blogの記事を読んでいて、このアルバムは買い損ねているけど、絶対聴いてみたいというアルバムがあります。
そのアルバムがこれで、亡くなった富樫雅彦さんへのトリビュート、全曲バラッドというアルバムです。
実は富樫雅彦さんのドラムスも、佐藤雅彦の近年の作品も追っかけていませんでしたが、どうもこれは重要なアルバムです。
佐藤允彦がピアノを弾いて(14曲目は山下洋輔がソロ)渡辺貞夫、日野テルマサ、峰康介とデュオするアルバで、まさに富樫雅彦の関係者の集まりです。
1曲目の“MY WONDERFUL LIFE”のナベサダのアルトが素晴らしい、先日ライブでお会いしたので、この時のオーラーがこのアルバムに移って、なんと素敵な、優しい気持ちにさせてくれるバラッド演奏です。
佐藤がさりげなく、流れるようなバックをするのも好感です。
2曲目は日野、これもナベサダと同じようね、まずは富樫の作ったメロディが素晴らしいのとストレートに吹いています。
3曲目は峰康介、こちらも随分長いお付き合いですが、ナベサダとは違ったアーシーさがバラッドプレーを清んだ世界にまで引き上げているのです。
4曲目は佐藤のピアノソロ、富樫雅彦が世界的なプレーヤーであったことは確かではありますが、こうして4曲続けて聴くと、曲の方も世界へのアピール充分なつらなり、(たぶん佐藤雅彦のアレンジも聴いているのでしょうが)素晴らしい曲集になりました。
6曲目も渡辺貞夫のアルト、この歳でこれほどまで安定したフレージングを吹くプレーヤー、世界にもいないと思ってしまいます。
7曲目の峰にも、とても明るさを感じるのは富樫さんの人柄でしょうか、アルバムを通じてとても優しく、他の人に明るく接する人を感じるのです。
8曲目は佐藤のソロ、間でとても落ち着いた雰囲気が出来て素晴らしい。
9曲目は渡辺貞夫、この人バップのフレージングも凄いけど、軽いボッサででリズムを作るのも天才的ですね。
12曲目、エレピで弾く“GOOD NIGHT MY FRIENDS”はまるで優しい鎮魂歌になっています。
最後は山下洋輔が再びタイトルになった曲を、長い間日本でJAZZをしている演奏者間の愛情が感じられる演奏です。
私が若いときには携帯もパソコンもありませんでした。
日々感じた心の喜びは、かみ締めて心に留めるか、手帳みたいなものにちょっと書いておくしかありませんでした。(今はblogがあって幸せです。)
私の凡庸なメモならばblogでもあまり価値ありませんが、ミュージシャンの残すものはきちんと残したい。それがこのアルバムから伝わるのです。
富樫の残したバラッドをまるで昔書かれた記事をたどるように、富樫の思い出を縁あるミュージシャンが記事にしたアルバムなのです。
MY WONDERFUL LIFE TOGASHI Masahiko BALLAD COLLECTION
佐藤允彦(p: ①~⑬)
渡辺貞夫(as: ①,⑥,⑨)
日野皓正(tp: ②,⑤,⑩)
峰厚介(ts: ③,⑪,⑬、 ss: ⑦)
山下洋輔(p: ⑭)
2009年5,7月 スタジオ録音
1 MY WONDERFUL LIFE
2 REMINISCE-'63
3 MEMORIES
4 WALTZ STEP
5 EVERLASTING FRIENDSHIP
6 WHERE AM I GOING ?
7 DANCING IN THE DREAM
8 SORROWFUL DAYS
9 TODAY'S FEELING
10 I'LL SING FOR MY FRIENDS
11 TILL WE MEET AGAIN
12 GOOD NIGHT MY FRIENDS
13 THE PAST IS BEAUTIFUL AFTER ALL
14 MY WONDERFUL LIFE