
つげ義春さんがおもしかったので、BOOK OFFで手塚治虫「メタモルフォーゼ」という短編集を買ってきて、あっというまに読みおえた。
本書には「メタモルフォーゼ」シリーズから6話、そのほか「おけさのひょう六」「インセクター」「インセクター 蝶道は死のにおい」「夜よさよなら」「ダリとの再会」が収録されている。
手塚さんは「メタモルフォーゼ」のあとがきで、つぎのように書いている。
《ぼくは“変身もの”が大好きです。
なぜ好きかというと、ぼくは、つねに動いているものが好きなのです。物体は、動くと形が変わります。いつまでも、静かだったり、止まっているものを見ると、ぼくは、イライラしてきます。動いて、どんどん形が変わっていくと、ああ、生きているんだな、とぼくは認め、安心するのです》(あとがき冒頭部分)
どのマンガにもどこかに“変身”のテーマがかくれていると手塚さんはいう。その最たるものが、長年にわたって書き継がれてきた「火の鳥」であることは論をまたない。
手塚治虫はいうまでもなく、マンガ、コミックのわが国における創始者であり、完成者である。わたしはマンガ、劇画、コミック、アニメの世界にうといけれど、彼を超える漫画家がいるという話を聞いたことはないし、おそらくそれは不可能ではないか・・・とかんがえる者である。松尾芭蕉が俳諧を芸術にまで仕上げ、巨匠と仰がれるようになって、その後継者の中から、芭蕉を超える天才があらわれたかというと、そんなことにはならなかった。
手塚さんを偶像視することはない、という人がいるかもしれないが、ほかに、彼に匹敵するような書き手が、あるいは超えるような書き手がいるとしたら、むしろお教えいただきたいくらいである。
さっきウィキペディアで調べたら、「鉄腕アトム」は、
《フジテレビ系列にて、1963年1月1日から1966年12月31日まで放送。全193話。一部を除きモノクロ作品。》とのこと。
わが家にTVの受像機がやってきたのは1960年代の半ばころ。
わたしはモノクロの古いTVで、手塚さんの作品に、はじめてふれたのであった。
本書に収められた短編は、どれも甲乙つけがたいすぐれた作品である。中には文学の香り豊かな完成度の高いものもあり、決して読み捨てにはできない・・・とわたしはおもう。
あえて選ぶなら、ここでは「ウオビット」(「メタモルフォーゼ」第5話)と「インセクター 蝶道は死のにおい」「夜よさよなら」をあげておこう。
青少年から大人まで楽しめる、極上のエンターテインメント。読みだしたら止まらない、ノンストップのおもしろさをたっぷりと味わえる。
小説・・・とくに若いころ純文学に染まっていたわたしから見ると、マンガや劇画は、一段低いジャンルに見えた。そのわたしの印象を大きく塗り替えたのが「火の鳥」で、これは15年か20年前に、全巻読破している。
そのあとしばらくして「ブラック・ジャック」を全巻まとめて読もうとかんがえて、手許にあつめたものの、どういうわけかマンガ熱が下がってしまって、もう長らくマンガからは離れていたのだ。
つげ義春との出会いが、わたしにマンガ熱を蘇らせた・・・というと、なんだか大げさかな(笑)。
「マンガのおもしろさなんて、とっくに知っている。あんたの感想なんて、まるで参考にならねえや」といわれかねない*´∀`)ノ
その後つづけてなにか読みたくなり「奇子(あやこ)」上下巻を買ってきて、これもまもなく読みおえる。こちらは手塚治虫がドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」にヒントを得て連載したもの・・・とみずから語っている代表作の一つ。
大人向けのビターな味つけがすばらしく、こういう作品によって、マンガというメディアのレベルが一気にあがったのだ・・・と、マンガに関してはずぶの素人であるわたしはかんがえるものである。
ほかにどんなのがあるかしら? なにしろ講談社の手塚治虫文庫全集は全200巻。急いでもそう簡単には攻略できない。ミステリもそうだが、二度三度読み返したくなるマンガはそう多くはない。だれかに借りて読めばそれでもう十分。つまりヒマつぶしができたというわけである。
しかし手塚治虫の短編マンガは、そういうレベルを超えて輝いている。
