温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

山口温泉

2009年12月18日 | 山梨県


甲府盆地の温泉を語る上でここを外すわけにはいきません。温泉ファンの間では山梨県内屈指の名湯であると誉れが高く、私もお湯の良さに惚れこんで何度も通っている、甲府盆地を代表する温泉です。

山口とはこの温泉のオーナーの名前で、その名の通り山口さんがご自宅の庭先をボーリングして温泉を掘り当て、そこから湧く自噴のお湯を共同浴場として一般に供じているのです。この温泉が掘削された当時、周囲はブドウ畑が広がっていたようですが、現在では宅地化が進み辺りは住宅ばかりです。畑がスプロール的に開発されてしまったところなので、界隈の道路はあぜ道を舗装しただけのようなクネクネの狭隘な箇所が多く、当地までの運転には注意を要します。

道路から敷地に入ると、左手に山口さん宅、右手に温泉の建物があります。共同浴場にしては大きく、民宿のような外観です。玄関前には飲泉所を兼ねた大きな岩のモニュメントが据えられています。お風呂は内湯と露天があるのですが、双方は直接繋がっておらず、内湯と露天を行き来するには一旦脱衣所を通らなくてはいけません(内湯から外へ出られるサッシがあるのですが、浴槽の縁を跨ぐような形になるので、あんまりお行儀のよい方法ではないかと思います)。


玄関前にある飲泉所を兼ねたモニュメント


内湯にはカランが5ヶ所で、うちシャワー付きは2ヶ所。石造りの湯船には竜頭の湯口からまるで滝のように大量のお湯が轟音を立てながら落ちています。注がれるお湯に追い出されるように湯船のお湯はその場に滞留することなく、まるで川のような流れを作り、湯口と対称の位置にある排水口へと溢れ、その流路は成分の析出で深い焦げ茶色に変色しています。露天にも2本の湯口から源泉が投入され、こちらもふんだんに掛け流されています。

この温泉の凄いところは夥しい泡の多さにあります。お湯に入ると忽ち全身泡だらけ。その泡付きたるや全国屈指ではないでしょうか。あたかもケーキに載せられたムースの中に身を沈めたかのような状態です。体に付着するだけではありません。泡ははっきりとお湯の中で白濁しているのです。内湯の画像を見ていただければわかりますが、湯口から浴槽の手前側を伝って排水口へと繋がるお湯の流れは、気泡により白く濁っています。泡の流れを感じながら湯浴みできる温泉なんて、そう滅多にお目にかかれるものではありません。お湯から立ち上がったときに感じるシュワシュワ感もこの温泉ならではです。

41.6℃の源泉を掛け流しているので、浴槽では40℃を下回るぬるさ(38℃前後)になっています。特に外気に冷やされる露天風呂はもっとぬるく、冬の露天はちょっと肌寒いかと思います。でもぬるいお蔭でたっぷり長湯ができ、ここへ訪れるお客さんの多くはじっくりと長湯していきます。薄い黄色の透明で、飲んでみると炭酸の味に重曹の味、そして鉄の味、モールの匂いと赤錆の匂いが感じられます。ぬるいお湯ですが、炭酸ガスの影響によりお湯から上がると体の芯からポカポカと温まってきます。また重曹のパワーによりツルツルスベスベ感も良好で、クレンジング効果で湯上りも爽快です。

 
露天風呂の様子(左)と、その湯口(右)

 
左:浴槽の手前が気泡で床が見えないほど白濁している内湯
右:まるで滝のように大量のお湯が注がれる龍の湯口


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
41.6℃ pH7.65 686L/min(自噴) 成分総計1389mg/kg

山梨県甲斐市篠原477 地図
055-279-2611

9:00~21:45(受付は20:15まで・日曜は21:15まで) 月曜定休
500円
ロッカー・ドライヤー・シャンプー類あり

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする