二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ソシアルランドスケープの新たな可能性

2013年05月24日 | Blog & Photo

Q:このところ、けっこう撮っていますよね。玉石混淆で(笑)。

A:森山センセーじゃないけれど、量が質を決めると思ってますからね(^^;) だからセレクトするのが、非常に大事。デジタルだと、ほんとうに気軽に撮ってしまう、撮れてしまうので、迷いの壁がかえって高くなる。

Q:それでも、愉しんでるなあ・・・というのは、つたわってきますね。いろんな人から、わりと影響をうけやすいのかな? まあ、写真は写真なんでしょうけれど。

A:そうですね。ことばはずいぶん遅れてついてくる。だけど、写真の核心部分はことばにはならないものです。まあ、ブログだとか、記事だとか、日記だとかの挿絵として写真を撮っている方もいるけれど、わたしはそれはちょっと違うだろうと考えています。
ことばから離れる努力をしないと、いい写真は撮れないですね。

Q:アハハ。そういいながら、ずいぶん日記やコラムを書いているじゃありませんか。

A:写真は頭で撮るものじゃない。知性は必要ですが、ことばにとらわれると、概念的になってしまって、作品がつまらなくなる。身技体というと相撲みたいだけれど、写真は絵画と比べて、はるかに身体的なものだと思うんですね。意図して撮ろうとしたものと、写ってしまったもののはざまに、おもしろさが隠れているんですね。その場では気がつかなくてあとから気がついたりする。

Q:最近気になっていることって何ですか?

A:いっぱいあるよ、そんなこと。公私ともに、多事多難(笑)。生活サイクルはパターン化して、かなり煮つまってるし(笑)。写真を撮ったからといって、そこから抜け出せるわけじゃない。生活習慣病の影も忍び寄ってますしねぇ。

Q:モノクロームをはじめたじゃないですか。

A:あまりうまくいってないですね。まだまだ深い霧の中。進むべき方向がまるでわかってない。関心があるのは「ソシアルランドスケープだ」という直観はあるんですけどね。ただ、いまは評論家みたいに定義したくないんだな。定義してしまったら、いちばん大事な何かが、ひからびてしまう・・・というか、死んでしまう。
「横町曲がればワンダーランド」ということばがあるけれど、いつも新しい出会いをもとめているわけですからね。被写体はいくらでもある。アングルやフレーミングを考えながら、そのとき、その場で感じたものをすくい取っていく。眼や手や足で。アハハハ。

Q:まあ、だけど、ソシアルランドスケープというと、なんだってそういえないこともないですしね。デジタル時代になって、写真が死にかけているという見方もできるでしょう? あらゆるものが、あらゆる場所で撮影されている。だから、写真にサプライズがなくなって、ムービーというか、ありふれた日常の、つまらない一こまになっていく。だから、人は写真なんて、見なくなっている。見ようとしなくたって、いたるところに写真というか、画像というか、そういうものが氾濫しているし、画一化の波はとどまるところがないですからね。
人は「ナマな現実」なんて見たくはないでしょう? 管理化というのは、隠蔽工作でもある。差別用語狩りをしたって、差別がなくなったかというと、その逆。見えにくくなっただけですからね。

A:うん、そう。すべてが「いつか見たような風景」なんだ。新しいものに出会えるはずがない。悲観的にいえばね。しかし、だからこそ、やり甲斐がある。まあ、そう考えることにしているって意味だけれど(笑)。このところ、フィルムに戻っているのも、具体的な手ざわりが欲しいからなんだと思う。

Q:ソシアルランドスケープの新たな可能性って、ほんとうにあるんだろうか? 話がますます悲観的になるけれど(笑)。

A:そんなこと、やってみなければわからないじゃない! それしかいえないですけどね。やってみたけれど、やっぱりつまらなかった・・・とかね(笑)。

Q:まあ、こんな議論にならない議論していても仕方ないから、最近作を何枚かあげて下さい。









A:うーん、こんなところか、アハハハ~。
けっこう記憶に残る風景なんだ、どれも。いちばんインパクトがあったのは、トップにあげたやつかな、個人的には。だけど、なぜこれがおもしろいのか、よくわからないんですよね。再開発によって、変貌しつつある風景なんだ。「ああ、まもなく、ここにのっぺりしたつまらねえビルが建つんだな」そう思いながら、撮ったんだ。高崎の中でも、昭和のおもかげがいくらか残った、なつかしい一角なんだけどね。さよなら、だね。「さよならだけが人生だ」といった詩人がいたけれど、まあ、昭和の後ろ姿。だから、思い入れがあるのかもしれない。
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