温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

玖珠町(豊後森) 椿温泉

2017年02月23日 | 大分県
 
玖珠盆地の中に市街地が広がる玖珠町中心部の豊後森周辺には、渋いながらも良質の温泉浴場が点在しており、しかも個人的な好みに合う重曹泉系のお湯が多いため、私が積極的に湯めぐりをしたくなるエリアでもあります。今回はそんな浴場のひとつであり、懐石料理店「茶房花椿」に併設されている「椿温泉」を訪ねることにしました。周辺には特に温泉の存在をアピールするような看板は立っていないため、途中までは本当に温泉に出会えるのか不安だったのですが、料理屋さんの駐車場に「椿温泉」の看板が立てかけられており、ここに至ってようやく温泉の存在を確認することができました。でも私の訪問時、料亭の玄関は閉まっていましたし、そもそもその佇まいはとても温泉らしくありません。


 
料理屋さんの脇から路地に入って裏手にまわってみますと、「営業中」と記された小さな立看板を侍らせている離れの小屋を発見。小屋には窓口があるので、どうやらここが温泉の受付のようです。でも窓口でいくら声をかけても返答がない…。もしやと勘付いて表の料理屋さんの玄関から声をかけたところ、ようやくスタッフの方が気付いてくださり、改めてこの小屋に戻って受付を済ますことができました。なお、路地のさらに奥には、温泉名とイラストが描かれた貯湯タンクが設置されていたので、いまから入るお風呂にはここでストックしたお湯を引いているのでしょう。こちらの温泉は自家源泉です。


 
こちらには男女別浴場のほか、貸切風呂が数部屋用意されており、それぞれが離れとなって細い通路沿いに建てられていました。どうやら懐石料理店では、食事と温泉の貸切入浴をセットにしたプランがあるようです。訪問時は私以外にお客さんがいなかったため、今回は男湯の「さつき」を実質的に貸切利用させていただきました。


 
質素な民芸調というべきか、田舎の農機具小屋を思わせるウッディーな脱衣室には、カゴや腰掛け、洗面台などが備え付けられていましたが、ドライヤーは見当たりませんでした。壁の張り紙には運営経費の関係で石鹸類の備え付けを中止したという旨が説明されていたので、石鹸類以上に経費を要するドライヤーは用意できないのでしょう。


 
脱衣室と引き戸一枚だけで仕切られているお風呂は露天風呂のみ。坪庭みたいな和風の空間に岩風呂がひとつ設けられています。露天とはいえ、浴槽の大部分には庇が伸びており、また日よけの簾もかけられているので、多少の風雨や陽射しが強い日でも、支障なく湯浴みすることができるでしょう。竹垣の向こう側には長閑な田園風景が広がり、盆地を取り囲む緑の山々がその稜線を左右に伸ばしていました。


 
お風呂全てが露天ですので洗い場も吹きさらし。シャワー付きカランが2基並んでおり、お湯のハンドルを開けると温泉が出てきました。


  
石板敷きの床の隅には細長いスペースがあり、たくさんのマツボックリに埋もれながら2つのバルブが頭を覗かせていました。それぞれのバルブの先は浴槽に伸びていたので、てっきり温泉の配管かと思っていたのですが、マツボックリの上に頭を出していたバルブを開けてみたところ、温泉ではなく水が出てきました。そこで、もうひとつのマツボックリの中に埋もれているバルブを開けてみたら、こちらからはれっきとした温泉が吐出されました。


 
温泉の供給口はもう一つあり、マツボックリの湯口のちょうど対照位置(つまり反対側)の浴槽縁に並べられた岩の間から、赤いテープが巻かれたパイプが一本突き出ており、バルブを開けると50.3℃というなかなか熱いお湯がドバドバと放出されました。スタッフの方から、湯加減は自分で調整してくださいと説明を受けましたので、私はこれら2つの温泉バルブを全開にし、大量掛け流し状態にさせてもらいました。おかげで浴槽のお湯は一気に入れ替わり、とってもフレッシュなお湯で満たされました。


 
岩風呂は4人サイズで、浴槽内はコンクリですが、一般的な浴槽よりも若干深めに造られているため、肩まで湯に浸かった時には十分な入り応えが得られます。お湯は無色透明で、湯の花のような浮遊物は見られません。清涼感を伴う弱い苦味があり、薄いけれどもはっきりとしたモール臭を放っています。湯中では泡つきこそ無いものの、重曹泉のようなツルツルスベスベの大変滑らかな浴感を楽しめましたので、湯浴みしている最中、私は何度も自分の肌をさすって、その滑らかさを満喫させていただきました。泉質名こそ単純泉ですが、そうした特徴は重曹泉そのものです。湯上がりも粗熱の抜けがよいのでさっぱり爽快。こんな素敵な露天風呂が、なんと200円で利用できるのですから、コストパフォーマンスの素晴らしさには脱帽です。おすすめの一湯でした。


単純温泉 51.3℃ pH8.3 湧出量測定不能(動力揚湯・掘削600m) 溶存物質0.535g/kg 成分総計0.535g/kg 
Na+:86.9mg(79.30mval%), Ca++:9.5mg,
Cl-:54.7mg(30.29mval%), Br-:0.2mg, HCO3-:214.0mg(68.84mval%),
H2SiO3:150.0mg,
(平成14年11月19日)
加水加温循環消毒なし

JR久大本線・豊後森駅より徒歩30分(約2.2km)、もしくは豊後森駅より玖珠観光バス(路線バス)の宝泉寺方面行きで「長野」バス停下車
(バスの時刻は「九州のバス時刻表」で検索してください)
大分県玖珠郡玖珠町大字塚脇長野764  地図
0973-72-3940

11:00~21:30(受付21:00まで)
200円
備品類なし

私の好み:★★★

コメント
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