信州中野から志賀高原へ向かうオリンピック道路の道端にたくさんはためいている幟に誘われて、「民宿みやま」が運営している日帰り入浴施設「みやま温泉わくわくの湯」で入浴してまいりました。沓野・渋インター目の前というわかりやすいロケーションに加えて、比較的キャパの大きな駐車場も完備されているため、車でアクセスするにはとても都合がよく、今回も地図やカーナビも使わずに到着できました。
この施設における面白いポイントのひとつが、入口に設けられた回転ゲートでしょうね。画像左(上)が入口、画像右(下)が出口の様子でして、500円玉を機械に投入してゲートを回転させて中へと入るわけです。なおゲート前には両替機が設置されていますし、窓口にはスタッフさんも常駐しているので、500円玉を持っていない人でも大丈夫です。この手のゲートは有料の公園や遊園地などでは目にする機会の多いのですが、なぜか温泉施設ではあまり導入されていませんね。同じ信州ですと、白馬の「倉下の湯」でも回転ゲートを採用していますが、「わくわくの湯」では90度角で4方向に伸びたD字型のゲートを垂直軸で回転させるのに対し、「倉下の湯」は回転軸が斜め下を向いている3本のアームを回すタイプですから、両者の回転ゲートは似て非なる機種なんですね。ま、そんな些細な事はどうでもよいのですが。
館内のお座敷では食事も可能。スタッフの方はとても朗らかに対応してくださりました。
広くて明るい脱衣室。洗面台は2台設置されており、ドライヤーも用意されています。扇風機もあるので、湯上りのクールダウンもばっちり。あえて掲載しませんが、ロッカーには透明プラ板の扉が用いられているので、納めた中身が丸見えだったりします。
お風呂は露天オンリーで内湯はなし。池のように広い岩風呂の真ん中には一本柱の東屋が立ち、周囲には庭木が植えられ石灯籠も置かれ、ゆるい感じですが和風庭園をコンセプトにしたような設計です。なお塀によって周りを囲っているため、景色はあまり楽しめません。
露天へ出る手前に洗い場が設けられているのですが、カランは3つしかありません。しかしながら、露天風呂脇に建つ離れ小屋の中にも洗い場があるので、もし脱衣所に隣接した洗い場が全て使用中でしたら、一旦露天へ出て、この離れを使えばOK。
女湯との仕切り塀からは2本の打たせ湯が落とされているのですが、傍に貼られている注意書きには熱いので使わないでほしいという旨が記されていました。恐る恐るお湯に指先を触れてみたら、本当に熱かった…。
こちらは湯船の湯口。コーヒーのネルドリップみたいな布で湯の華を濾しとっているのですが、それでも湯中では綿埃のような湯の華がたくさん浮遊していました。打たせ湯同様に湯口から吐出されているお湯は篦棒に熱く、館内表示によれば湧出温度は91℃なんだそうですが、ほぼそれに近い状態のお湯が投入されているのかもしれません。なお、湯口付近にてオーバーフローがあり、反対側の浴槽縁でも塩ビ管によって排湯されており、槽内循環しているような様子は確認できなかったので、断言はできませんがおそらく放流式の湯使いかと思われます。また浴槽の広さに対して源泉投入量が少ないのですが、これは投入量を絞ることによって温度調整を図っているものと想像されます(湯量の他、加水によっても温度調整しています)。
お湯はほぼ無色透明ですが、湯面下の槽内は硫黄の付着のためか白っぽく染まっており、その影響を受けているのか、お湯自体が若干白く霞み掛かっているようにも見えます。また湯面と接する浴槽の石には、やはり硫黄の付着のため黄色いラインが形成されています。硫黄を含むお湯らしく、ゴムを齧ったような味と砂消しゴムのような匂いが感じられますが、味・匂いともに印象に残るようなインパクトは無く、白っぽい槽内や黄色い硫黄の析出を見ると硫黄感がはっきりしていそうな温泉を想像してしまいますが、その見た目とは裏腹に硫黄っぽさがあまり強くなかったのは意外でした。
硫黄感に加えて石膏っぽい知覚も含まれているようでして、硫酸塩の影響なのか、お湯に浸かるとキシキシと引っかかる感触が肌に伝わりますが、お湯から上がるとその肌にスベスベ感がもたらされ、お湯が持つ不思議なパワーを実感することができました。
便利な立地ですし、硫黄感を有するお湯の露天風呂に入れるので、観光のついでにひとッ風呂浴びるには都合が良い日帰り温泉だと思います。
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉(硫化水素型) 91.0℃
(他の委細なデータは確認し忘れてしまいました…)
長野電鉄・湯田中駅より長電バスの熊の湯硯川線・奥志賀高原線・上林線のいずれかで「沓野美明」下車、徒歩2分
長野県下高井郡山ノ内町平穏821 地図
0269-33-2260
ホームページ
10:00~21:30(入館は20:30まで) 第1・3水曜定休
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★
●おまけ
「わくわくの湯」に隣接する「民宿みやま」の真裏には、地元住民専用の共同浴場「新弥生の湯」があります。もちろん部外者である私は利用できませんでしたので、外観を見学するのみにとどめておきました。洗濯湯が併設されているところは、当地の日常生活と温泉がいかに密着しているかを表しているようです。