■ヒラリー・ウォー「事件当夜は雨」吉田誠一訳(創元推理文庫 2000年刊)原本は1961年刊
ショッキングな書き出しにびっくりさせられる。わけのわからない奇怪な開幕は近ごろのミステリなみ・・といっていいかな?
しかし、そのあとがいささか中だるみだと思えた。緊迫感が足りないのですね、たとえば「失踪当時の服装は」に比べて。
ミスディレクションはある。サブ・ストーリーもないではない。
そういったもの . . . 本文を読む
■ヒラリー・ウォー「失踪当時の服装は」法村里絵訳(東京創元社2014年刊)原本は1952年
つぎのページを繰るのがもどかしいほど、夢中にさせられた。
いやはや、す、すばらしい♬
これほどの出来映えはディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」以来となる。
ドキュメンタリータッチの地味なリアリズムが、冴えにさえて・・・警察小説の傑作が誕生したのだ。
こういうミステリが1952年に刊行されて . . . 本文を読む
■ロス・マクドナルド「象牙色の嘲笑」小鷹信光・松下祥子訳(ハヤカワ・ミステリ文庫 2016年新訳)
最初に結論を述べさせていたくと、本編は「動く標的」に比較し、小説として明らかに落ちる、と思われる。
なぜこんなに複雑な、入り組んだ小説を書かなければならなかったのか(^^;;)
文体が秀逸なため、何とかしまいまで読み了えたけど、かなりしんどかった。人間関係があまりに錯綜しているため、途中で二度 . . . 本文を読む