二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

夜への階段 ~新作をめぐって

2012年12月05日 | Blog & Photo
「ある交差点の夕暮れ」


いくつかのシリーズを並行して撮影しているけれど、このあいだ「夜への階段」シリーズで、わたし的にようやく納得のいく一枚が撮れた。
それがこの写真。
「え? どこが・・・」といわれそうなので、少しだけ説明を試みよう。

これは夕刻の前橋市内、国道17号線の、とある交差点である。奥の正面に見えるのは、ときおり利用するレストラン「ココス」。その右に「洋服の青山」がある。空は日没後しばらくたっているけれど、まだ夕照の照り返しがかすかに残っている。そこに黒い雲が浮かんでいる。
左にホワイトの右折車が一台停車していて、その向こうをトラックが通過しようとしている。

右からは歩行者があらわれて、横断歩道を左へ渡りかけている。その背後から、左折車が接近中。
国道の向こう右には、信号が変わるのを待っている母子がたたずんでいる。
あたりを、舞台照明のような人工的な明りが支配しているが、それと背後の自然光が、うまくバランスをたもって見える。
スローシャッターなので、ピントがきているもの、ブレているものが入り交じって、ある雰囲気が生じている。
フィルムカメラ時代の昔なら、撮影が非常にむずかしい条件。
わたしはこれを、オリンパスE-P3と標準ズーム、iAUTOモードで、クルマのフロントガラス越しに撮っている。

こんなふうに説明しても空しいだけだけれど、ことばに置き換えてみれば、そういう情景となる。この写真を見る人は、おそらく2、3秒で「ああ、そういうことね」と、“了解”するだろう。
ほとんど一瞬にしてそこに描かれたものが手に入る・・・というのが、写真と音楽の大きな違いである。
音楽ならば、こうはいかない。モーツァルトでは30分前後、ブルックナーやマーラーともなると、1時間か、それ以上耳をすましていないと、“了解”した・・・というふうにはならない。またムービーならば「早送り」という手段がある。しかし、音楽は早送りしたとたん、その内容は消し飛んでしまう。

ある一瞬をスライスすることによって見えてくる現実のアクチュアリティ。しかも、それはわたしが普通に暮らしているある町の断片なのである。生き物のように呼吸し、刻々と変化してやまない街角のおもしろさが、この一枚の中に、いわば“凝縮”している。

「わたし的にようやく納得のいく一枚が撮れた」とは、そういう意味である。
こういう一瞬が撮りたくて、わたしはいつもカメラを手放さず、持ち歩いている(^_^)/~


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