二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

見事な構図、そして第二幕がはじまる! ~ヒラリー・ウォー「事件当夜は雨」を読む

2023年12月06日 | ミステリ・冒険小説等(海外)
■ヒラリー・ウォー「事件当夜は雨」吉田誠一訳(創元推理文庫 2000年刊)原本は1961年刊 ショッキングな書き出しにびっくりさせられる。わけのわからない奇怪な開幕は近ごろのミステリなみ・・といっていいかな? しかし、そのあとがいささか中だるみだと思えた。緊迫感が足りないのですね、たとえば「失踪当時の服装は」に比べて。 ミスディレクションはある。サブ・ストーリーもないではない。 そういったもの . . . 本文を読む
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エポックメイキングな傑作! ~ヒラリー・ウォー「失踪当時の服装は」を堪能する

2023年12月03日 | ミステリ・冒険小説等(海外)
■ヒラリー・ウォー「失踪当時の服装は」法村里絵訳(東京創元社2014年刊)原本は1952年 つぎのページを繰るのがもどかしいほど、夢中にさせられた。 いやはや、す、すばらしい♬  これほどの出来映えはディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」以来となる。 ドキュメンタリータッチの地味なリアリズムが、冴えにさえて・・・警察小説の傑作が誕生したのだ。 こういうミステリが1952年に刊行されて . . . 本文を読む
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激しい憎しみの連鎖 ~ロス・マクドナルド「象牙色の嘲笑」を読み了えた

2023年12月01日 | ミステリ・冒険小説等(海外)
■ロス・マクドナルド「象牙色の嘲笑」小鷹信光・松下祥子訳(ハヤカワ・ミステリ文庫 2016年新訳) 最初に結論を述べさせていたくと、本編は「動く標的」に比較し、小説として明らかに落ちる、と思われる。 なぜこんなに複雑な、入り組んだ小説を書かなければならなかったのか(^^;;) 文体が秀逸なため、何とかしまいまで読み了えたけど、かなりしんどかった。人間関係があまりに錯綜しているため、途中で二度 . . . 本文を読む
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