2011年後半からあまり間を開けずにアントニオ・ファラオのアルバムが出ましたが、前作が素晴らしかったから、というよりこの人はずっと外せない。
前作がDarryl Hall(b)、Andre Ceccarelli(ds)のトリオで最初の息子ドミに捧げたアルバムでしたが、今回は次男エヴァンに捧げたアルバムになりました。そしてもう一つ違うのはアメリカン・カルテットとバンド名もつけた実力者の集まりです。
1曲目、前作と比較して違うスタートに驚く。緊張を醸すリズムをバックにロバーノのシリアスなフレーズ、ピアノも一寸硬質で前作と対のようなアルバムなのでしょうか。
2曲目、ヴォイスとソプラノ・サックスのスタートはアンヴエント的な始まりですが、短いベース・ソロのあと、ソプラノ、ベース、ピアノの三つ巴とピアノ・ソロが凄い、美しいタッチとあふれるフレーズ、この人外せない。
3曲目、ストレートな曲はロバーノがいかようにも吹けることを示すし、対するファラオも「どちらが雰囲気を作ったの?」と思うほどの対応、リズム隊も貢献しています。
4曲目は静かな朝のような感じ、構えないけれど通じ合うようなピアノ・トリオ演奏「ペル・カソ」はとても偶然とは思えない。
5曲目Judi Silvanoという女性のヴォイス入り、ネットで見るとかなりのお年というより私より年上でロヴァーノとかなり一緒に演っているようだから、ロヴァーノ紹介のソプラノとの組み合わせを楽しむ曲のうピ弟子。
6曲目がイタリア映画音楽で7曲目がコルトレーンの“ジャイアント・ステップス”2種類の方向がいかに平然と演奏できるか、メンバーの実力を示す連なり。“ジャイアント・ステップ”どの段階で気が付きましたか、この2曲リズム隊やロバーノを押し出した曲。
そしてオリジナルのストレート・アヘッドの2曲、アメリカン・カルテットというバンド名にして力を主張するような、アメリカではこのバンドを維持していくのではと思ってしまいます。
前作のいかにも内省的なトリオのアルバムと今作のバンド主張をだしたアルバム、二人目の子供に捧げるのにこの二つを早くセットにしたかったのではと思う。
二人の息子はもちろん二人とも大切で、ッそして個性も違う、祈りのような気持ちを感じた「ドミ」と宣言するような「エヴァン」二つが揃ったということかもしれません。
二人の息子とは今年5月のお休みに揃いましたが、なんと今週末に再び揃うことになりました。
EVAN / ANTONIO FARAO
Antonio Farao (p)
Ira Coleman (b)
Jack Dejohnette (ds)
Joe Lovano (ts,ss)
Judi Silvano (voices) #2,5
1. Another Way
2. Evan
3. So Near
4. Per Caso
5. Reflessioni
6. Roma
7. Giant Steps
8. Tough
9. Two Faces