二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

昔むかし木村伊兵衛がいた

2012年01月12日 | Blog & Photo


昨日あたりから、このあたりでも冷え込みがきびしくなり、けさは、クルマの中に置いてあるペットボトルが凍った。
買い物に出たついでに、時間をとってそのあたりを歩こうと考えたけれど、10分、15分でブルブル、さ、寒~い(=_=)
防寒対策を見直してからでないと、とてもこんな寒風に逆らって歩けたものではな~い(*_*)ブルブル

トップにあげたのはX10で撮影した、そのときの一枚。
レンズの広角側を使い、ソシアル・ランドスケープを意識して撮った中の一枚である。

X10はつきあいはじめて日が浅いから、まだまだおもうようには操作できない。
オーバー気味になると、ハイライトが完全に飛んでしまうので、適正露出の幅は他のコンデジと比べて狭く、デリケートなカメラである。したがって、明暗の落差が大きいと、案外じゃじゃ馬というか、はっきりいって扱いにくい面がある。まあ、これはまったく個人的な印象なので、ほかの人が使ったら、違った感想をもつかどうか、そのあたりはわからないけれど(^^;)


というわけで、カメラ散歩を切り上げて本屋さんをのぞいたら、別冊太陽から木村伊兵衛号が刊行されているのが眼についた。
「木村伊兵衛 ――人間を写しとった写真家」別冊太陽 日本のこころ(平凡社)
これはその雑誌を手に持って、テキトーにシャッターを押したもの。





上が大正・昭和の文豪永井荷風、下がスナップショットの神様、ライカM3を手にするカルティエ=ブレッソン。



この写真、別冊太陽の上に置いたのは、その昔わたしが買った、「アサヒカメラ」臨時増刊号「木村伊兵衛を読む」である。刊行時に買って、書庫に収めてある。刊行年月日は、1979年。この二冊のあいだに、約32年のへだたりがある。あちこち持ち歩きながら読んだり見たりしたので、端のほうは手ズレなどでヨレヨレ・・・。

荷風を撮った一枚には、伊兵衛さんの人物スナップのいわば“神髄”のようなものが看てとれる。ポートレイトとスナップショットのどちらでもない、微妙な動きの一瞬をとらえたことで、荷風という人物がただよわす風韻がにじんでいるからである。荷風の風貌というと、わたしはまず、これを思い起こす。

伊兵衛さんが活躍したのは、わが国の写真の黎明期から、さほどへだたってはいない、写真にとっては「よき時代」であった。写真におけるカテゴリーというか、ジャンルが未分化だったから、あらゆる分野で先駆者になりえた。
偉大なアマチュア精神をもった、偉大なフォトグラファーであったと、この本を眺めながら痛感している。「沖縄」「秋田」は、どっちのシリーズも、十分な見応えがあり、カメラを手にした人のぬくもりがつたわってくる。土門拳が、しばしば対象を切り裂くような鋭利なまなざしの持ち主であったのと、好対照ではあるまいか。

寒風吹きすさぶ悪天候の日には、コーヒーでもすすりながら、こたつにもぐりこんで、の~んびりと眼を研く三毛ネコさんなのであ~る(笑)。

ついでに一枚。
自費出版の写真集「パーソナル・リレーション」をX10で撮ったため、網点の点が出て輪郭はかすんでいるが、つぎの一枚は、横浜美術館でまったく予期せぬ偶然にめぐまれ、撮影がかなったロバート・フランク。“わたしの”ロバート・フランクである。
元はたしか、プロビア。カメラはEOS5(5Dではありませぬ!)だったと思うが、原板は行方不明。
いずれは・・・絶対にさがし出しておきたい、貴重な写真なのである。





☆「木村伊兵衛 ――人間を写しとった写真家」別冊太陽 日本のこころ
http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E4%BC%8A%E5%85%B5%E8%A1%9B%E2%80%95%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%82%92%E5%86%99%E3%81%97%E3%81%A8%E3%81%A3%E3%81%9F%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%AE%B6-%E5%88%A5%E5%86%8A%E5%A4%AA%E9%99%BD-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D-%E7%94%B0%E6%B2%BC%E6%AD%A6%E8%83%BD/dp/4582921892

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