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(きっかけはこの一冊「地球46億年の孤独」松井孝典との出会い)
わたしは文化系は得意だったけど、理科系は苦手なので、理科系の本は滅多なことでは手にしない。
高校時代を振り返ってみると、数学、物理、化学は、いまでも夜中に夢に出てきてうなされるくらい四苦八苦した覚えがある。
ただし、生物、地学の分野は別。
だから成人年齢に達してからも、ほんのときおり、関連書籍を興味本位で読んできた。
2-3年に一冊か二冊。そういった中に、物理学者の先生がお書きになる物理学、天文学の、一般人向けに書かれた本がある。
最近そういった本を二冊読みおえたので、簡単に感想をしるしておく気になった。ただしあくまで専門外の野次馬なので、踏み込んだ内容には立ち入らない。
■「宇宙は本当にひとつなのか」村山斉(講談社ブルーバックス 2011年刊)
■「宇宙に外側はあるか」松原隆彦(光文社新書2012年刊)
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哲学に関する本ばかり読んでいると、感性や感情が抑制されすぎて、ものの見方が抽象的になり、少し煮つまってくる。酸素不足に陥った金魚みたいになるとでもいったらいいのか(笑)。
だから他のジャンルの本に手をのばし、酸素を補給してから、ふたたび水面下にもぐる。人間の知的好奇心をながらく運営維持していくには、それなりの工夫が必要なのだ(=_=)
すくなくともわたしの場合は。
そんなところにあらわれたのは、冒頭に挙げた松井教授の「地球46億光年の孤独」(徳間書店 1989年刊)であった。
「地球46億光年の孤独」という詩的なタイトルに、一瞬でしびれた。
そうだよな~、地球が誕生し46億年もたつっていうのに、地球生命には“隣人”といえる他の生命体が発見されていないのである。
タイトルから推察できるように、ここに挙げた二冊は、たいへん似通った記述の内容を備えている。
あまたの類書がこれまであるから、そういった読者を対象にしているのは明らか。
編集部の要望に応えるかたちで、素粒子物理学の専門家が書き下ろしたものである。
Amazonで参照できる内容紹介を引用させていただく。
《最新の理論と実験から迫る全く新しい宇宙観宇宙の90パーセント以上は得体の知れない暗黒物質と暗黒エネルギーからできている。その正体を探っていくと多くの次元と宇宙が見え隠れしているというのだ。
最新の理論と実験から迫る新しい宇宙論
宇宙の全体を調べてみると、目に見える物質は5パーセントにも満たなくて、 残りの約96パーセントは正体不明の暗黒物質と暗黒エネルギーだというので す。私たちは、目に見える宇宙こそ宇宙だと思ってきましたが、最近になって それがまったくの間違いであることがわかってきたのです。暗黒物質と暗黒エ ネルギーの正体を探っていくと私たちには目に見えない多くの次元と無数の宇 宙が存在しているのではないかというのです。急展開を見せる宇宙の最前線を ふまえて「宇宙とは何か」を問い直す最新宇宙論入門。》(講談社ブルーバックス)
《21世紀の現代、人類は観測技術の発達などによって宇宙を見る目が大きく開かれつつある。いま、宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか? 宇宙の全体像とは? 宇宙の「外側」とは? 「奇妙な謎」に包まれた人宇宙を人類はどこまで知ることができるのか? 気鋭の研究者が、誰もが一度は考えたことがある「究極の問い」に真正面から迫る、宇宙論のフロンティアへと旅立つ一冊。》(光文社新書)
村山さんは1964年生まれ、松原さんは1966年生まれ。
この手の本は、情報が古びてしまうのが早いから、刊行から10年もたったら、完全にひと昔となってしまうのではないか?
・・・と思わないでもない(-_-)
アメリカをはじめ、世界各国が、毎年のように宇宙船を打ち上げ、さまざまな研究や観測が行われているご時世である。
これら二冊とも、暗黒物質(ダークマター)、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)をどうとらえるかが、最重要なキーワード。
決定的な観測、決定的な学説がまだ登場してはいないという段階である。
たいへん興味深いのは、クォークなど素粒子の研究が、そのまま巨大な宇宙の研究にむすびついているあたりだろう。
そして、最近の有力な学説では、宇宙はわれわれのこの宇宙だけではないのではないか・・・といわれているそうである。
多元宇宙、多次元宇宙論をめぐる最新情報が紹介されているが、ややこしいので、うまく要約はできない。
《宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか? 宇宙の全体像とは? 宇宙の「外側」とは?》
当然ながら、これらは松井さんが専門とする惑星科学とクロスオーバーする研究分野である。
アインシュタイン以降、あるいはホーキング以降、人間はこの宇宙や恒星、惑星について、どこまで解明できたのか?
