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人吉に数多く存在する温泉浴場のうち、今回取り上げる「元湯」は、市街地からはちょっと離れているものの、市役所の(道路を挟んだ)向かいにあって、人吉城の至近に位置しており、内部も綺麗に管理されているので、最も観光客向きであると言えるでしょう。
この浴場は開業が昭和9年となかなかの歴史を有しており、さすがに建て替えられていて当時の建物ではないかと思いますが、それでもどっしりとしたファサードの玄関周りといい、シンプルさを貫き通している内部構成といい、古き良き日本建築の赴きある佇まいが随所から見て取れます(そういう点でも観光客向きです)。
玄関を入るとすぐに番台があり、おばちゃんに料金を支払います。脱衣所は公衆浴場の標準的な広さですが、天井が高く明るいので、実際の面積以上の広さが感じられます。壁には東西共同浴場の温泉番付が貼られており、そこには「人吉温泉・元湯」の文字が。先客のおじさんがこれを番台のおばちゃんに指摘すると、おばちゃんは「人吉には温泉が沢山あるけれども、特にここは質が良いらしいんですよ」と自慢げに答えていました。
人吉の他の公衆浴場と同様、浴室は脱衣所から数段下りたところにあります。重厚な外観や明るい脱衣所から想像するに、さぞ広いお風呂かと思いきや、浴槽は浴室の真ん中にポツンと、黒光りする4人サイズの小さめのものがあるのみ。これを単に小さいと受け止めるか、奥ゆかしさと捉えるかは、入浴者の感覚次第でしょう。でもそのお蔭で浴槽のお湯は常に新鮮さが保たれ、1時間から1時間20分で全てのお湯が入れ替わるそうです。湯口からは勢いよくお湯が注がれ、浴槽の縁からふんだんにオーバーフローしています。小さくまとまっているからこその味わいや風格、メリットと言えそうです。
お湯は無色透明、湯口には飲泉に関する適応症の表も掲示されているので、手で掬って飲んでみると、ほぼ無味で飲みやすいのですが、よくよく味わうと僅かに舌の奥に苦味のようなものが残るようにも感じられました。お湯が喉を通った後は、モールの匂いと微かな硫化水素のような匂いが鼻へ突きぬけます。つるつるすべすべの心地よい浴感で、小さな湯華もちらほら浮遊しています。またお湯に浸かってじっとしていると、全身のうぶ毛に気泡がびっしり付着します。こんな良い湯に200円で入れる人吉の人が羨ましく思いました。
(なお、最近まで12時から15時までは清掃タイムでしたが、今ではそれが無くなり、通しで営業しているようです)
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ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
48.1℃ pH8.0 121L/min 成分総計1085mg/kg
熊本県人吉市麓町9 地図
6:00~22:00 元旦のみ休業
200円
ドライヤー20円
私の好み:★★