漱石のあたらしい読み方を知ったのは、なんといっても江藤淳さんの「夏目漱石」で、いまの「決定版夏目漱石」(新潮社文庫)ではなく、たしか角川文庫から刊行されたものを読み、そのあと講談社の江藤淳著作集でもういちど読んだのではなかったか。
もうずいぶんと古くなって、カビが生えかけた、明治の遺産。
しかし、一方でそういった思いをふっきることができなかった。
要するについ数ヶ月まえまで、漱石に . . . 本文を読む
古本屋のゾッキ本のワゴンにあったので、買ってきた。椎名誠選・日本ペンクラブ編のアンソロジーで、本と読書をめぐるエッセイ・小説が21編と、目黒考二、鏡明、椎名誠の鼎談が収められている。昭和54(1979)年の刊行だから、もうかれこれ29年前の古い本である。執筆陣は山口瞳にはじまり、田辺聖子、植草甚一、大岡昇平、井上ひさし、小林秀雄、開高健など錚々たるメンバー。ほかに、江戸川乱歩、野坂昭如、夢野久作 . . . 本文を読む