二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

「いまは昔」ってなんだ?

2012年01月04日 | Blog & Photo


すべての街撮りを総合した、わたしを納得させるようなタイトルはないものだろうか?
――と、ずっと考えてきた。それをようやく決めたのが、2011年10月28日。
カッコつけて、英語のタイトルにしようかとしたけれど、ごくごく平凡な「いまは昔」に落ち着いたのである。
これによって、桐生を歩いたときは「桐生編」、深谷を歩いたときは「深谷編」、上田を歩いたときは「上田編」となる。

このことばを聞いて、大抵の人は、平安期の説話集「今昔物語集」を思い起こすだろう。
そう、たしかに、あれから採られている。
全4部構成で、1.本朝世俗部がいちばんよく知られているが、ほかに2.本朝仏法部、3.震旦部、4.天竺部の四部構成となっていて、日本の説話集ではもっとも大部で、よく親しまれている。
いまは昔・・・とはじまる、あれである。わたしは芥川龍之介にみちびかれて、多少は読み囓っている。「羅生門」「芋粥」なんかは、いまでも、時折読み返す。

しかし、たしかに・・・それはそうなのであるが、もうひとつ、もっと強烈にわたしの脳裏に焼き付いていることばが存在する。

それがこれ。
『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』
戦後写真界の大御所で、いまでも写真を志す人びとに巨きな影響をあたえつづけている森山大道さんのエッセイ・対談集のタイトルである。
ここには、半ば伝説化した、中平卓馬さんとの長時間対談が収録されている。
わたし的には、「いまは昔」が、森山さんの「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい」に響きあっている。

森山さんをまねようとか、あとを追いかけようと考えているわけではない。相手は時代を変えてしまうような天才、写真界に数多い“天才”の中でも、アラーキーとならぶ、ずば抜けた天才であるから、遠くからただ、漠然と仰ぎ見ているだけ(=_=)
過去はいつも新しい・・・これはほんとうは、なにをいいたいのだろう。このことばにふくまれた、逆説的な真実があるとすれば、わたしはそれを解き明かすために、街を歩いているのである。どうも、そんな気がしている。

トップに掲げた一枚は、2012年1月3日、烏川河川敷から眺めた高崎市庁舎。
地方都市高崎では群を抜く立派な建物で、お役人が威張っている(笑)。
買い物に出たついでに、回り道をし、烏川右岸に拡がる街を散策してきた収穫である。



おやおや、表彰プレートが、こんなに壁にかかっているぞ。
道路に面した自動車整備工場である。すぐ後ろをクルマがビュンビュン通過するため「ヒキ」がなかった(^^;) 古物商の許可証まである。



むふふ、これはまた。
なんとも胸に突き刺さるひとことではありませぬか(?_?)
しかし、なんでこんなものが庭の植え込みにさしてあるんだろう。う~ん、想像が拡がっていく。



あれぇー。このデザインはたしか「赤帽」の軽トラ。失業したんだろうか?
しかし、それにしては、ビニールテープを貼った箇所が多すぎやしないだろうか?
わたしの頭の中を、疑問符の小さなあらしが、つぎつぎと通過する。しかし、その場にとどまることなく、風のように、街角を通りすぎる。地図を持たない旅人は、こういった街角ギャラリーの小景をもとめて、トコトコ、トコトコ歩いていく。犬をつれた散歩よりはるかに自由。時間と体力さえあれば、遠くまでいくことができる。



そして、こういう被写体の前で立ち止まり、しばらくうっとりと見とれている。
ここはかつて、スナックの入口だった。画面には登場しない看板を眺めれば、それとわかる。時代に見捨てられた扉と壁の黄色。そこに、冬の日射しが、幾何学的な模様を落としている。わたしのこころの奥底で、眼には見えない火花のようなものがスパークする。

それにしても、なんだろう、このCXレンズのディストレーション。笑いたくなるような、ひどい糸巻き型であ~る(~o~)

多少の未練をひきずりながら、この日は小一時間で散策を切り上げ、普段の日常に復帰するため、近隣のスーパーの駐車場に止めたクルマへと急いだ。

☆最新mixiアルバム「いまは昔」はこちら(友人の友人まで公開)。
http://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000040498058&owner_id=4279073

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