二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

夢の浮き橋(ポエムNO.96)

2012年11月25日 | 俳句・短歌・詩集
地図がないので夢の中でいつも迷っている。長いあいだうずくまっていると膝が痛くなる。そうして十年二十年が過ぎてゆく たぶん。時をはかる半透明の巨きな桝の表面にいろんな人びとの顔が映り込んでいる。ほらほら あれを見ろよ。赤い帽子をかぶった少女がこっちを見ながら愉しそうに笑っている。その隣で 髪のうすいおじさんが身を折り曲げて吐いている。まるで古時計の短針と長針のようにその二つのイメージは重なるように見えてすぐに離れてゆく。ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ夢 . . . 本文を読む
コメント

店番の日曜日

2012年11月25日 | 音楽(クラシック関連)
さて、このあいだから、グスタフ・マーラーという高峰の裾をうろうろしていることは、過去の日記にしるした。今日はマーラーの交響曲4枚とベートーヴェン(フルトヴェングラー指揮の7番)、計5枚のディスクをクルマに積んでもってきた。現在はバーンスタイン&ベルリン・フィルがやった「伝説の名盤」が、会社のラジカセから流れているが、どうにも退屈で、耳を素通りしていくのはどうしたことか(^^;)マーラーという高峰の、二合目付近から上を目指す登攀ルートが、なかなかみつからない。本を読んでいると、なんだかわかったような気分になるが、彼の交響曲が、毛穴のような部分から体内に入ってきて、細胞の一つひとつに沁みわたっていく・・・というふうにはならない。《マーラーを聴くとは、もちろんこの甘美な、あるときは苦渋に満ちた、あるときはシニックな冷笑の仮面をつけた、あるときは幼年の遠い記憶につながるようなナイーヴでしかも夢のような生々しさをもった――音楽を聴くことは、それが私たちを誘ってゆく国に、私たちの身をまかせることを意味するにほかならないのはもちろんだが、この音楽をより全面的に、より全身的に受けとめるためには、聴き手である私たちは、ただ追随し、自分を忘れるだけでは十分ではないのである . . . 本文を読む
コメント