この回顧展シリーズも、いよいよ最終回。
ポートレイト、記念写真部門だけれど、ラルティーグの写真集にならって「愛のまなざし」としておこう。臆面もないタイトルのようにおもえるけれど、べつにふざけているわけではないのです(笑)。
写真は結局のところ「愛、愛情」ですからね。被写体への、そして写真への。
関心がないもの、嫌っているものには、レンズは向けないというのは、不思議なことである。それは、撮影が、こころのふかいところで、所有欲とむすびついているからのようにおもえる。カメラマン=撮影者のセンスや人生経験、趣味嗜好、生活スタイルの影響が、作品の背後に存在する。
一年間、じつにいろんな写真を撮ってきたが、ポートレイト、記念写真は、撮影枚数が少ないとはいえ、わたしのなくてはならない大事な柱である。
(1)これより北国街道
信州上田市へいったとき、すれ違った小学生三人組。「写真撮ってもいい?」「うん、いいよ。どこで?」「そうだな・・・その標識の前に立ってくれる?」
そういった会話のあとの一枚。ポーズなどはつけない主義。
動きの一瞬をとらえたスナップもある。
純朴な田舎の小学生だが、一人ひとりの個性が際立っている。真正面から、カメラに向き合っているこの「幼い子ども」というのは、写真の永遠のテーマで、とてもわかりやすい。彼らの「人生の一日」と、わたし自身の「人生の一日」が、シャッターを押した、この瞬間にクロスしたのだ。
(2)ワンちゃんの散歩
サクラが散りはじめた敷島公園。会社の近くなので、わたしはよく散歩する。
お天気がいいと、午後あたりから、ご近所の愛犬家が、犬をつれて散歩にやってくる。「こんにちは~。犬をつれた写真、撮らせてくれない? 可愛いよね、その犬。・・・名前、なんていうの?」
そんな調子で声をかけた。微妙なお年頃を迎えつつある女の子。
一人でやってくる人は、警戒心が強いから、お願いしてもなかなかOKがもらえない。だけど、これはとおもったら、声をかけ、撮影の許諾を申し出て、成功率70%くらいだろう。「ありがとう。ほら、こんな写真が撮れた」「ほんとだ! よく撮れてる。・・・じゃ、また」
この子たちに遇うことは、もう二度とないだろう。「出会いの瞬間」だけが、数枚の写真となってのこった。
(3)リチャード下町ファミリー
これはめずらしく、浅草でお声をかけ、撮らせていただいた一枚。
右にいる男性が「リチャード下町ファミリー」のyuichさん。
http://www.youtube.com/watch?v=Nhaoi1Gk84I
YouTubeにも登場している有名な愛犬家。
なにをして生活している方なんだろう。名刺をいただき、いまでも大切に保存してある。大型の秋田犬Q、ホワイトシェパードLを率いて、浅草寺境内を悠々と散歩しておられる。わたしがお声をかけて撮影を開始したら、ほかの見物人が集まってきた。この女の子たちも、その中のグループ。車椅子に乗った男の子がやってきて「犬の写真、撮らせて下さい」といいながら、デジカメで撮影している(その様子も浅草スナップに一枚だけアップしてある)。
二頭の白い大型犬は遠くからでも目立っている。なんだかとてもホンワカした、ステキな30分だった。
ポートレイトというより、スナップor記念写真。
(4)成人式のお詣り
後ろに「七五三」の幟がある。
「あれれ、まさか・・・七五三じゃないですよね」とお聞きすると、
「ええ、1月9日は忙しくて参拝できないから、はやめにきたんです」とのこと(^_^)/~
表情に笑みがこぼれる一瞬をD7000と40mm(35mm換算60mm)で狙った。
地味な散歩写真と比べ、この「美人ちゃん」の出現で、華やかな一枚が撮れた。
あとで、メールの添付ファイルにし、お母さんにお送りした。
コミュニケーションをとっての撮影。これは「人物スナップ」とは、別ジャンルの写真である。
若いころは、友人・知人、スナックの女の子など、素人モデルをさかんに撮っていたが、いまは・・・むしろ、出会いの一瞬に賭けている。
(5)ネコのテンちゃん
わが家のモデルネコ、テンちゃんは、2011年7月に、友人のところからもらってきた雄ネコ。12月はじめころ、寒さがつのってくるころからぶくぶくと太りだしたので、最近はほとんど撮影していない。
以前日記で書いたように、この作品、テンちゃんの視線のさきには、ツグミ(あるいはヒヨドリ)の集団がいる。モデルはネコ。とはいえ、スナップだったり、記念写真だったり、ポートレイトだったり。
大型書店の「写真集コーナー」へいくと、タレントやグラビアアイドルとならんで、ネコの写真集がたくさん置いてある。ネコ好きは、こーさん、neroさん、denimさん等々、マイミクさんにも大勢いる。
人間を撮るよりラクかというと、そうでもない。「うぁお、また失敗。おいおい、いうことを聞いてくれ」
・・・てなぐあいで、失敗写真を量産している(=_=)
以上で、2011年回顧展を終了します。ふうぅ、く、くたびれた(~o~)
★理由のいかんを問わず、人物写真の二次使用は固くお断りいたします。