二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

姪の結婚 ~時空の旅人として

2018年04月11日 | Blog & Photo
写真とは記録装置である・・・と、よくいわれる。記録装置であり、記憶装置でもある。
今日はそのことについて書き、私生活の一端を、ちょっと暴露しておく。
中には年中「私生活を暴露」している方があるが、わたしは滅多にそういう記事はUPしない。
したがって、本日の記事は例外に属する。

さて、トップにあげた一枚は、いまから24年ほど昔(1994年ごろ)、わたしが当時使っていたCONTAX G1だったか、KONICA BiG mini だったかで撮影したもの。リバーサルフィルムからスキャンし、ストックしてある、とても愛着のあるフォトである。
左でシャボン玉を吹いているのが息子、隣でそれを見ている女の子が姪。

約四半世紀前、わたしはこういう時空の中に身を置いていたのだ。むろん、わたし自身も若かったし、子育てと仕事に追われていた。



そしてこちらは、2018年3月31日、名古屋の結婚式場で撮影した、姪の写真。“誓いのことば”を読み上げ、二人でサインし、来場者に提示した瞬間、これが式の一つのクライマックス!
この2枚のあいだに横たわる時間の層の厚みに、どうしても思いを凝らさない訳にはいかない・・・といったところだ。

近ごろめずらしい豪華な結婚式・披露宴であった(^^;)
式場のカメラマンがプロ機材で要所はすべて撮影したから、わたしのカットは、あくまでプライベートフォト♪
ついでにもう一枚。



濃紺のロングドレスが、とてもよく似合っていたので、「綺麗だよ」声をかけた。
姪は「いや~、どうもありがとう♪ まあ、メイキャップしてるからね!」と照れていたが・・・。

彼女はそれほどの秀才、才媛というタイプではなかったが、千葉大に進学し、名古屋の会社に就職した。そこで「運命の人」とめぐり逢ったというわけである(^^)/
高校時代は女子サッカーに熱中、真っ黒に日焼けし、生傷が絶えなかった。
「こんなじゃじゃ馬が、将来嫁にいけるんだろうか?」と、伯父のわたしはいささか心配になったくらいだった。

何百万円の費用がかかったか知らないけれど、百人近い来場者に祝福された、華やかな旅立ちの日。
朝5時にワゴン車に乗り合わせて当方を出発し、帰宅したのは深夜12時過ぎであった。
クルマでいくとなると名古屋は遠い。
若いころは、妻の実家がある京都(丹後)まで、その倍の時間をかけてよくクルマを飛ばしたが、まさに隔世の感である。腰に持病を抱えているため、余計に辛かった(ノ_-。)

記録装置、記憶装置としての写真。
大げさにいえば、それは20年ばかり昔、ウジェーヌ・アジェの写真集を眺めながら身に迫ってきたある種の“驚異”“畏怖”の感情と重なる・・・ように思える。

そして、すべては永遠に過ぎ去る。そのことに対して。


最後に、恥ずかしながら、このときの“わたし自身”も暴露しておこう(^^;)
甥っ子の一人にカメラ(オリンパスPEN-F)を渡し、親族控え室で撮影させた中の一枚。
いまでは髪を染めることがないので、白髪に近いが・・・。



・・・いや、アッジェのパリだけではない。
わたしがときおり読み返す夏目漱石の例をあげるなら、初期の「坊ちゃん」と、ほぼ晩年の「道草」のあいだに横たわる時空のへだたり。
「坊ちゃん」の刊行が1905年、「道草」は1915年。
たった10年間で、漱石夏目金之助の作品と、彼自身が、これだけの変貌をとげたのである。

時空の旅人としての人間。
それを記録し、記憶する装置としての写真に、わたしはこれからもこだわりつづけるだろう。

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