温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

豊野温泉 りんごの湯

2014年08月06日 | 長野県
 
数か月前の春のことですが、所用で長野市内へ出かけたついでに、長野市北部の旧豊野町内にあって地元の方に大人気の温泉入浴施設「りんごの湯」へ立ち寄り、入浴してまいりました。周囲をリンゴ畑に囲まれた小高い土地に位置している農協系の立派な施設で、広い駐車場が確保されており、1階部分に農産物直売所、2階部分に浴室や食堂などが設けられています。まずは駐車場から伸びる階段で2階のエントランスへ。


 
入浴施設というよりホテルのような広く立派なホールに入り、下足場近くの新しい券売機で料金を支払います(なお下足箱のキーはフロントに預けることなく、退館時まで自分で管理します)。フロントの前には後述する物販の他に食堂があり、訪問時は大勢の爺さん婆さんで賑わってした。


 
フロントの裏手には食料品から衣類までいろんなものを扱っている物販コーナーがあるのですが、数ある商品を差し置いて最前列に並べられていたのは、今では口にする人も少なくなったイナゴの佃煮でした。私も小さい頃は近所の婆さんに勧められて食べたことがありますが、まさか今でも商品として売られているとは思いもよらず、しかもPOPには「今!売れてます」なんて驚くべき文言が躍っていたので、ついつい「マジか?」とつぶやきながらカメラを構えてしまいました。私が生まれ育った首都圏と珍味処の信州とでは、同じ日本でも食べ物の売れ筋が違うのかな。


 
脱衣室も広々としており、窓からは千曲川が左右に流れる長野盆地越しに志賀高原方面の山々が一望できます。ロッカーもたくさん用意され、洗面台も5台ほど設置されていますので、使い勝手も良好でした。



係員の方がこまめにお風呂のチェックを行っており、脱衣室には内湯と露天の温度がホワイトボードに記入されていました。内湯は43℃で露天風呂は44℃か。露天はちょっと熱めかな。


 
天井が高くて奥行の長い浴室は、大きな窓から外光がたっぷり降り注ぎ、室内空間であることを忘れさせてくれるほど開放的。床には石材が敷き詰められ、壁には羽目板が用いられ、温もりと落ち着きを兼ね備えた空間でもあります。
脱衣室側から見て左手には、手前から上がり湯槽・上がり湯用シャワー・サウナ、そして洗い場の順で配置され、洗い場にはシャワーが計19基取り付けられています(シャワーから出るお湯は真湯です)。
一方、窓側には20人以上同時に入れそうな浴槽が据えられ、入浴しながら後述する露天と同じパノラマが眺望できました。しかも入浴した際の視線が露天よりちょっと高い位置になるよう配慮されているので、露天の客と干渉せずに景色が眺められるのもうれしいところです。
横幅いっぱいに広がっている湯口は2段に分かれていて、中央の高いところより熱いお湯が、左右両側の低いところよりぬるいお湯が投入されていました。どうやらぬるいお湯は源泉のお湯を熱交換で冷ましているものらしく、この2段階の温度のお湯を適宜混ぜることによって湯加減を調整しているみたいです。なおお湯は反対側の湯尻より排水口へ流下しており、れっきとした放流式の湯使いです。


 
テラスの上に設けられた露天風呂は、小文字のqみたいな形をしており、手前側の円形部分は普通の入浴ゾーン(約10人サイズ)、奥側は3人分の寝湯ゾーンとなっています。施設自体が小高い場所に位置している上、周囲には視界を遮るような高い建物が全くないため(高圧線の鉄塔を除く)、この露天エリアからは、千曲川流域の長閑な田園風景と、その奥に鋸歯状の稜線を広げる北信州の山々が織りなすパノラマを存分に眺望することができ、実に爽快でした。ただスピーカーからヒーリング系のBGMが流されており、人によっては邪魔に感じられるかも。また、時おり信越線を走る115系電車の走行音がはっきりと聞こえてきます。線路とこの施設の間にはリンゴ畑しかないので、国鉄時代の車両ならではの爆音がここまでダイレクトに響いてくるのですね。


 
露天には湯口が2つあり、それぞれお湯を吐出する方法が異なっているのですが、それ以外に何か違いがあったのか、よくわかりませんでした。もしかしたら内湯のように温度を分けているのかもしれませんが、私の利用時はどっちも同じだった気がします…。なお湯使いは放流式であり、寝湯側の湯尻より排湯されていました。


 
お湯はオリーブ色を帯びた薄くてやや暗めの山吹色に微濁しており、内湯・露天ともに湯口周りは金気色に染まっていました。なお常連さん曰く「朝のまだ混んでいない時間帯だと、お湯は綺麗で濁ってないんだよ」とのことですので、混雑すると濁りが発生しやすいのかもしれません。なるほど確かに、浴槽の大きさに対して、お湯の投入量はちょっと心細い気もします。湯口のお湯を口に含んでみると、甘塩味と弱い金気味、そして重曹的な清涼感のある苦さ、少々の土類味が感じられ、弱い金気臭と僅かな刺激を有する臭素っぽい匂いが嗅ぎ取れました。後者の匂いはハロゲン系の匂いに似ており、塩素消毒の匂いと勘違いしてしまうかもしれませんが、館内表示によれば消毒は実施していないとのことですので、その匂いは消毒薬剤によるものではなく、源泉由来なのでしょう(※)。湯中では食塩泉的なツルスベ感と少々の引っかかりが混在して伝わってくるのですが、特筆すべきは肌への泡付きでして、上画像のように1~2分ほど湯船に浸かり続けていますとはっきりと気泡が付着しました。
(※)2014年10月8日追記:源泉由来ではなく、実際に消毒剤を投入しているそうです。詳しくは当記事のコメント欄をご覧ください。ONKEN21さん、ありがとうございます。


 
食塩を含むなので、湯上りはいつまでも火照りが取れず、クールダウンするため物販コーナーで瓶牛乳を買って飲みました。こちらで売られていたのは、千曲川の対岸の小布施で生産されている「オブセ牛乳」。三日月の上で足を組んで寝ている坊やのイラストがシンボルマークなのでしょうか。とっても美味かったですよ。

なお毎月「5」の付く日は湯船にリンゴを浮かべる「りんご風呂」が開催されるんだとか。
風呂は大きくて気持ち良いし、お湯は掛け流しだし、景色も雄大なんですから、人気を集めるのは当然ですね。


ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 42.4℃ pH7.8 250L/min(掘鑿動力揚湯) 溶存物質2422.6mg/kg 成分総計2429.6mg/kg
Na+:635.0mg(68.76mval%), Mg++:36.0mg(7.37mval%), Ca++:184.3mg(22.89mval%),
Cl-:1294mg(92.17mval%), Br-:4.0mg, I-:1.8mg, HCO3-:167.5mg(6.93mval%),
H2SiO3:65.0mg,
加水循環消毒なし・加温あり(冬季のみ。ハウス施設で熱交換しており温度が下がるため)

JR豊野駅(信越本線・飯山線)より徒歩12分(1.0km)
長野県長野市豊野町石417  地図
026-257-6161
ホームページ

10:00~22:00(受付終了21:30)・第4火曜および大晦日定休
410円(10:00~18:00)、350円(18:00~22:00)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

コメント (2)
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