温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯の川温泉 山内温泉長生湯

2013年03月04日 | 北海道
 
函館の街並みを吹雪がひたすら叩き続けていた某日、しばれた体を湯の川の熱いお湯で温めたくなって、市電に乗って「山内温泉長生湯」でひとっ風呂浴びてきました。湯の川には温泉銭湯が数軒点在していますが、その中でも懐かしい風情と濃厚且つ激熱なお湯で、温泉ファンからそのお湯にも負けないほど熱い人気を集めていた「日の出湯」が2011年の年末に長い歴史に幕を下ろしてしまった今日、同じくレトロな雰囲気を今に残す「山内温泉長生湯」の存在はとても貴重だろうと思われます。



昭和な雰囲気たっぷりな館内。玄関に入ると昔ながらの番台でおばちゃんがお出迎え。その周りには常連さんのお風呂道具が所狭しと並べられています。脱衣室内には、古いナショナル(現パナソニック)のホーロー看板があったり、鏡の木枠には「昭和29年7月改築祝」と刻まれていたりと、本物の昭和が当時と変わらぬ姿でお客さんを見守っていました。



浴室には小判型の浴槽が真ん中にひとつ据えられ、古典的な押しバネ式カランと固定式シャワーのセットが7組、シャワーのないカランのみが2基、その周りに取り付けられています。


 
こちらのお風呂では函館市企業局が配湯している源泉を引いているんだそうでして、女湯との境界にはそのお湯を受ける枡が設けられており、青い波板が被せられたその枡からは激熱のお湯が落とされて、周囲には橙色を帯びたベージュの析出がうろこ状に幾重にも層をなしていました。
余談ですが、湯の川には42本の源泉があるそうですが、そのうち27本を函館市企業局が所有して各施設や住宅などへ配湯しており、公衆浴場への供給件数は4軒なんだとか。そのうちの1軒が当浴場なんですね(函館市企業局のサイトを参照



上述の枡から床を潜ってきたお湯は、斜めに突き出たパイプから浴槽へ注がれています。このパイプの口には木の栓がはめられているのですが、その栓は真ん中が刳り抜かれており、穴を小さくすることによって流量を抑えているようでした。源泉のまま注がれたんじゃ、熱くなりすぎてとてもじゃないけど人様は入れなくなっちゃいますね(タマゴを茹でるんじゃあるまいし)。


 
小判型の浴槽はおおよそ1:2で2つに仕切られています。広くて深い方には湯口からダイレクトにお湯が注がれるために湯の川らしいアツアツのお湯(46~7℃)が張られており、一方の狭くて浅い方は比較的入りやすい湯加減でした。お湯は無色透明ながら微かに白く靄が掛かっているような湯の川温泉の典型的な様相を呈しており、塩味+弱ニガリ味+石灰味が感じられます。
浴槽の縁はまるで白い蝋を垂らしたかのような色合いと質感の析出によってコーティングされ、洗い場の床も同様に石灰質によって分厚く覆われているのですが、浴槽のお湯がオーバーフローする流路だけは自然の造形美とでも言うべき不思議な模様が刻まれており、その筋の深さがこのお風呂の長い歴史を物語っているようでした。なお千枚田状態の析出によって床がギザギザしているため、お尻を直につけて座ろうとすると痛くてじっとしていられません。
意地っ張りの私は無理をしてアツアツの広い湯船へ入りましたが、とにかく熱くて脛がヒリヒリし、歯を食いしばって堪えて肩まで浸かっても、せいぜい10秒が限界。お湯から上がると軽くフラフラしてしまいました。下手な意地は体に毒ですね。
建物はレトロ風情たっぷり、お湯もご当地らしい激熱。その熱さゆえに一般の方にはややハードルが高いお風呂かもしれませんが、湯の川温泉とはどんなところか、どんなお湯かを体感するにはもってこい銭湯かもしれません。


湯川3丁目源泉イ号井~オ号井混合
(イ・ロ・ハ・ニ・ホ・ト・チ・リ・オの9源泉混合)
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 63.5℃ pH7.0 2030L/min(動力揚湯・混合) 溶存物質8.777g/kg 成分総計8.952g/kg
Na+:2147mg(64.85mval%), Mg++:188.2mg(10.76mval%), Ca++:622.8mg(21.58mval%),
Cl-:3872mg(77.78mval%), SO4--:802.0mg(11.89mval%), HCO3-:880.5mg(10.28mval%),
H2SiO3:80.5mg, HBO2:26.0mg, CO2:175.1mg,

函館市電・湯の川電停より徒歩3分(約300m)
北海道函館市湯川町2-20-9
0138-59-2681

6:00~21:30 火曜定休
420円
ドライヤー(有料20円)・ロッカーあり

私の好み:★★★
コメント (4)
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