宇宙が誕生し137億年、地球が誕生し46億年。
ご存じの方もいると思うが、この宇宙の永遠の沈黙について、パスカルはつぎのように語っている。
《人間の盲目と悲惨を見、沈黙した宇宙を見つめるとき、人間が何の光ももたずただ独り放置され、いわば宇宙のこの一隅に迷い込んだように、誰が自分をそこに置いたのか、自分は何をしにそこへ来たのか、死ぬとどうなるかをも知らず、あらゆる認識を不可能にされているのを見るとき、私は眠っているあいだに荒れ果てた恐ろしい島に連れてこられて、目覚めてみると、そこがどこなのかわからず、そこから脱出する手段もない人のような、恐怖におそわれる。》(パンセ)
現代の最新科学と哲学が、思いがけなく、こうしてリンクする。
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わたしは文化系は得意だったけど、理科系は苦手なので、理科系の本は滅多なことでは手にしない。
高校時代を振り返ってみると、数学、物理、化学は、いまでも夜中に夢に出てきてうなされるくらい四苦八苦した覚えがある。
ただし、生物、地学の分野は別。
だから成人年齢に達してからも、ほんのときおり、関連書籍を興味本位で読んできた。
2-3年に一冊か二冊。そういった中に、物理学者の先生がお書きになる物理学、天文学の、一般人向けに書かれた本がある。
最近そういった本を二冊読みおえたので、簡単に感想をしるしておく気になった。ただしあくまで専門外の野次馬なので、踏み込んだ内容には立ち入らない。
■「宇宙は本当にひとつなのか」村山斉(講談社ブルーバックス 2011年刊)
■「宇宙に外側はあるか」松原隆彦(光文社新書2012年刊)
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哲学に関する本ばかり読んでいると、感性や感情が抑制されすぎて、ものの見方が抽象的になり、少し煮つまってくる。酸素不足に陥った金魚みたいになるとでもいったらいいのか(笑)。
だから他のジャンルの本に手をのばし、酸素を補給してから、ふたたび水面下にもぐる。人間の知的好奇心をながらく運営維持していくには、それなりの工夫が必要なのだ(=_=)
すくなくともわたしの場合は。
そんなところにあらわれたのは、冒頭に挙げた松井教授の「地球46億光年の孤独」(徳間書店 1989年刊)であった。
「地球46億光年の孤独」という詩的なタイトルに、一瞬でしびれた。
そうだよな~、地球が誕生し46億年もたつっていうのに、地球生命には“隣人”といえる他の生命体が発見されていないのである。
タイトルから推察できるように、ここに挙げた二冊は、たいへん似通った記述の内容を備えている。
あまたの類書がこれまであるから、そういった読者を対象にしているのは明らか。
編集部の要望に応えるかたちで、素粒子物理学の専門家が書き下ろしたものである。
Amazonで参照できる内容紹介を引用させていただく。
《最新の理論と実験から迫る全く新しい宇宙観宇宙の90パーセント以上は得体の知れない暗黒物質と暗黒エネルギーからできている。その正体を探っていくと多くの次元と宇宙が見え隠れしているというのだ。
最新の理論と実験から迫る新しい宇宙論
宇宙の全体を調べてみると、目に見える物質は5パーセントにも満たなくて、 残りの約96パーセントは正体不明の暗黒物質と暗黒エネルギーだというので す。私たちは、目に見える宇宙こそ宇宙だと思ってきましたが、最近になって それがまったくの間違いであることがわかってきたのです。暗黒物質と暗黒エ ネルギーの正体を探っていくと私たちには目に見えない多くの次元と無数の宇 宙が存在しているのではないかというのです。急展開を見せる宇宙の最前線を ふまえて「宇宙とは何か」を問い直す最新宇宙論入門。》(講談社ブルーバックス)
《21世紀の現代、人類は観測技術の発達などによって宇宙を見る目が大きく開かれつつある。いま、宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか? 宇宙の全体像とは? 宇宙の「外側」とは? 「奇妙な謎」に包まれた人宇宙を人類はどこまで知ることができるのか? 気鋭の研究者が、誰もが一度は考えたことがある「究極の問い」に真正面から迫る、宇宙論のフロンティアへと旅立つ一冊。》(光文社新書)
村山さんは1964年生まれ、松原さんは1966年生まれ。
この手の本は、情報が古びてしまうのが早いから、刊行から10年もたったら、完全にひと昔となってしまうのではないか?
・・・と思わないでもない(-_-)
アメリカをはじめ、世界各国が、毎年のように宇宙船を打ち上げ、さまざまな研究や観測が行われているご時世である。
これら二冊とも、暗黒物質(ダークマター)、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)をどうとらえるかが、最重要なキーワード。
決定的な観測、決定的な学説がまだ登場してはいないという段階である。
たいへん興味深いのは、クォークなど素粒子の研究が、そのまま巨大な宇宙の研究にむすびついているあたりだろう。
そして、最近の有力な学説では、宇宙はわれわれのこの宇宙だけではないのではないか・・・といわれているそうである。
多元宇宙、多次元宇宙論をめぐる最新情報が紹介されているが、ややこしいので、うまく要約はできない。
《宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか? 宇宙の全体像とは? 宇宙の「外側」とは?》
当然ながら、これらは松井さんが専門とする惑星科学とクロスオーバーする研究分野である。
アインシュタイン以降、あるいはホーキング以降、人間はこの宇宙や恒星、惑星について、どこまで解明できたのか?
宇宙が誕生し137億年、地球が誕生し46億年。
ご存じの方もいると思うが、この宇宙の永遠の沈黙について、パスカルはつぎのように語っている。
《人間の盲目と悲惨を見、沈黙した宇宙を見つめるとき、人間が何の光ももたずただ独り放置され、いわば宇宙のこの一隅に迷い込んだように、誰が自分をそこに置いたのか、自分は何をしにそこへ来たのか、死ぬとどうなるかをも知らず、あらゆる認識を不可能にされているのを見るとき、私は眠っているあいだに荒れ果てた恐ろしい島に連れてこられて、目覚めてみると、そこがどこなのかわからず、そこから脱出する手段もない人のような、恐怖におそわれる。》(パンセ)
現代の最新科学と哲学が、思いがけなく、こうしてリンクする。
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