鉄輪のいで湯通り沿いに点在する共同浴場のひとつ「地獄原温泉」。真ん中の湯気抜きが目立つ、瓦屋根の伝統的な湯屋建築ですから、誰が見たってこれが浴場であることは一目瞭然。入口には神棚が祀られており、私が訪問したときには常連さんがきちんと拝んでから中へと入っていきました。
別府の共同浴場ですから、当然ながら脱衣室と浴室が一体化されている構造です。脱衣スペースはこぢんまりしていますが、壁には換気扇が取り付けられており、湯上りのクールダウン時には助かりました。
浴室はそこそこ広く、伝統的な外観とは裏腹に、室内は実用性を重視したモルタル塗り&タイル貼りなのですが、湯船のお湯を体にかけながらふと室内を見上げてみますと、天井は板張りで、湯気抜きには太い木材の梁が左右に渡されており、歴史ある温泉の風格を漂わせていました。
タイル貼りで四角形の浴槽は10人同時に入浴できそうな余裕があり、そこに張られているお湯は無色透明なのですが、温泉成分の影響なのか、槽内や洗い場の床は薄っすらと橙色に染まっていました。
こちらで使用されている源泉は、浴槽の隅に設けられている湯溜まりに一旦落とされ、それから浴槽へと注がれていました。源泉吐出口にはバルブがあり、またその傍には加水用の水道蛇口も設置されていて、先客の常連さんはこの双方を自在に開閉しながら温度を調整なさっていました。
熱いお湯をフーフー吹いて冷ましながら口にしてみますと、ほぼ無臭ですが甘塩味が感じられ、その塩加減は前回取り上げた「谷の湯」より若干強いようでした。またわずかに金気も有しているようであり、上述の橙色の着色はその金気の影響なのかもしれません。
私がこちらの浴場の前を通る度に、お風呂の中から常連さん達の喋り声が外へ漏れ響いていたのですが、その声には必ず笑い声が伴っていました。地域の方々にとって共同浴場という存在は、毎日の汗や垢を落とすのみならず、日々を楽しく過ごすためにも欠かせないものなんですね。
ナトリウム-塩化物温泉 86.4℃ pH4.4 溶存物質3.404g/kg 成分総計3.507g/kg
Na+:928.0mg(86.66mval%), K+:140.0mg(7.69mval%),
Cl-:1397.8mg(86.32mval%), SO4--:295.4mg(13.46mval%),
H2SiO3:547.1mg, HBO2:41.9mg, CO2:102.4mg,
源泉温度が高いために加水
大分県別府市鉄輪東 地図
6:00~21:00
100円
備品類なし
(別府八湯道スタンプは別の場所にあり。詳しくは現地の案内を参照。ただし押印可能時間は20:00まで)
私の好み:★★