旅と歴史

全国各地の史跡を取り上げて紹介しています。

長谷寺

2023年09月29日 | 旅 歴史

 奈良県桜井市初瀬に長谷寺(はせでら)があります。
 長谷寺(はせでら)は、山号を豊山神楽院と称し、真言宗豊山派(ぶざんは)の総本山です。西国三十三箇所観音霊場の第8番札所で、日本でも有数の観音霊場として知られています。檀信徒は200万人といわれ、「花の御寺」として有名です。
 寺伝によれば、天武朝の朱鳥元年(686)、道明上人が初瀬山の西の丘(現在、本長谷寺と呼ばれている場所)に三重塔を建立、続いて神亀4年(727)、徳道上人が東の丘(現在の本堂の地)に本尊十一面観音像を祀って開山したといわれています。
 長谷寺は平安時代中期以降、観音霊場として貴族の信仰を集めました。万寿元年(1024)には藤原道長が参詣しています。また「枕草子」、「源氏物語」、「更級日記」など多くの古典文学にも登場しています。
 長谷寺は東大寺(華厳宗)の末寺でしたが、正暦元年(990)頃に興福寺(法相宗)の末寺となりました。天正15年(1587)、豊臣秀長が特別の配慮を寄せ、空賢専誉(くうけんせんよ)を迎えました。
 その事により、興教大師覚鑁(かくばん)によって興され頼瑜僧正により成道した新義真言宗の寺院となりました。明治33年(1900)真言宗豊山派として独立し、総本山となっています。
 本堂以外の建物のほとんどは明治44年(1911)の大火災で焼失し、大正年間(1913-1926)に再建されました。寺宝類はきわめて多く、国宝、重要文化財を含め千点近くを所蔵しています。千仏多宝仏塔とも称する国宝の銅板法華説相図は法華経の見宝塔品(けんほうとうほん)で、釈迦が説法していたところ、地中から巨大な宝塔が出現した場面を表現したものです。法華経28巻、観普賢経1巻、無量義経3巻、阿弥陀経1巻、般若心経1巻の計34巻も国宝です。
 建物では国宝の本堂のほか、仁王門、下登廊、繋屋、中登廊、蔵王堂、上登廊、三百余社、鐘楼、繋廊が国の重要文化財に指定されています。また長谷寺本坊では大講堂、大玄関及び庫裏、奥書院、小書院、護摩堂、唐門及び回廊、中雀門、土蔵など8件が国の重要文化財に指定されています。

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