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今回取り上げる玉川温泉は、北投石でおなじみの秋田県の方ではなく、山梨県にある小さな共同浴場です。甲府盆地に広がる田んぼの隅っこ、住宅地との境にこじんまりとした佇まいを見せており、現地へ行くまでには住宅地の狭隘な道路や田んぼの畦道を走らねばならず、ちょっとわかりにくいかと思います。駐車場は建物前に7台程、道の向こう側の空き地にも数台とめられます。
玄関を上がって受付のおばちゃんに料金を支払い脱衣所へ。小さめの建物なので、脱衣所もちょっと狭め、決して大挙して押し寄せるような場所ではありません。壁には何やら当地に関する説明の貼紙が掲示されており、そこには某温泉ファンのサイトに書かれたこの温泉を賞賛する紹介文とともに、この地が「武田二十四屋敷のひとつ金丸家の敷地内の庭先から湧出したものです」というちょっとした地誌案内も書かれていました。あれ?武田二十四将に金丸って含まれていましたっけ? 金丸家から分出した土屋昌恒なら確かに武田二十四将のひとりですが、土屋家を含め二十四将の屋敷はほとんどが甲府駅と武田神社の間(甲府城の北側)に位置しており、甲斐武田氏流である金丸家の屋敷跡はここではなくて南アルプス市(旧八田村)の長盛寺にあり、ついでに言えば、その金丸の血を受け継ぎかつては政界のドンでもあった金丸信も南アルプス市(旧白根町)出身です。いや、単に私の知識が足りないだけで、ここにも金丸の所領があったのかもしれません。事実、ここのオーナーは金丸さんのようですし、旧白根町や旧八田村とは釜無川を挟んで数キロの距離しか離れていないわけですし。
余計な歴史談義はさておき、この温泉浴場には小さいながらも温泉ファンの心をガッチリとつかむものがあるのです。それは浴槽から溢れ出すお湯の多さ。その量は半端じゃありません。脱衣所から浴室への引き戸をあけると、足元の床は洪水状態、いや洪水状態ではなく洪水そのものです。水深1センチはあるでしょう。まるで川の中に足を突っ込んでいるかのよう。浴槽は6~7人サイズの主浴槽と、ジェットバス付きで3~4人サイズの副浴槽のふたつで、それぞれに源泉が注がれています。特に主浴槽の湯口からは大量のお湯が投入され、これが洪水の源になっているわけです。浴槽や浴室がもう少し大きければこのような洪水現象はもう少し鎮まった形になっていたでしょうから、このこじんまりさが却ってオーバーフローの迫力を生み出しているわけです。
お湯は無色透明で、微かな塩味に僅かなほろ苦さ、そして甘みが感じられ、甲府盆地らしく弱めながらモールの匂いが漂っていました。また気泡も多く、体にはしっかりと泡つきも見られ、湯口付近のお湯は泡の多さで薄っすら白濁して見えるほどです。つるすべ感も良好、湯温がぬるめなので、入浴客はみなさんじっくりと長湯をしていました。湯上りはさっぱりし、かつなかなか湯冷めしにくいのも良いところです。なおカランは4つあり、カランから出てくるお湯も源泉です。
内湯のみで開放感はなく、外の景色はほとんど楽しめず、浴場としては面白みに欠けるかもしれませんが、甲府盆地の温泉の特徴であるモール感・つるすべ・泡付きを全て満たし、かつ洪水のようなものすごいオーバーフローを体感できるのですから、温泉ファンなら一度は足を運んでみても決して損はないかと思います。湯温や重曹の効果により、夏に入ると湯上りの清涼感がより楽しめると思います。
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洪水のようにお湯があふれ出している浴室
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大量のお湯を吐き出す湯口。付近のお湯は白濁してみえる。コップが置かれており飲泉可
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脱衣所に貼ってあるこの温泉の説明
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
41.5℃ pH7.7 244L/min(動力揚湯) 成分総計1230mg/kg
山梨県甲斐市玉川1038-1 地図
055-276-5151
9:00~21:00 月曜定休
500円
ロッカーあり
私の好み:★★