二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

日本詩人全集(全34巻)新潮社があったころ

2022年07月18日 | 俳句・短歌・詩集
今日は書評ではなく、本そのものの話をさせていただく。

旧い話で恐縮ながら、かつてこういう全集が新潮社から刊行されていた。
■日本詩人全集 全34巻 新潮社

ご覧のごとく、現在では一冊100円(税別)。
出版されたのは、奥付をみると昭和44(1969)年のこと。
定価330円。消費税なるものはまだなかった。
この時代の本(というより書籍)は、箱入り(函入り)で、しかもハトロン紙またはパラフィン紙のカバーで包装されているものがあった。いまから57年前。この時代、本は貴重品、偉かったといえるだろう。
個人的なことをいわせていただけば、このときわたしは17歳高校3年であった。

萩原朔太郎や中原中也によって詩に目覚め、詩を雑誌に盛んに投稿していた。
先日買って帰ったのは、第30巻と31巻。
現代俳句に関心が出てきたので、こういったアンソロジーはまさにうってつけだと感じられた。
どんな俳人が収録されているのか、目次をひろってみよう。

■第30巻
1.河東碧梧桐
2.小沢碧童
3.中塚一碧楼
4.荻原井泉水
5.尾崎放哉
6.村上鬼城
7.渡辺水巴
8.飯田蛇笏
9.原 石鼎
10. 前田普羅
11. 富田木歩
12. 杉田久女
14. 久保田万太郎

■第31巻
1.水原秋桜子
2.山口誓子
3.阿波野青畝
4.高野素十
5.日野草城
6.富安風生
7.山口青邨
8.川端茅舎
9.松本たかし
10. 中村草田男
11. 加藤楸邨
12. 石田波郷
13. 西東三鬼

合計27名の現代俳人の代表作、200~400句が収録されている。
ざざっと見渡すには、とても便利なアンソロジーである。
この27名の俳人に、「人と俳句」という解説、年譜(昭和44年までの)が付随。
簡にして要を得ているので、たいへんありがたい(^^♪



ほかにもこういう詩人など、このシリーズは20冊ばかり手許にあって、ときおり気まぐれにページを開く。
昭和44年といえばラーメン一杯いくらだったか? 
調べたら約100円である。令和の今日、外食のラーメン一杯平均600円とすれば、
330円×6=1,980円
高校生であった当時のわたしのお財布にとって、そういう感覚であったわけだ(笑)。

河東碧梧桐や荻原井泉水、水原秋桜子、中村草田男、加藤楸邨、石田波郷、西東三鬼等、名前だけ知っている俳人が10人あまりいる。
それと、大好きだった飯田蛇笏の、
芋の露連山影を正しうす
「サトイモの大きな葉にたまった朝露に、連なる山々の姿が整然と映っていることよ」
この一作は、教科書に掲載されていたのをはっきり覚えているなあ( ´◡` ) 
俳句における「きれ字」の意味はそのとき教わった。したがって、
芋の露 連山影を正しうす
・・・と鑑賞すべきなのだと。芋はサトイモ、山は南アルプス。

ほかに知っているとすれば、
冬蜂の死にどころなく歩きけり
蒙昧なる印象とはいえ、郷土出身の村上鬼城、無季自由律の尾崎放哉の二人は過去にも読んでいる。
ただし鬼城の「冬蜂の死にどころなく」は「冬蠅の・・・」と間違って覚えていたが(。-д-。) ダハハ

あらためて、現代俳句とは縁がなかったことに思いあたる。俳句をつくろうとかんがえたことはないし、興味も正岡子規で止まったままなのだ。


ついでに、翌々日、古書店2軒ほどまわって、こんな本など10冊あまりを仕入れてきた。


  (左「如何なる星の下に」高見順の復刻本。装丁・挿絵三雲祥之助が素晴らしい。
 右「忘我の記」中里恒子の最後の小説)


  (『萩原朔太郎「猫町」試論』清岡卓行)


  (「日本の名随筆」別巻25 俳句 金子兜太編) 

家じゅうが本だらけ、書庫の内部で暮らしているようなものであ~る。
いまのご時世、メルカリなどで気軽に買えはするけど、高校時代からはじまった「古本屋の散歩」は、年取って体が動かなくなるまでつづくだろう。
・・・その時期が近づいてきている、時間が乏しくなったなあ(^^;

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