温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

甲府昭和温泉ビジネスホテル

2009年12月16日 | 山梨県


中央道の下りを走っていると、甲府昭和インター手前の左手に「自噴天然 甲府昭和温泉」と書かれた建物が目に入ります。高速の側道に面して建っており、周囲には住宅以外何も無く、こんなところにビジネスホテルがあるのは場違いなような気がしますが、近くには国母工業団地があるので、それなりの需要はあるのでしょう。

ちょっと古めかしく、地味さとエキセントリックさが入り混じったB級感漂う外観で、玄関の自動ドアを入ると、センサーが感知して「いらっしゃいませ」という安っぽい人工音声がロビーに響いてしまう点も哀愁たっぷり。こんな機械は今時の施設では導入しません。玄関ロビー右手には、金色のロープに守られ、御影石の枠と白い玉砂利でできた台座に載せられ、あたかも鎮守様か美術品のように仰々しく展示されている温泉分析表が誇らしげに「披露」されています。


たいそう仰々しく展示されている温泉分析表


浴場入口はフロントすぐ脇にあり、脱衣所にコインランドリーが設置されているあたりがいかにもビジネスホテルです。浴室に入るとものすごい湯気で前方視界不良、でもプーンとモール泉の香りが鼻を突き、表に出ている「自噴」という言葉が持つ魅力も相俟って、おのずとお湯への期待が高まります。カランは7つでシャワー付き、シャンプー類も完備で、使い勝手は良好。カランと反対側にはサウナもありました。

浴槽は大きなL字形の主浴槽と3人サイズの小さな浴槽の二つに分かれ、小さな浴槽のお湯はかなりぬるめですが、主浴槽はちょうど良い湯加減です。この主浴槽の湯口がなかなかの見もので、富士山のような錐形のものが浴槽の真ん中に突き出ていて、その頂点からお湯が出ているのですが、自噴の言葉には偽りがないようで、間歇泉とまではいきませんが、それを彷彿とさせるかのようにゴボゴボと音を立てながら勢いよくお湯が跳ね上がっているのです。その量もなかなか豊富で、浴槽に供給されたお湯は贅沢にもそのまま掛け流しでオーバーフローさせています。

そのお湯は甲府盆地らしく薄い烏龍茶色をした透明で、弱い金気味と重曹の味に微かな硫黄の風味、そしてモール泉の匂いが感じられます。見た目から受ける印象を裏切らないツルスベの浴感が気持ちよく、残念ながら分析表に見られる遊離炭酸ガスの泡つきは感じられないものの(加水の影響か?)、湯口から噴き上がるお湯を見ながらこのお湯に浸かり、そして湯上りに泉質由来の温まりとさっぱり感を体感すれば、温泉ファンなら好評価を下すことは間違いないでしょう。建物はそこはかとなくB級感が漂い、露天は無く内湯のみですが、お湯は甲府盆地の温泉らしさがきちんと出ており、湯量も豊富なので、立ち寄る価値は十分にあるかと思います。

 
左:曇って見難いのですが、浴室の様子です
右:勢いよくお湯を吹き上げる湯口


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
46.7℃ pH7.9 360L/min 成分総計1640mg/kg 

JR身延線・国母駅 徒歩15分(1.4km)
山梨県中巨摩郡昭和町押越2223 地図
055-275-7755
ホームページ

10:00~23:00 無休
500円
貴重品ロッカー・ドライヤー・シャンプー類あり

私の好み:★★
コメント
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