わたしはそんな感想を抱いた♪
※評価☆☆☆☆☆(5点満点)
本書には「メタモルフォーゼ」シリーズから6話、そのほか「おけさのひょう六」「インセクター」「インセクター 蝶道は死のにおい」「夜よさよなら」「ダリとの再会」が収録されている。
手塚さんは「メタモルフォーゼ」のあとがきで、つぎのように書いている。
《ぼくは“変身もの”が大好きです。
なぜ好きかというと、ぼくは、つねに動いているものが好きなのです。物体は、動くと形が変わります。いつまでも、静かだったり、止まっているものを見ると、ぼくは、イライラしてきます。動いて、どんどん形が変わっていくと、ああ、生きているんだな、とぼくは認め、安心するのです》(あとがき冒頭部分)
どのマンガにもどこかに“変身”のテーマがかくれていると手塚さんはいう。その最たるものが、長年にわたって書き継がれてきた「火の鳥」であることは論をまたない。
手塚治虫はいうまでもなく、マンガ、コミックのわが国における創始者であり、完成者である。わたしはマンガ、劇画、コミック、アニメの世界にうといけれど、彼を超える漫画家がいるという話を聞いたことはないし、おそらくそれは不可能ではないか・・・とかんがえる者である。松尾芭蕉が俳諧を芸術にまで仕上げ、巨匠と仰がれるようになって、その後継者の中から、芭蕉を超える天才があらわれたかというと、そんなことにはならなかった。
手塚さんを偶像視することはない、という人がいるかもしれないが、ほかに、彼に匹敵するような書き手が、あるいは超えるような書き手がいるとしたら、むしろお教えいただきたいくらいである。
さっきウィキペディアで調べたら、「鉄腕アトム」は、
《フジテレビ系列にて、1963年1月1日から1966年12月31日まで放送。全193話。一部を除きモノクロ作品。》とのこと。
わが家にTVの受像機がやってきたのは1960年代の半ばころ。
わたしはモノクロの古いTVで、手塚さんの作品に、はじめてふれたのであった。
本書に収められた短編は、どれも甲乙つけがたいすぐれた作品である。中には文学の香り豊かな完成度の高いものもあり、決して読み捨てにはできない・・・とわたしはおもう。
あえて選ぶなら、ここでは「ウオビット」(「メタモルフォーゼ」第5話)と「インセクター 蝶道は死のにおい」「夜よさよなら」をあげておこう。
青少年から大人まで楽しめる、極上のエンターテインメント。読みだしたら止まらない、ノンストップのおもしろさをたっぷりと味わえる。
小説・・・とくに若いころ純文学に染まっていたわたしから見ると、マンガや劇画は、一段低いジャンルに見えた。そのわたしの印象を大きく塗り替えたのが「火の鳥」で、これは15年か20年前に、全巻読破している。
そのあとしばらくして「ブラック・ジャック」を全巻まとめて読もうとかんがえて、手許にあつめたものの、どういうわけかマンガ熱が下がってしまって、もう長らくマンガからは離れていたのだ。
つげ義春との出会いが、わたしにマンガ熱を蘇らせた・・・というと、なんだか大げさかな(笑)。
「マンガのおもしろさなんて、とっくに知っている。あんたの感想なんて、まるで参考にならねえや」といわれかねない*´∀`)ノ
その後つづけてなにか読みたくなり「奇子(あやこ)」上下巻を買ってきて、これもまもなく読みおえる。こちらは手塚治虫がドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」にヒントを得て連載したもの・・・とみずから語っている代表作の一つ。
大人向けのビターな味つけがすばらしく、こういう作品によって、マンガというメディアのレベルが一気にあがったのだ・・・と、マンガに関してはずぶの素人であるわたしはかんがえるものである。
ほかにどんなのがあるかしら? なにしろ講談社の手塚治虫文庫全集は全200巻。急いでもそう簡単には攻略できない。ミステリもそうだが、二度三度読み返したくなるマンガはそう多くはない。だれかに借りて読めばそれでもう十分。つまりヒマつぶしができたというわけである。
しかし手塚治虫の短編マンガは、そういうレベルを超えて輝いている。
わたしはそんな感想を抱いた♪
※評価☆☆☆☆☆(5点満点)