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前回紹介した「浜の湯」が地元民向きの浴場ならば、今回取り上げる「茜」は完全に観光客向けの施設です。温泉街の中心に近い海岸縁、国道57号と251号が分岐する「雲仙西登山口」交差点を海の方向へ曲がり、すぐに突き当たる防波堤のところに設けられています。
駐車場に建つ「番台」と書かれた小屋で料金を支払い、専用入口から防波堤を下りて浴場へ向かいます。階段下りて左が女湯、右が男湯です。造りは至って質素で、コンクリート打ちっぱなしの脱衣所、そして露天の浴槽があるのみ。長方形の浴槽もコンクリート製ですが縁は木材で、浴室の壁もウッド調の壁材が貼られ、簡素な造りながらぬくもりのある雰囲気を生み出しています。お風呂はまさに波打ち際にあり、時折テトラポットに当たった波飛沫が湯船に飛び込んでくるほど海面と近く、手を伸ばせば海水に届きそうな感じ。訪問時は潮が満ちていたのか、湯面と海水面がほぼ同じ高さに見え、まるで海の中に入って湯浴みをしているかのような気分が味わえました。海とお風呂との仕切りも、無粋な柵ではなくて、眺望の邪魔にならないようなワイヤーを用いているところも好印象です。
お湯は「浜の湯」同様で、無色透明無臭でニガリの味を含んだやさしい塩味です。観光客向けのお風呂なので、湯温は小浜の地元民向け外湯のような熱いお湯ではなく、万人受けする丁度良い湯加減になっていました。なお排水をそのまま海へ流している関係上、環境保護のため石鹸類は使えません。茜という名前が示すように、このお風呂は西の海を臨んでいるため、晴れた日には夕陽が拝めます。橘湾に沈む夕陽はさぞかし綺麗なことでしょう。
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あちらこちらから湯煙がのぼる小浜の温泉街
ナトリウム-塩化物泉
長崎県雲仙市小浜町マリーナ20 地図
0957-74-5656
紹介ページ(観光協会サイト内)
7:00~19:00 無休(波浪時などは休業)
300円
私の好み:★★