温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ブルサ・チェキルゲ温泉 カラ・ムスタファ

2015年01月27日 | トルコ

前回記事で取り上げた「イェニ・カプルジャ」へアプローチする坂の手前には、17世紀に実在したオスマン帝国の大宰相の名前をそのまま名乗っている「カラ・ムスタファ(Kara Mustafa)」という温泉旅館があり、ここでも入浴のみの利用ができるそうですから、どんなお風呂なのか行ってみることにしました。通りに面して入口が2箇所並んでいるのですが、上画像は宿泊施設側の入口ゲートで、宿泊客はもちろん、家族風呂利用の際もここから入るんだそうです。


 
一方、その右隣の木戸は、扉の上に「KARA MUSTAFA TERMAL UMUMİ BANYOSU(カラ・ムスタファ温泉公衆浴場)」と表示されているように公衆浴場の入口。今回はこちらの公衆浴場を利用しました。


 
ホールの中央には白い大理石の噴水が据えられ、その周りを更衣個室が取り囲んでいます。番台に掲示された料金表によれば、入浴のみは20リラとのこと。「イェニ・カプルジャ」(17リラ)より若干高い設定なんですね。湯銭と一緒に貴重品を番台へ預けて鍵を受け取ると、ホールに待機している三助さんが私を更衣個室へ案内し、腰巻きを手渡してくれました。腰巻きじゃなく水着着用でも全然OKですが、せっかくですから、前々回や前回と同じく、ここでもご当地流の腰巻きで入浴することにしました。



浴室の真ん中には長方形の浴槽が据えられ、それを挟んで左右シンメトリに洗い場が配置されています。ペンキ塗りの天井以外は全てに大理石が用いられており、その上品な質感に思わずうっとり。「エスキ・カプルジャ」や「イェニ・カプルジャ」といったチェキルゲを代表するような浴場よりはるかに小ぢんまりしていて、どちらかと言えば装飾性よりも実用性を重視した構造なのですが、質素な造りが多い日本の温泉に慣れた自分の感覚には、却ってこうしたお風呂の方が馴染みやすく、日本でお風呂に入っているのと近い感覚で利用できて、なんとなく落ち着けました。


 

左右の洗い場には、大理石の鉢が置かれた真鍮製カランのペア(水と湯)が8組ずつ取り付けられており、お湯のカランからは体感で50℃以上の熱い温泉が出てきました。温泉成分の付着によりお湯のカランは白く覆われています。


 
浴槽のサイズは目測で3.5m×5.0mといったところ。深さは120cmですので、槽の真ん中では立湯となりますが、手前と奥にステップがありますから、そこへ腰掛けての湯浴みもできます。槽内の側面には穴があいており、そこから排湯されていました。おそらく放流式の湯使いでしょう。


 
焼け爛れたかのような赤茶色に染まる獅子の湯口からは、体感で50℃ほどもある熱い温泉がドバドバ吐出されており、そのお湯が加水など無い状態で浴槽へ直接注がれますので、湯船では45℃近い熱さとなっていました。東京下町の銭湯を彷彿とさせるような熱い湯船は、熱い風呂に慣れている日本人でも躊躇する方がいらっしゃるかもしれませんが、入浴客のみなさんはここで泳いだり、潜水したりと、平気な顔をして熱いお湯を楽しんでいました。一般的に海外ではぬるいお湯が好まれる傾向にあるかと思いますが、トルコの温泉愛好家は日本と同様に、熱めのお湯が体に合うんですね。たしかに、このピリッと来る熱さは身をキュッと引き締めてくれ、気分もシャキッと冴えます。

お湯は無色透明ですが、大理石の影響なのか湯船ではバスクリンを溶かしたような色を呈しています。知覚面では弱い石膏感が伝わってくるほか、ご近所の「イェニ・カプルジャ」より芒硝感が若干明瞭であったように記憶しています。


 
浴槽に向かって左側の洗い場にはサウナも設けられていました。もちろん別料金で垢すりやマッサージも可能。浴槽がある区画の手前にマッサージ台が設けられており、実際に私の入浴時にはマッサージを受けているお客さんがいました。


 
ホールへ戻るところにはバスタオルがたくさん積み上げられているので、湯上がり時には自分でここから取っても善し、三助さんに頼んで全身をタオルで巻いてもらうも善し。私はタオル巻きにしてもらい、番台で買った水を飲みながら、中央のホールでしばらく休憩させてもらいました。

「イェニカプルジャ」よりも高い料金設定であるためか、私が訪問した夕方はお客さんが少なく、数名が出たり入ったりしていた程度でしたが、それゆえに静かな入浴環境が保たれており、お湯の鈍りも少ないようでした。地味ながらも雰囲気が良く、落ち着いて湯浴みできる穴場的存在でした。チェキルゲで熱い風呂をご希望の方におすすめです。


GPS座標:N40.199371, E29.03812,


ブルサライ(地下鉄兼近郊電車)の"Kültür Park"駅より徒歩5分(500m)
入浴のみ20リラ

私の好み:★★+0.5
コメント
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