hiromi

2011-04-01 22:30:49 | 聞いてますCDおすすめ


“Voice”それは声じゃない、強烈なパンチだ。長く伸びるリーチからくり出されるしっかりとしたパンチ、それがこの曲だ。
聴き始めてすぐにこれを書き始めました。そんなことは年に一度あるかないか、強烈な印象です。
上原の強力な仲間であった前トリオを、あっという間に超えた強力なリズムにのって、2曲目の“フラッシュバック”出だしの強烈なフレーズと、4ビートに変えてからの心臓をわしずかみにするフレーズ、これはピアニスト上原が培ってきた幅広い交流の結果なのです。
上原がここまで強烈に弾けるとは、サイモン・フィリップスの素晴らしくタイトなリズムがつむじ風のようにHiromiを空に舞い上げます。
舞い上がったHiromiは、天馬になって宙を駆けるのです。
3曲目は得意のモーグを使ったアクセントに、ブリリアントな生ピアノ、これまでの上原の演奏のすべての上に構築された強烈なワールドです。
今年になって発売されたアルバムでは、わがハクエイ君の「Trisonique」が最大の強烈と思ってきましたが、このアルバム、ガツンと横に並びました。
今度ハクエイに会うので、「参ったかも」と話しておきましょう。
5曲目“ラヴィリンス”ではクラシカルなスタートから哀愁をおびだて、ここでアンソニーとのユニゾンプレー、アンソニー・ジャクソンの存在も渦のようにhiromiを巻き上げます。
6曲目“Desire”欲望はHitomiのピアノをどんどん強くするのです。
7曲目“Haze”、ここでは淡くとらえどころがない霞の中を心だけがただよっているのです。
9曲目、ベートーベンの悲愴をゆったりしたテンポで始め、やがてソウルフルな色合いを増していくあたり、オスカー・ピーターソンへのオマージュではないかと思います。
ピーターソンから受けた4ビートの影響と、溌剌としたHitomiの本性のバランスは、そのままピアノ奏法と曲調のバランスとなってアルバムに現れるのです。
強く、上手くなったピアノ、ヘヴィーなっビートで歌い、4ビートで歌う、曲とピアノが渾然となったこのアルバムは、上原ひとみの、この一枚、を完全に置き換えることになりました。

たった一つ文句をつけるなら、なんともいただけない大映ホラー映画のようなこのジャケット、まだなかのこの写真の方が良いと思います。

4月1日でこのBlog「JAZZ最中」も本日より7年目に入りました。ちょっと意味深いアルバムとタイトルをつけたくて、この記事を今日まで延ばしました。
これまでお付き合いいただきましてありがとうございます。
上原ひとみの様に天馬には今更なれません。
ぽっくりぽっくり歩んでいきますので、これからもよろしくお願い致します。



Voice / Hiromi

Hiromi Uehara - Piano
Anthony Jackson - Bass
Simon Phillips - Drums

Year Of Release: 2011

1. Voice
2. Flashback
3. Now or Never
4. Temptation
5. Labyrinth
6. Desire
7. Haze
8. Delusion
9. Beethoven’s Piano Sonata No/8,Pathtique
コメント (10)
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