
YouTubeは無料アーカイブズ(記録保存館)である。
文書のではなく、画像と音声の。
しかも動画は大量に保存されている。うるさいことをいえば、著作権保護の観点からは問題があるものがあるけれど、そうそう目くじらをたてなくても・・・とわたしは考える。
ずいぶん恩恵をうけているし、YouTubeがなかったら、もっとも貴重な情報源の一つを失うことになる。
吉田秀和さんの追悼日記を書いたとき、まだYouTubeをチェックしていなかったが、その後検索し、2本の動画を閲覧することができたので、linkしておこう。
(興味がある方ははやくご覧になって下さいね、削除されるかもしれませんから)
■吉田秀和
クローズアップ現代「吉田秀和のメッセージ」
http://www.youtube.com/watch?v=BhWBP8nwycY
ETV特集「言葉で奏でる音楽」
http://www.youtube.com/watch?v=8TcOrK0WiZw
こんなふうに、吉田さんの貴重な画像データが無料で閲覧できる!
わたしは小林秀雄の「モーツァルト」をはじめて読んだときのことを覚えているが、小林はその後、クラシック音楽への発言はほとんどせず、そこからはなれてしまった。
小林秀雄もそうだが、吉田さんも、ある生き方、思想の体現者だったのである。そういう意味では、単なる批評家の枠を越えてしまう、稀有な存在であったことを、これらを見ながらあらためて痛感させられる。
読んでおこうと思いつつ、読んでいない著作がまだまだたくさんある(^^;)
まあ、これからさきの愉しみにとってある・・・と、ここではいっておこう。
先日シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」について書いたとき、マイミク・クーマキチモフさんが「諏訪内さん、いいですよ」とコメントを下さった。
そうか、諏訪内晶子さんがいた――と思い出して、これもYouTubeで検索したら、どんぴしゃ、シベリウスを演奏している動画が出てきた。
指揮はアシュケナージ、オケはどこだろう? N響じゃないみたいだけれど。
http://www.youtube.com/watch?v=3w7Mzcnk9Zg
諏訪内晶子さん、庄司紗矢香さんは現代日本を代表する名女性ヴァイオリニストであるというくらいは、うかつなMikenekoさんもいくらか知っている(~o~)
うーん、いいですね! やっぱり諏訪内さん、すっくとした立ち姿もすてきですねぇ。映像を観ると、ついよからぬ妄想がわいて、演奏に集中するどころではなく、彼女の表情の変化などを眼で追ってしまう。
彼女が使っているヴァイオリンは、かつてハイフェッツが所有していた名器「ドルフィン」だそうである。
http://www.universal-music.co.jp/akiko-suwanai/products/ucgd-9007/
このあいだBOOK OFFでこれを手に入れた。録音が新しいせいか、オケの音が非常にクリアに聞こえすぎて、耳につく。彼女の演奏は、青空から色とりどりのカーネーションが、無数に降りそそいでくるような、清潔感あふれる抒情性があり、聴き手を陶然とさせる。
シベリウス、これで6枚のCDが手許に集まったことになる。どれがすぐれていて、どれがダメというのではなく、どれもが「その演奏家のシベリウス」である。
「今日は○○でシベリウスを聴こう」でいいではないか、評論家ではないのだからね。
・・・というわけで、ヒマなとき、YouTubeのありがたみを享受している。
刹那的であとになにも残らないアプリ=ゲームより、わたしにとっては何十倍も有効な、充実した時間が流れてゆく。
さて、トップにあげたのは、「秋との別れ」新作。
もう一枚ピックアップしておこう。
