二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

2012年ベストセレクション第9回「夜への階段」

2012年12月26日 | Blog & Photo
<中古車センターの夕暮れ>アルバム「夜への階段 Part4」2.3


この一週間あまり、シベリウスに首ったけ!
そう・・・フィンランドの作曲家ヤン(ジャン)・シベリウスですね(^-^)
ずっと若いころ、交響詩「フィンランディア」で、少しその世界に目覚めたんだけれど、交響曲は全然わからなかった。
劇音楽や管弦楽作品はそのよさが徐々に理解できるようになって、ディスクを2、3枚手に入れ、40代の中ごろから聴くようになった。
「ヴァイオリン協奏曲」もいいですよね、もちろん。だけど、そのころはまた、ベートーヴェンやメンデルスゾーン、チャイコフスキーのそれに比べ、一段劣る音楽だとおもっていた(^^;)
ところがそうじゃない・・・と、遅ればせながら、今年になって気がついた。
現在は「ヴァイオリン協奏曲」は、6枚のディスクがあり、気ままに取っ替えひっかえ、耳をすまして悦に入っている。

そして、交響曲第2番。「あー、ああ。こんな音楽だったのね!」
つい数週間まえ、バルビローリがハレ管とやったディスクを何回か聴いて、あいだを空けて四度、五度聴いて、眼のまえが豁然と開けてくるという経験をした。
全体としては明るい気分に支配されているが、ロマン的な詩情がゆったりとうねって、巨大な波のように押し寄せてくる。濃霧がたちこめたり、その濃霧が晴れて、陽光がキラキラと射し込んできたり。いつのまにか、シベリウスならではの輝かしい音の大伽藍の中に誘いこまれて、美しい柱廊のパースペクティヴや中庭の樹木とその影に心を奪われている。

「あー、ああ。こんな音楽だったのね!」

そこまでくると、ことばは追いつかない。名状しがたい感動のあ・ら・し、あらし。

ディスクはカラヤン、バルビローリ、ベルグルンド(ヘルシンキ管)、そしていま聴いているのは、ジェイムズ・レヴァインがベルリン・フィルを指揮したディスク(DG)である。
このディスクでは「第5番変ホ長調」も聴ける(^_^)/~

さてさて・・・ここいらで本題にもどろう。
本日は「夜への階段」から3枚ピックアップする。

先頭の<中古車センターの夕暮れ>は藤岡市のバイパス沿いにあるBOOK OFFの駐車場から撮影。フレーミング、露出を変えて5~6枚写した中の一枚。
右に見える櫓の向こうには、名山浅間山のシルエットがある。マグネシウム灯のグリーンと、球切れとなった電球ケースのシルエットの対比を見たとき、むらむら写欲が漲ってきた(笑)。
仕事で出かけたさきの「ついでショット」だけれど、印象的な一枚を拾った。葉を落としたプラタナス(たぶん)のシルエットも効いている・・・と、わたし的にはかんがえている。



<雨の日の交差点付近>アルバム「夜への階段Part5」3.12


二枚目はこれ。こんな写真もアップしておこう。
クルマのフロントガラス越しに見えた光景が美しかった。
ボディカラー、ファッショナブルなロゴマーク。雨粒が視界をイルミのようににじませたり、幻の宝石をきらめかせている。
カメラはCX6、トイフォト・モードだったかもしれない。大勢のカメラマンがぞろぞろとやってくるイルミの有名スポットではなく、「わたしがつくりだしたイルミ」というところが気に入っている(^^)/



<ゴルフネットの夕照>アルバム「夜への階段Part5」8.30


さておまけの三枚目。
ここいらあたりには、かつてわが家所有の池があって、池のまわりが水田になっていた。
まだ手植えだったので、縄張りをよくさせられた。田の畦(たのくろ)がもろいので、うっかりすると足が沼地の泥にズブズブとのめり込む。フナ、ザリガニ、ナマズ、ドジョウなどの魚や、水生昆虫の栖だった。

わたしが東京暮らしをしているあいだに、圃場整備がおこなわれすっかり様変わり。7、8年まえまでは、冬になるとカルガモ親子が数羽渡ってきていた。しかし、いまではその姿は見られない。
向こうの建築物はサンピア高崎。
・・・わが家からこの場所まで、距離にして300mくらい。
厚生年金施設だが、赤字経営に耐えきれず売りに出され、地元の病院グループが7億とか9億で競り落とし、そのままの形態で引き継がれている。

知らない人が見れば単なるゴルフネットの夕照だろう。だけど、わたしの眼には、もっと違った光景が見える。大きな時代のうねり・・・その波頭のように。
ゴルフネットが休耕田に影を落としている。ここらあたりでも、休耕田やもっと殺伐とした耕作放棄地が年々ふえてゆく。

現在Part6が進行中だけれど、「夜への階段」もいわばライフワークみたいなものなので、P7、P8とマイペースでつづけていけたらいいなとおもっている。
夕刻から深夜零時に向かって、一段一段、四季折々の闇が深まってゆく。

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